マイナンバーカードでお得なポイント付与事業…付与率25%マイナポイントとは

 総務省が実施する「マイナポイント事業」の申込みが7月より開始された。そこでマネー情報サイト「マネーの達人」で活躍中のライター石田彩子氏に、マイナポイント事業の家計に対するメリットについて聞いた。

生活・健康 その他
PR
マイナンバーカードでマイナポイントWebサイト
マイナンバーカードでマイナポイントWebサイト 全 5 枚 拡大写真
 昨今の新型コロナ感染症拡大の影響は、家計に影を落としている。厚生労働省の「毎月勤労統計調査令和2年4月分結果確報」によると、現金給与総額は274,825円で前年同月比0.7%減、うち一般労働者が355,107円で0.7%減、パートタイム労働者が95,434円で3.6%減となった。また、パートタイム労働者比率も30.54%で前年同月比0.55ポイント下落となっている。

 影響は今夏のボーナスにも及んでおり、2020年6月17日に日本経済団体連合会(経団連)が発表した「2020年夏季賞与・一時金 大手企業業種別妥結状況(加重平均)」によれば、総平均は2019年が98万5,055円だったのに対し、今夏は92万5,947円と6%の減少となっている。

 こうした中、総務省が実施する「マイナポイント事業」の申込みが2020年7月より開始された。マイナンバーカードの普及策として実施されている、キャッシュレス決済サービスと組み合わせたポイント付与実施の同事業は、ニュースなどでも大きな話題となっている。

 そこで、マネー情報サイト「マネーの達人」で活躍中のライター石田彩子氏に、マイナポイント事業の家計に対するメリットについて聞いた。

付与率25%のポイントで家計を支援



--マイナポイントはどのような事業なのでしょうか。

石田氏:この事業は総務省が主体となり、マイナポイントの活用によって消費の活性化、マイナンバーカードの普及促進、官民キャッシュレス決済基盤の構築を目的とするもの。マイナンバーカードを使って「予約」「申込み」といった手続きを行い、選んだキャッシュレス決済サービスでチャージやお買い物をすると、そのサービスで利用できるポイントが25%付与されます。

石田彩子氏
石田彩子氏

 上限は1人5,000円分のポイントで、2万円までのチャージもしくはお買い物が付与の対象です。付与されたマイナポイントは、紐づけたキャッシュレス決済サービスのポイントとして付与され、1ポイント1円でお買い物に使えます。

 なお、このマイナポイントは、2019年10月の消費増税をきっかけに6月30日まで実施されていた「キャッシュレス・消費者還元事業」と、ちょうど入れ替わる形で始まっています。2020年7月に予約・申込が始まり、9月の利用分からポイント付与開始、2021年3月まで実施予定です。

 このほか、キャッシュレス決済サービスを行う事業者によっては、マイナポイントのほかに独自にポイントを加算するキャンペーンを行っているところもあります。ですので、登録するキャッシュレス決済サービスを選ぶ際はいろいろと比較検討したうえで、決定することをお勧めします。

 先着順のため、サービス利用者が多い場合には予定期間の前に予算が終了してしまう可能性があります。現状では4,000万人がポイント付与を受けられる見込みです。 ※予算の上限人数

--25%の付与率は高いですね。ポイントはすぐに受け取れるのでしょうか。また未成年は申込みできるのでしょうか。

石田氏:マイナポイントは、未成年のお子さまの分も申請可能ですが、申込みにはお子さまのマイナンバーカードが必要です。規約上では、本人名義のキャッシュレス決済サービスへのマイナポイント付与を本人が申し込む必要があるのですが、15歳未満の未成年者の場合は、法定代理人名義のキャッシュレス決済サービスをポイント付与対象として申し込みすることも可能となっているので、自分でデバイス類の操作ができないお子さまの場合は、法定代理人(保護者など)が申込みます。ただし、マイナポイントと紐づけできるキャッシュレス決済サービスはひとり1サービスのため、法定代理人名義とは異なるサービスを用意する必要があります。

 家族全員分のマイナポイントを申請すれば、たとえば4人家族なら決済額に応じて2万円分のポイントを獲得できるというわけです。新型コロナウイルスの影響で家計管理が大変なときに、2万円分のポイントがもらえるのは本当に助かりますね。

子どものマイナポイント申し込みについて
子どものマイナポイント申込みについて

 ポイント付与のタイミングは、キャッシュレス決済サービスによってさまざまです。即時付与されるものもあれば、支払いの1か月後に付与されるものもあります。私は、事前にチャージするタイプのキャッシュレス決済サービスに注目しています。チャージのみであれば、まだお金は使っていない状態ですので、ひと呼吸置いて冷静に使い道を考える時間があるからです。

--マイナポイントの使い道はどのようなことが考えられますか。

石田氏:マイナポイントの申込みは7月から始まっていますが、9月以降のチャージやお買い物からポイント付与開始となりますので注意が必要です。

 新型コロナウイルスの影響で今年の夏休みは短いですが、それでも塾の夏期講習など教育費のかかる時期であることに変わりありません。夏休み中の支払いはマイナポイントの対象になりませんが、9月以降のポイント付与を見込んで、夏の教育費予算の計画を立ててみてはいかがでしょうか。

手続のサポート体制も充実



--どのような手続きを踏んで、ポイントを獲得するのでしょうか。

石田氏:マイナポイントをもらうには、まずはマイナンバーカードの取得が必要です。

 マイナンバーカードの取得は、とても簡単です。取得するための交付申請は、スマートフォン、パソコン、まちなかの証明用写真機、郵送の4つの方法があり、どれもマイナンバー通知カードの下に付いている交付申請書(2020年5月25日廃止、以後は個人番号通知書のみ発行)または個人番号通知書から簡単にできます。

