【中学受験の塾選び】四谷大塚の特徴と費用、塾活用ポイント(2021年度版)

 中学受験の成否の鍵を握る「塾選び」。塾選びの参考に、大手人気塾4塾の特徴や費用、カリキュラムなどを紹介する。中学受験で成功するための塾選びと活用のポイントは、プロ家庭教師集団・名門指導会に聞いた。今回は四谷大塚について見ていこう。

教育・受験 小学生
四谷大塚
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 中学受験の成否の鍵を握る「塾選び」。塾選びの参考に、大手人気塾4塾の特徴や費用、カリキュラムなどを紹介する。中学受験で成功するための塾選びと活用のポイントは、プロ家庭教師集団・名門指導会に聞いた。今回は四谷大塚について見ていこう。

四谷大塚の指導の特徴



 低学年には知的好奇心を刺激し、“遊ぶように学ぶ”ことで「考える楽しさ」を教え、子どもたちを褒めながら「自ら考える力」を伸ばし、高学年に向けて学習習慣を養って「学力」を養成する。高学年の指導では、自ら進んで学習する姿勢をしっかり身に付けることに始まり、4~5年生の2年間で中学受験に必要な一通りの基礎学力を習得させる。そして、この2年間で徹底的に身に付けた基礎学力をもとに、入試問題を意識しながら、6年生の前半で徹底的な単元・領域別総復習、後半は最先端のAIを活用した、ひとりひとりの「学校別入試対策」を徹底的行っている。

 四谷大塚の高学年指導の特徴は、
(1)1週間サイクルのスモール・ステップの学習カリキュラム
(2)“中学受験のバイブル”と称されるテキスト「予習シリーズ」を使った親身な熱誠指導
(3)アウトプットで学力を伸ばす毎週末の「週テスト」
(4)ITを活用したWebコンテンツ「高速基礎マスター」に加え、自宅での予習・復習に大いに役立つIT授業「予習ナビ」「復習ナビ」の完備

 4~6年生の3年間をスモール・ステップ&パーフェクト・マスターで着実に学力を伸ばしながら、第一志望校合格を目指す。

入塾の時期



 低学年、高学年ともに、3年間でのカリキュラムを組んでいるため、そのスタートとなる新1年生(年長生の2月)、新4年生(3年生の2月)から入塾すると、スムーズに学習の流れに乗っていける。ただし、随時、入塾テストを実施しているので、それ以外の時期に入塾しても、ひとりひとりの学力に応じて補習などを行いながらフォローする体制ができており、安心して入塾できる。近年、保護者の教育への関心が高まり、低学年から通塾する子どもが年々増えていた。特にこの1年は、コロナ禍でさらに中学受験への関心が高まり、低学年・高学年ともに入塾希望者が例年になく多い。

入塾前のテストの有無



 入塾の学力診断と入塾後のクラス決定のため、入塾テスト(無料)を実施する。入塾テストの合格率は50%、2人に1人が合格だが、万一、不合格になっても、合格するまで何度でもチャレンジでき、そのためのフォローも行う。6月・11月に実施の「全国統一小学生テスト」も入塾テストを兼ねている。

塾のコロナ対応



 対面での授業が原則であるが、コロナ感染を懸念されるなどの場合には、自宅でIT授業の受講も可能だ。

 四谷大塚の校舎に入館する全員が、マスク着用、入口での検温消毒を徹底し、37度以上の発熱が確認された場合には入館できない。受付周辺設備、机、椅子などの教室備品、トイレ設備、iPadなどの生徒・スタッフが触れる設備・機器などは毎日除菌消毒をする。空気清浄機、サーキュレーターを各所に設置し、随時換気を行う。

年間にかかる費用とカリキュラム



 1年生は約20万円、2年生は約20万円、3年生は約31万円、4年生は約55万円、5年生は約70万円、6年生は約110万円(いずれも税込)。費用には、テキストなどの教材費、テスト代、講習会受講料などが含まれる。

