自由研究で論理的思考力を磨く…理科のカリスマ講師 辻先生に聞く「Microsoft 365」使いこなし術

 中学受験理科のスペシャリストで、中学受験情報局「かしこい塾の使い方」の主任相談員である理科のカリスマ講師・辻義夫先生に、自由研究が子どものどのような力を伸ばすのかをたずねてみた。

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辻義夫先生
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 今年の夏休みは短縮される気配が濃厚だ。そんな中でも「自由研究」に取り組む経験は、長期的な視点で今後の学びを考えた際にも大きな意義があるという。そこで中学受験理科指導のスペシャリストで、中学受験情報局「かしこい塾の使い方」の主任相談員である理科のカリスマ講師・辻義夫先生に、自由研究が子どものどのような力を伸ばすのか、また、いつでもWord、Excel、PowerPointなどの最新機能が利用できる「Microsoft 365」が自由研究中の親子をどのようにサポートし、どんな部分を効率化できるかをたずねてみた。

論理的思考が身に付く



 --自由研究というのは本来、小学生のどのような「力」を伸ばせるものとお考えでしょうか。

 学習に関する「総合力」を鍛えられると考えています。

 学習の基本は、まず「興味をもつこと」です。興味がないことには「学ぼう」というモチベーションは高まらないからです。つまり「身の回りの事象に興味をもつこと」が勉強のスタートになりますが、自由研究を成功させようとするとその点が大切なんだと気付けるのです。

 そして、ある程度何かについての知識や理解が深まると、モチベーションはさらに高まります。こうした経験から子どもは「始めはあまり興味がなかったけれど、やってみると面白さがわかってきた」と感じ、入り口でとっつきにくいと感じることも、とにかくひとまず取り組んでみないとわからないぞ、と思い始めます。

 これが、ちょっと「嫌かも」と思う勉強へのはじめの一歩を踏み出す好循環の始まりです。自由研究を通じて、この体験をすることができるのです。

 そして自由研究を成功させるには、適切な準備が大切であると学ぶことができます。これは勉強に限らず生きていくうえで大切な力です。この中には「仮説を立てる」ということも含まれます。考えるということは、前提として「疑問に対して仮説を立てる」のが必要、という論理的な思考の基本を学ぶことができます。

 また実験結果を検証する作業を通して、ひとまずの結論にたどり着くことができます。または新たな疑問点に気付くかもしれませんね。そして結果をまとめる作業を通しては、読む人に伝わるように仕上げる表現力や構成力も身に付けることができます。

辻義夫先生
辻義夫先生

 --自由研究は、その後の「学び」にどのように作用するとお考えでしょうか。また中学受験を想定した場合、自由研究に取り組んだ経験はどのように影響してくると思われますか。

 自由研究に本気で取り組んだ子には、「思考の作法」のようなものが身に付いた子が多いと感じています。

 自由研究を通して「思考の作法」を身に付けることができれば、その後の学習上での手順も変わってきます。たとえば月や星の観測を実際に行えば、観察は「定点」で行うことが必要と学べます。目印となるものを決め、毎回同じ方向を同じ時刻に観測することで、小さな変化にも気付けるからです。すると理科の学習だけでなく、算数の応用問題などを考えるときにも、あるときには視点をずらさず同じ視点から考えることが必要だ、と気付けるようになっていきます。

 毎日同じ時刻、同じ方角を観察することで、高学年のお子さんなら地球のまわりを公転する月の動きを実感できるかもしれませんね。

 また昆虫や植物の採集や収集を通しては、ものの分類のしかた、つまり「似ているところと違い」に注目する大切さを学ぶことができます。この視点は、国語などの選択問題を見るときのポイントにもなります。この選択肢とこの選択肢の違いはどこか、似ているところはどこかに注目すると、正しい消去法が使えるようになります。

 このように、「思考の作法」を身に付けることで「こういうときは、この型を使えばうまく解決できる可能性が高い」という問題解決の糸口を見つけることができるようになります。

「仮説思考」は受験でも役立つ



 --「自由研究」に取り組む際、どのようにテーマを選ぶのが良いでしょうか。

 普段から自分が興味をもっていることをテーマにするのが良いと思います。その意味で、日常生活の中で「疑問をもつ」という習慣を付けることが大切です。たとえばものの形や材質などにも、そうなった理由があるはずです。飲料の種類とペットボトルの厚みや形状について調べたり、ドアノブの形について考えてみみたりといったことも立派な自由研究の題材となります。

 --夏休みは夏期講習などもあり忙しい中学受験生に向け、受験勉強に直結する自由研究の選び方についても教えてください。

 日々、受験勉強などで解いている問題を題材として選ぶのが良い方法です。入試問題でよく扱われる実験でいえば、光合成や唾液による消化の実験などです。

 テキストや問題集などに掲載されている実験に関して、先生に「この実験、僕にもできる?」と質問するタイプの子がいますが、このような子どもは伸びます。中学受験の内容の中にもご家庭でできる実験はたくさんあります。ぜひ探してみてください。