 私はスマホから手続きしましたが、顔写真の撮影も含めて、かかった時間はわずか5分ほどでした。申込みから1か月ほどして交付通知書が自宅へ届くので、指定された書類を持ってお住まいの市区町村窓口へ受け取りに行けばマイナンバーカードの取得完了です。

 マイナンバーカードを取得できたら、今度は「マイナポイントの予約(マイキーIDの発行)」をします。

 マイナポイント事業ではこのマイキーIDをキャッシュレス決済サービスと紐づけます。マイキーIDはマイナポイントを予約した方に発行される、マイナンバーとは別のもので、キャッシュレス決済サービス事業者にマイナンバーを知られることはありませんし、買い物の内容を国に知られることもありません。

 マイナポイントの予約は、スマホまたはパソコンから行えます。スマホの場合は専用アプリをダウンロードし、ガイダンスに従ってマイナンバーカード発行時に設定した数字4桁のパスワード(暗証番号)を入力し、マイナンバーカードをスマホにかざして読み取ります。パソコンの場合は、専用のソフトをダウンロードし、ICカードリーダー・ライターを接続してマイナンバーカードを読み取ります。以上の操作でマイナポイントの予約が完了します。

マイナポイントの予約・申込方法

 マイナポイントの予約が完了したら、いよいよ申込みです。マイナポイント申込みで選択できるキャッシュレス決済サービスは、先にも述べたとおりひとり1サービスです。登録サービスは7月17日時点で111サービスあり、電子マネー、プリペイドカード、QRコード、クレジットカード、デビットカードなど多岐に渡ります。

対象となるキャッシュレス決済サービス一覧
対象となるキャッシュレス決済サービス一覧

 なじみのあるキャッシュレス決済サービス事業者も登録されています。申込方法はサービスによって異なっています。マイナポイントのサイト内の対象となるキャッシュレス決済サービス検索で詳しい申込方法を調べることができるため、ご自分に合った方法で申込みをするといいと思います。

--アプリや専用ソフトの操作ができるかどうか、不安な方もいそうです。何かサポートする仕組みはあるのでしょうか。

石田氏:はい。今、マイナンバーカードを読み取り、簡単に申請できる「マイナポイントアプリ対応スマホ」の種類が増えています。多くのAndroid端末が対応しており、iPhoneは7以降が対応しています(iPhone SEは第2世代から)。対応スマホを使えば、ICカードリーダー・ライターがなくても、スマホを使ってマイナンバーカードの情報を読み取り、申込みができますマイナポイント事業サイトでは、マイナンバーカードを効率よく読み取る「かざし方のコツ」を、スマホの機種に応じて解説していて、わかりやすいです。

 また、全国にマイナポイントの手続スポットも設置されます。こちらはマイナポイント手続スポット検索で予約・申込みの支援を行っている場所を確認できます。対応するスマホやパソコンをお持ちでない方は、お近くのマイナポイント手続きスポットも利用できます。

マイナポイント手続きスポット検索
マイナポイント手続きスポット検索

増えるマイナンバーカードの利用場面



--マイナンバーカードを使って公的サービスを利用する機会が増えています。今後マイナンバーカードの利用機会として、注目していることはありますか。

石田氏:マイナンバーカードは、2021年3月には健康保険証として利用できる予定です。マイナポイントの申込み時に、健康保険証の初回登録もできます。健康保険証として利用できるようになれば、入院や手術など高額療養費制度を利用する際、これまで求められることが多かった限度額認定証の持参が不要になります。

 また今後はマイナンバーカードを「お薬手帳」としても使えるようになる見込みで、災害時に役立つのではないかと考えています。以前、東日本大震災の被災者の方がインタビューで、「避難先へお薬手帳を持ってくることができなかったため、服薬の正確な履歴を医師に伝えることができなくて困っている」と話しているのを聞きました。お財布の中に入れて携帯するなどしておけば、災害時でも誤診や薬の間違いを防いで自分や家族の健康を守れるのではないでしょうか。

 市区町村の窓口などに行かなくても、コンビニで住民票の写しなどの公的な証明書を発行できる点も便利ですね。住民票の写しは、入学手続きなど子どもがいると意外と必要になることが多いので、近所で用意できるのは助かりますね。

 マイナンバーカードは発行手数料がかからず、成人の場合は原則10年有効です。そしてマイナンバーカードは本人確認書類としても有効です。本人確認書類としてよく使われているのは運転免許証やパスポートですが、これらと同様に使用することができます。ただし、未成年者は5年、電子証明書の有効期限は5年(更新手続きが必要)となっている点には注意が必要です。

--多機能で便利なマイナンバーカードですが、保有するうえで注意点はあるのでしょうか。

石田氏:便利さゆえに紛失したときのリスクが気になりますが、24時間対応のコールセンターで利用停止することができます。

 また、コロナ禍で給付された特別定額給付金や持続化給付金でも、マイナンバーカードを使ったオンライン申請が可能でしたが、世帯単位で申し込むため、世帯主がマイナンバーカードを持っておらず、オンライン申請できないケースがあったと聞きます。近年、台風や地震などの大規模災害が増えているので、災害給付金などをスピーディーに受け取るためにも、家族全員分のマイナンバーカードを発行しておくのが大事だと思います。

--ありがとうございました。

 さまざまな場面でマイナンバーカードの利用増加も見込まれるからこそ、ポイント付与率の高い「マイナポイント事業」実施中にマイナンバーカードを手にし、その恩恵を子どもの教育や生活に反映し、メリットを享受してはいかがだろうか。

《編集部》

【注目の記事】

この記事の写真

/

特集