1クラスあたりの人数、クラス分け



 塾に入る際に入塾テストを行うほか、低学年では学期末ごとにテストを行ってクラス分けを実施。高学年では5週に1回、組分けテストを行ってクラス分けを実施する。開成・桜蔭などの最難関校への合格を目指すクラスから、中下位校の合格を目指すクラスまで、学力別に指導クラスを分け、親身な熱誠指導を行っている。1クラスあたりの人数は、校舎、学年、クラスによって若干異なるが、低学年は10名前後、高学年は15名前後を定員として設定している。

通塾の頻度と時間帯



・1年生:週1日75分
・2年生:週1日75分
・3年生:週2日100分(50分×2)/日
・4年生:週3日(午後5時~8時10分)×2日、(午後5時~7時30分)×1日
・5年生:週3日(午後5時~9時20分)×2日、(午後3時30分~8時30分)×1日
・6年生:週4日(午後5時~9時20分)×2日、(午後1時50分~6時20分)×1日、(午後1時30分~6時)×1日
※4~6年生は、校舎・クラスによって時間帯が異なる場合がある。


授業以外のサポート



 塾での授業以外に、おもに家庭での学習をサポートするITコンテンツを用意している。計算・語彙・漢字などを学習するITコンテンツ「高速基礎マスター」は、タブレットやスマホでいつでも学習できる。また、授業の予習や復習、テストの復習をするために、タブレットやスマホで受講できるIT授業「予習ナビ」「復習ナビ」「週テスト演習」がある。これらの使用はすべて授業料に含まれている。

 また、月に1回、父母説明会を実施し、学習の進捗、学習のポイントなどを伝えている。さらに学期末には個人面談も行い、個々の生徒に応じたアドバイスも行う。


塾選びと活用のポイント


(名門指導会 高野健一先生)

 四谷大塚は、大手塾で「唯一」といっていい、「予習型」を標榜する塾。子どもたちはあらかじめ次の週に習う単元を予習し、その授業に臨む。まっさらな状態で、新しい単元を自分で予習してから授業に臨むのは、社会に出て何らかの課題にぶつかったとき、誰かが解決法を教えてくれるとは限らない、という塾側の思いが込められている。

 つまり、毎週きちんと予習して授業に臨む子と、そうでない子の差がつきやすく、特に通いはじめの段階での「1週間の学習サイクルづくり」に親が積極的に関与するのがよいだろう。

 もともとテスト会として始まったこともあり、カリキュラムと連動した「週テスト」と原則5週に1回の「公開組分けテスト」といったテストシステムは非常によくできており、6年生になったら受験する「合不合判定テスト」は中堅校から難関校の受験校選定の指標としても、非常に信頼できる。

 入塾の時期は、本格的な受験カリキュラムが始まる新4年生の2月がベストタイミングなのは他塾同様。1~3年生を対象とした「リトルスクール」は勉強というよりも遊びやゲーム的な要素が強く、進学塾の低学年向けコースとしては「勉強嫌い」にさせにくい要素があるようだ。

 予習型とはいえ、クラスによってどれくらい予習していけばよいかはまちまち。通うことになる校舎の校舎長や担当講師に直接確認すればよいだろう。また、直営校ではなく準拠校の場合は、「予習シリーズ」を使いながら完全に「復習型」の授業を展開する場合も多い。そのため、塾の授業の進め方や、家庭でやるべきことを入塾時にしっかり確認することが大切だ。

 「予習シリーズ」は他塾のテキストに比べると、予習を前提としているだけあり、子どもが読んでもわかるように解説が詳しく、理科や社会はカラーの写真や図版がふんだんに使われている。親が積極的に勉強内容に関わりたい場合にも、詳しい解説とポイントが判断しやすい紙面は心強いだろう。今年は4年生のテキストカリキュラムが改訂を迎え、やや学習順序などに変更があるが、進度はおおむね従来どおりとなっている。来年、再来年と順次高学年のテキストも改訂となる見通し。

 コロナ対応について、四谷大塚には、従来から受験したいが通塾できない子どものための通信教育「進学くらぶ」(4年生~6年生対象)がある。「予習ナビ」という動画授業で通塾の場合と同じ時間数学習し、週テストで理解度を確認、「復習ナビ」で復習という流れ。通塾するのとまったく同じカリキュラム進度で、家庭で受験学習ができる仕組みになっている。

《工藤めぐみ》

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