 また実験を成功させるには、

 1.仮説を立てる
 2.適切に準備する
 3.実験する
 4.仮説が正しかったかどうかを検証する

という手順で考え、行動することが必要になります。

 この「仮説思考」は難関校の入試問題に対応するうえでも非常に役立ちます。問題を解くという作業は、まさに上記の4つの段階をやっていくことだからです。

短い夏休みで効率的に研究するには



 --今年は長期にわたる休校の影響もあり、小学校の夏休みも通常より大幅に短縮されるところが多いと聞きます。そこで、限られた時間の中でもしっかりと内容をまとめられるよう、自由研究で重要なポイントを教えてください。

 夏休みが2週間~3週間くらいという学校が多いようですから、短い夏休みだけで完結しようとするのではなく、今から題材探しなどをしておくと良いですね。学校の夏休みの日程、塾に通っているなら夏期講習の日程を照らし合わせると、おのずと自由研究にかけられる時間や労力も推察できると思います。

 今回、「Microsoft 365」が自由研究でどのように親子のサポートをしてくれるのかについてみていこうと思います。マイクロソフトで公開している「楽しもう Office 夏休み自由研究特集」のテンプレートには、目安となる日数が示されているものが多いので、参考にしてみてください。また、題材探しとともにお子さん、親御さんが困るのが、自由研究のまとめ方。これも、さまざまなテンプレートを見て、それを活用することで解決しそうです。

夏休み 自由研究 特集
夏休み 自由研究 特集

 コツは「この研究をしようと思ったきっかけ(疑問)」「実験前の予想(仮説)」「準備」「実験・観察」「結果(検証)・感想」をわかりやすく書くことです。

 「楽しもう Office 夏休み自由研究特集」には、自由研究のテンプレートが非常にたくさんあるのはもちろん、自由研究以外の学習やスポーツに関するテンプレートや、そのほかのお役立ち情報も豊富で、楽しいページだと思います。さまざまなテンプレートを見て、実験や観察の手順や結果のまとめ方のヒントを得られそうです。

 「自由研究のコツ」が簡潔にまとまっているのも便利です。意外にこれがわかっていないために、自由研究を難しく考えるお子さんが多いのです。自分の自由研究を、ほかのお子さんとシェアできるようなコンテストや発表の場などがあると、さらに楽しそうですね。

自由研究の進め方とポイント
自由研究の進め方とポイント

 --辻先生が良いと思われたテンプレートがありましたら、そのお勧めのポイントとともに教えてください。

 1、2年生は、今年は夏休みが短くなったとはいえ時間があるので、観察などをテーマにするのがお勧めです。「あさがお観察日記」や「夏の花&昆虫 収集シート」などがいいですね。中学入試には、実は低学年で育てるアサガオがよく出題されます。中には「アサガオのふたばの絵をかきなさい」というものもありました。花のつぼみの「巻き方」や「つるが支柱に巻き付くときの向き」も頻出です。ぜひ低学年のときによく観察しておいてください。

 親子で手を動かすなら「牛乳パックボート」なども面白いですね。お風呂に浮かべて色んな角度から観察してみましょう。お風呂にゴーグルを持ち込むのもお勧めです。小学校低学年までに、しっかり水や土に触っておくことはとても大切なので、ぜひお風呂での水遊びは親子でいろいろ工夫してみてください。

1-2年生向け
1-2年生向け

 3、4年生は塾に通っているお子さんもいるかもしれません。とはいえ夏期講習の負担も大きくないですから、低学年同様、観察記録などもいいでしょう。遠くにある天体や肉眼では見えづらいプランクトンなど、やや抽象度の高いものがお勧めです。テンプレートでは「月の満ち欠け観察ノート」や「プランクトン観察カード」などがこれにあたります。

 また、ものの性質や因果関係についても理解が進む年齢です。むりやり引き伸ばされたり押し縮められたりしたものがもとに戻ろうとする性質を利用した、「空気で飛ぶロケット」や「ゴム扇風機」などもいいですね。工作ものは作って終わりではなく、その仕組みなどを考え研究内容に盛り込んでおくと、立派な自由研究になります。

3-4年生向け
3-4年生向け

 5、6年生は塾の夏期講習が忙しい可能性があります。その場合、できれば1日か2~3日で完結する自由研究がいいでしょう。「手作りプラネタリウム」や「真空状態実験レポート」なら中学受験にも直結する内容ですね。少し日数をかけられるなら「偉人コレクションノート」も社会科の勉強にダイレクトに役立ちます。

5-6年生向け
5-6年生向け

 特に高学年のお子さんは、あらかじめテーマの決まったテンプレートを使うのもいいのですが、自分でテーマを決めて取り組む「自由研究ノート」にチャレンジしていただきたいと思います。

