マイクラで学ぶプログラミングに小2が挑戦…親子のニーズ満たす

 小学2年生の娘がマインクラフト(以下、マイクラ)に夢中だ。親としては、これほど夢中になっているのだから、何か習得してほしいと思っていたところ、CA Tech Kids(シーエーテックキッズ)主催の「マインクラフトで学ぶプログラミング体験ワークショップ」という短期体験コースを見つけ、さっそく体験してきた。

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マインクラフトで学ぶプログラミング体験ワークショップ
マインクラフトで学ぶプログラミング体験ワークショップ 全 10 枚 拡大写真

 小学2年生の娘がマインクラフト(以下、マイクラ)に夢中だ。YouTubeでマイクラ実況を見ては、「これ作ってみたい!」といろいろ試している。推しのマイクラ実況者がおり、チャンネル登録をして最新情報のチェックは欠かさない。

 親としては、これほど夢中になっているのだから、何か習得してほしいと思っていたところ、CA Tech Kids(シーエーテックキッズ)主催の「マインクラフトで学ぶプログラミング体験ワークショップ」という短期体験コースを見つけ、さっそく体験してきた。

 子供向けプログラミング教育事業を手がける「CA Tech Kids」は、2013年から小学生向けプログラミング体験ワークショップ「Tech Kids CAMP(テックキッズキャンプ)」を開催し、これまでの参加者は全国でのべ1万人以上にのぼる。

初心者から上級者まで、自分のペースで進められる

 今回のワークショップは、学校などの教育機関向け「教育版マインクラフト」を使い、ミッションを遂行しながらプログラミングを学ぶ。ミッションを通じて身に付けた技を使ってオリジナルの街づくりにも取り組み、最終日には成果を発表する。会場が東京・渋谷で、保護者が出勤がてら連れて来られるという利便性から、共働き家庭の需要も大きいそうだ。今回は小学校低学年の参加者が多く、前回のワークショップも参加したというリピーターや、通年のスクール(Tech Kids School)に通っているベテランも参加していた。

 2日間・3日間・4日間のコースがあり、娘は2日間のコースに参加。午前10時に始まり、ランチタイムを挟んで午後4時までと長時間だが、娘は「大好きなマイクラを思う存分できる!」と大張り切りだ。会場には約30人の小学生が集まり、3つのグループに分かれて自己紹介をした後、基本操作をマスターし、ミッションに取り組む。講義形式ではなく、1人1台のパソコンが割り当てられ、初心者も上級者も自分のペースで進められる。キーボードやマウスを使い慣れていなくても、レッスンを通じてパソコンやマイクラの操作方法が身に付けられる。普段ニンテンドースイッチ(ゲーム機)でやり慣れている子でも、パソコン版のマイクラがスムーズに使えるように、どのキーを押すとどう操作できるかが一目でわかるコマンドのガイドもある。娘もミッションに取り組んでいくうちに、スムーズに操作できるようになっていった。

メンターの声かけにより、子供自身で考え、深掘りする

 1グループ約10人に約3人のメンターが付いて子供たちをサポートしてくれる。メンターは先生という感じではなく、プログラミングに詳しいお兄さん・お姉さん。ニックネームで呼びあい、フレンドリーに接してくれる。娘はつまずくとすぐにメンターに助けを求めていたが、メンターはすぐに答えを教えるのではなくヒントを出し、子供自身で考えて取り組むように促している場面を何度も見かけた。娘は「自分でできた」という達成感が得られて嬉しそうだった。また、「なぜこれを選んだの?」と問いかけ、子供の考えを深める工夫がされていた。

