11/10発売「Xbox Series X」マイクロソフトが目指すゲーム体験のあり方

初代Xboxから歴代Xboxハードを最優先で購入してきた筆者がインプレッションをお届けします。

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Xbox Series XのUIから見えてくる、マイクロソフトが目指すゲーム体験のあり方
Xbox Series XのUIから見えてくる、マイクロソフトが目指すゲーム体験のあり方 全 6 枚 拡大写真


11月10日についに世界同時発売を迎える、マイクロソフトのXbox Series X。初代Xboxから歴代Xboxハードを最優先で購入してきた筆者が、インサイド&Game*Spark編集部で実機を触る機会を得ましたので、本機のUIを中心にインプレッションをお届けします。


筆者は、2002年に発売された初代Xboxに触れて以降、セガの遺伝子を継いでいるかのようなマイクロソフトの(いい意味でも悪い意味でも)尖ったセンスに魅入られてきました。2005年に登場したXbox360は、SDからHDの世界への移行という驚きを与え、Xbox Oneはテレビとの親和性をさらに高め(後にオミットされましたが…)、半次世代機となるXbox One Xで4Kの世界を切り開きました。当然、Xbox Series Xがもたらす新たな体験には期待が膨らみます。



まず、Xbox Series Xを起動して驚いたのは進化した次世代のホーム画面……と言いたいところですが、Xbox Oneには10月13日にXbox Series Xと同じUIになるアップデートが配信されています。我が家のXbox One Xと同じホーム画面であったため、「あれ?一緒??」というのが第一印象でした。編集部が用意したモニターがフルHD60Hzであったことも、その印象を強調してしまったかもしれません。


Xbox Series Xは8Kや120fpsの出力が可能ですので、対応モニターに接続すると画面表示の滑らかさや動きのヌルヌル具合の印象は大きく変わるはずです。8K対応テレビの価格は20万~30万円台とかなり下がっていますし、4K144Hzのモニターであれば10万円を切るモデルも登場しています。Xbox Series Xの性能をフルで楽しみたいなら思い切ってテレビやモニターを買い換えても良いかもしれません。



他にXbox Oneから進化した機能としては、コントローラーのシェアボタンとクイックレジューム機能があげられます。これまでXboxボタンでガイドを開いて操作する必要があったため、ワンボタンでスクリーンショットやプレイ動画をキャプチャできるのは非常に便利です。ただ、試遊時のファームウェアでは、キャプチャできる動画の長さが720pで最長3分、1080pで最長1分と、Xbox One Xよりも短くなっているのが気になりました。これはローンチ後のアップデートで改善されるのかもしれません。



クイックレジューム機能は、1つのゲームを中断した状態で他のゲームがプレイできるというもので、今回は『ギアーズ5』と『ウィッチャー3』の切り替えを試してみました。『ギアーズ5』から『ウィッチャー3』に切り替えた際に10秒ほど読み込みがあるものの、途中からゲームを再開できるのは非常に便利だと感じました。ただ、ファーストタイトルの『ギアーズ5』はまだ対応しておらず、『ウィッチャー3』から切り替えた場合はタイトル画面からになっていました。


ちなみに、Xbox Series X上での『ウィッチャー3』ですが、ロードがほとんどなくて驚かされます。ロードがないゲーム体験は、筆者の世代的にスーパーファミコンなどのカセット時代を思い出させてくれます。



ハードウェアの使い勝手として気になったのは、本体のUSBポートがType-Aだけで、現在主流となりつつあるType-Cポートがないことです(コントローラー側の充電&接続用のポートはType-C)。SSDなどの機器のほとんどがType-Cポートになっている現状で、この仕様は残念なところ。専用の拡張ストレージ以外の外部ストレージを接続する際は、Type-C to Type-A系のUSBケーブルが必要となる場合がありそうです。



また、ゲームプレイ時でも起動音やファンの音は非常に静かではあるのですが、排気口からはそこそこの熱風が出てきます。排熱のために設置する場所はきちんと考えたほうが良さそうです。


コントローラーに関しては、「非常に優れたスタンダードなコントローラー」ではあるものの、他社の立体的なバイブレーションやジャイロ機能を搭載したコントローラーと比較すると独自性を感じることはできません。その代わり、最初からXbox Series XだけでなくPCやスマートフォンなどに使用できるなど、汎用性を高めています。


いろいろと触っていく中で、Xbox Series Xはこれまでにあった「次世代機」ではなく、マイクロソフトが提供する「Xbox」というゲーム体験を拡張するためのツールであるように感じました。CPUやGPU、メモリ、ストレージなど次世代と呼べる高速化は行っているものの、Xbox OneとのUIの統一や、過去に実装された後方互換、Xbox One X Enhancedタイトルの引き継ぎをはじめ、旧世代機と地続きの体験になるように設計されているからです。


これは世代ごとにゲーム体験自体を変化させていく他社の方針とは大きく異なり、WindowsとPCの関係に近い印象を与えます。「全く新しいゲーム体験」を感じ辛いこのアプローチを消費者がどのように受け止めるのか、そしてマイクロソフトはこれから始まる長いマラソンの中でどのように進化・発展させていくのか、目が離せません。


Xbox Series XとXbox Series Sは、11月10日に世界同時発売予定です。


※ UPDATE(2020/11/09 21:35):当初8Kテレビと表記すべきところ8K120Hzのテレビと記載していたため修正しました。コメント欄でのご指摘ありがとうございます。

Xbox Series XのUIから見えてくる、マイクロソフトが目指すゲーム体験のあり方

《Daisuke Sato》

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