自由研究 人気テンプレート:自由研究ノート
自由研究 人気テンプレート:自由研究ノート

 学年を問わずお勧めなのは、「フォト ブック(散歩・お出かけ)」です。

フォト ブック
フォト ブック

 同じように散歩に行っても、たくさんのことを持ち帰る子は伸びます。つまりまわりをよく観察し、たくさんの疑問を持ち帰っている子です。ぜひ散歩のたびに気付いたこと、不思議に感じるものをメモしたり、写真に撮る習慣をつけてください。それをフォトブックにまとめて、たくさんの「?」を積み上げていきましょう。こうやって頭の中に「引っ掛かり」を作っておくと、あとで関連事項を見聞きしたときに「あのときのあれだ!」とつながったり、たくさんの気付きが生まれるはずです。

「Microsoft 365」で親子での共同作業もラクラク



 --テンプレートを使用してまとめる際、便利そうだと感じた「Microsoft 365」の機能はありましたか。

 「OneDrive」が、「Microsoft 365」を導入したデバイスの写真やファイルなどのバックアップを自動的にとってくれるのは便利ですね。お出かけ先で撮った写真が消えてしまうと残念なので。1テラバイト保存できるのも、容量を気にせず保存できて安心です。

OneDrive
OneDrive

 また、自由研究とは直接関係しないかもしれませんが、特に今年の夏休みはご家族も忙しくなると思われますので、家族でのカレンダー共有も便利だと思います。

 テンプレートはすべて、Officeアプリケーションの中に含まれていて汎用性の高い「PowerPoint」でできているのもメリットで、お父さんお母さんが、テンプレートをカスタムするのに腕を振るうこともできますね。それぞれの編集個所がリアルタイムで表示されるので、親子での共同編集なども楽しそうです。

 植物や昆虫などの観察をしていると、写真にメモをつけたいシチュエーションがよくあります。撮影場所のようすや天気など気付いたことといった内容ですね。そんなときスマホやタブレットなどさまざまなデバイスであらかじめファイルを立ちあげておいて、外出先でも簡単に直接編集できるのは便利だと思います。

散歩の途中でメモを取ることもすぐできる。テキストを打ち間違えてもあとから編集可能
散歩の途中でメモを取ることもすぐできる。テキストを打ち間違えてもあとから編集可能

 また、「Skype」が60分間無料で固定電話や携帯電話に通話できるのもいいですね。仕事で忙しいお父さん、お母さんとも、Microsoft 365のそのほかのアプリケーションを併用すれば、密にコミュニケーションを取りながら、離れていても共同作業ができるかもしれません。また、万が一テクニカル面でのトラブルがあっても、無料でサポートを受けられるのは心強いでしょうね。

Skype
Skype

Microsoft 365 のオススメ機能
Microsoft 365 のオススメ機能

 --最後に、自由研究を夏休みの課題として選ぶ小学生へのメッセージ、それを支える保護者の方へのメッセージをいただけますでしょうか。

 毎年、自由研究に関しては「テーマの選び方がわからない」「上手なまとめ方を教えてほしい」といったご要望をたくさんいただきます。もちろん自由研究だから「自由」なのですが、どうせするならかっこいい、みんなをあっと言わせるものであるに越したことはないですね。そこが難しい部分でもあるのですが。

 先にも述べましたが、思考には「作法」のようなものがあります。しっかり準備して、手順を踏んで考えられるお子さんは、勉強面でも伸びるお子さんです。その準備や手順を学べる格好の機会が、自由研究です。

 「研究」ですから、何かについて調べたり考えたり、実験したりして、疑問に思っていたことを明らかにする作業です。それにはそもそも疑問をもつことが必要なのです。

 こう言われると難しく思えるかもしれませんが、身の回りのものについて「なんでこんな形なんだろう」「どうしてこの色なんだろう」と思ってみるだけでいいのです。たとえば「信号の赤は、どうして赤色なんだろう」といった具合です。そういえば、クルマの後ろについているストップのランプも赤です。学校や塾でノートをとるとき、大切なことも赤で書きなさい、と言われますね。どうしてだろう、と疑問ができれば、それを自由研究のテーマにしてもいいかもしれません。

 そうやって自分の疑問を「研究」し、謎を解き明かすことができれば、大きな自信になりますし、「考えるということはこういうことなんだ」とわかるようになります。

 ぜひこの夏、そんな経験をしてみてください。

辻義夫先生

 --ありがとうございました。

 短い期間となる夏休みだからこそ、既存のテンプレートやさまざまな機能をうまく使いこなし、効率的に進めたいもの。今回の内容を参考に、この夏は親子で充実した「研究」の経験をしてみるのはいかがだろうか。

《鶴田雅美》

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