外出自粛で社会的時差ボケ解消…早稲田大など研究グループ

 新型コロナウイルス感染拡大による外出自粛により、若者は平日も夜型化し、社会的時差ボケが解消されていたことが2020年9月11日、早稲田大学などの研究グループによる調査結果からわかった。外出自粛中に朝型化した人は痩せ、夜型化した人は太ったことも明らかになった。

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「若者の夜型化と生活リズム改善(10代)」(左)と「朝型シフトでダイエット成功」(右)
「若者の夜型化と生活リズム改善(10代)」(左)と「朝型シフトでダイエット成功」(右) 全 3 枚 拡大写真
 新型コロナウイルス感染拡大による外出自粛により、若者は平日も夜型化し、社会的時差ボケが解消されていたことが2020年9月11日、早稲田大学などの研究グループによる調査結果からわかった。外出自粛中に朝型化した人は痩せ、夜型化した人は太ったことも明らかになった。

 早稲田大学理工学術院の柴田重信教授と田原優准教授、askenなどで構成する研究グループは5月25日~6月1日、askenが提供する食事管理アプリ「あすけん」の利用者に対し、新型コロナウイルス感染拡大による外出自粛中の生活リズムの変化についてアンケート調査を実施。3万275人の有効回答を得た。

 身近な体内時計の乱れとして、「社会的時差ボケ」と呼ばれる、平日と休日の生活リズムの差が昨今問題視され、特に夜型の若者で顕著とされている。社会的時差ボケは、学業における成績悪化、肥満などの生活習慣病との関連も報告されている。

 調査の結果、外出自粛中の10~30代の若者は、平日の寝る時間、起きる時間が遅くなり、生活リズムが夜型化したことにより、社会的時差ボケが大きく解消したことが明らかになった。特に10代の若者では、外出自粛前に平均1時間あった平日・休日の差が、平均20分まで短縮。睡眠時間も平日に全年齢で増加していた。

 その一方で、睡眠の質が改善したと答えた人は全体の2割程度にとどまり、外出自粛による生活リズムの改善が睡眠の質改善には結びついていないこともわかった。研究グループでは「外出自粛による精神的な苦痛やストレスも影響しているものと考えられる」と分析している。

 外出自粛中の体重変化と生活リズムの関係では、平日・休日に関わらず、睡眠時刻が朝型化(早寝・早起き)した人は痩せ、夜型化(遅寝・遅起き)した人は太ったことが明らかになった。また、太った人は痩せた人に比べ、外出自粛中に活動量が低下し、ダイエットに挑戦しなかったと答えた人が多く、間食も増え、睡眠の質も低下したと回答していた。

 睡眠不足や社会的時差ボケは、肥満の要因とされているが、今回の研究からは睡眠の長さや社会的時差ボケと体重変化の相関は見られず、体重が増えた人も減った人も睡眠時間が増加し、社会的時差ボケが減少していた。年齢による差は特になく、朝型・夜型の変化、それに伴う活動量、間食、睡眠の質の変化が、短期間の体重変化につがったと考えられるという。

 調査結果を受けて、研究者は「夜型の人は遅れやすい体内時計を持っており、朝型生活にトライしても気を抜くと夜更かし朝寝坊しがち。今後、夜型が朝型に負けないような生活習慣の提案、サプリメントなどを開発していきたい」とコメント。「あすけん」アプリに記録された栄養摂取データを解析し、ダイエットに効果的な食べ方について、体内時計や睡眠の観点から検討。社会的時差ボケ軽減と精神衛生やパフォーマンスの関係も検討していくとしている。

 今回の研究成果は、8月29日にオンライン開催された第7回日本時間栄養学会学術大会のワークショップ「個人ベースの時間栄養・運動」内で発表されている。

《奥山直美》

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