メンターやほかの参加者から影響を受ける

 一通りのミッションをこなすと、操作方法や基礎的なプログラミングの概念が理解できるようになっている。ミッションクリアをメンターにチェックしてもらった後、オリジナルの街づくりに挑戦。まず、街のテーマを考え、どこにオリジナルの街を作るのか7つの中から選び、110個の建築物から自分の作りたいものを選んで開発する。娘は、「魔法使いの街」を無人島に作ることに決め、井戸と月、ツリーハウス、地下階段、教会、ログハウスを建築することにした。周りの子の開発のようすをうかがうと、家族との思い出をマイクラの世界で再現したり、自分の好きなこと街に盛り込んだり、思い思いの街を作成していた。ほかの子の作品を見て参考にしたり、教えあったり、メンターにアドバイスをもらったりと、自宅でひとり黙々とやっているのとは異なり、子供同士で影響を受けて切磋琢磨していた

 ワークショップは、子供たちが楽しめることを第一に考えて構成されており、娘は「プログラミングって楽しい!面白い!!」と街づくりに没頭。普段は1つずつブロックを積み上げて建築物を作っていたが、「プログラミングを使えば、同じ建築物を楽にたくさん作れる!」と嬉しそうにログハウスをたくさん建築していた。6時間と長時間だが、ほかの子供たちも飽きずに熱中しているようすだった。

 一方で、長時間、PCなどデジタル機器の画面を見続けるのは、体への負担が心配だ。ワークショップの合間には、メガネの「JINS」とコラボした企画として、どんな行動が目に良いか・悪いか、クイズ形式で答えるレクリエーションの時間があり、デジタル機器との付き合い方も学べる。日によっては、タイピングや生活に役立つクイズなどをやっているという。レクリエーションのほかにも、休憩やランチ、発表練習の時間が設けられている。

 オリジナルの街づくりが佳境に入ったところで、グループごとに発表の練習に取りかかる。まずは、メンターが「良い例」と「悪い例」のお手本を実際にやって見せてくれ、どこが良いか・悪いか、子供が答える。そして、空欄を埋めて作成した「発表シート」をもとに、自分が開発した街をひとりひとりプレゼンする。ほかの参加者から「グッドアイデア」「グッドデザイン」といったどんな観点が良かったか評価を受け、メンターから「相手に聞こえるようにハキハキと話す」「聞いている人の目を見て話す」といった項目ができたかどうかフィードバックがもらえる。

 発表本番は、ワークショップ参加者とその保護者、メンターなど総勢50人近くに向けて、オリジナルの街を撮影した動画をプロジェクターに映しながら1人2分間プレゼンし、フィードバックをもらう。娘は少し緊張していたが、自分の作った街について堂々と発表していた。学校の授業参観では、全員が一人ずつ発表する機会がなかなかないので、今回は大勢の前で発表する良い機会となった。

「マイクラをやりたい子供」と「プログラミングを子供に身に付けてほしい保護者」の両方のニーズを満たすワークショップ

 娘は今回のワークショップに参加し、「こんなに長い時間マイクラをやっていたのは初めて!すごく楽しかった!!」と大喜び。マイクラに詳しいメンターや参加者に囲まれて、休み時間もマイクラの話で盛り上がり、いろいろな知識や技も身に付けられて、充実した2日間を過ごせたようだ。娘は集中して取り組んでいたせいか、2日間とも帰りの電車で寝てしまった。マインクラフトで学ぶプログラミング体験ワークショップは、「マイクラをやりたい子供」と「プログラミングを子供に身に付けてほしい保護者」の両方のニーズを満たしていると実感した。

 「Tech Kids CAMP」は、小学生の長期休暇期間に定期的に開催されており、次は2024年春休みの開催が予定されている。体験ワークショップをきっかけに、もっと極めたい子のための小学生向けプログラミング教室「Tech Kids School(テックキッズスクール)」もある。プログラミングの基礎から本格的なプログラミング技術を学習するコースが渋谷校とオンライン校で提供されている。上級者向けの「Unityコース」や「iPhoneコース」があることや、デザイン講座やクリエイティブ講座があることが特徴だ。

 また、同社は全国No.1小学生プログラマーを決定する「Tech Kids Grand Prix」を毎年開催し、2023年度は7,300件を超える応募が各地から寄せられたという。子供たちが憧れるような天才プログラマーが発掘されたら、プログラミング教育市場も盛り上がるのではないかと期待される。

《工藤めぐみ》

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