加速するeスポーツへの期待…ルネサンス高校 横浜キャンパス新入生が目指すもの

 ルネサンス高等学校は2021年4月、横浜キャンパスにeスポーツコースを開講した。学びの場でもeスポーツへの関心が高まる中、同校の先生方と生徒たちに授業のようすや特徴、目指すものなどを聞いた。

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eスポーツコース生徒数300人越え…ルネサンス高校 横浜キャンパス新入生が目指すもの
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 2018年に高校では日本初の「eスポーツコース」を始めたルネサンス高等学校は2021年4月、横浜キャンパスにeスポーツコースを開講した。学びの場でもeスポーツへの関心が高まる中、同校の松崎寛先生、内山聖也先生、今井康平先生、生徒の「Kuga」さん(2年生)、「M」さん(1年生)の5名に、授業のようすや特徴、目指すものなどを聞いた。

開放的でリラックスできる空間を重視



-横浜校でのeスポーツコース開講おめでとうございます。まず各先生方の役割を教えてください。

松崎先生:ありがとうございます。横浜校では、私たち3人がeスポーツコースの企画と運営、募集活動すべてに携わっています。私の場合は代々木キャンパス兼任、内山先生と今井先生は横浜校がメインです。

内山先生:私は講師アテンドや授業内容の企画、学生サポートをしています。特に授業内容や講師に関しては、生徒の意見やゲームタイトルから今、何が必要かを考えたうえで選定しています。

今井先生:教室運営すべてに関わっています。学校見学のご希望やどういう授業をやっているかといった保護者の方からのお問合わせの対応や、生徒の学校生活をサポートする仕事が多いですね。

ルネサンス高等学校 今井康平先生
ルネサンス高等学校 今井康平先生

--横浜キャンパスにeスポーツコースを開講した背景を教えてください。

松崎先生:eスポーツコースはこれまで大阪・東京・名古屋にありましたが、eスポーツの人気が年々高まってきていることからエリアを拡大しています。多くの入学希望者にこたえる形で、4拠点目の横浜キャンパスを4月から開校しました。横浜キャンパスは内装や設備も今までの校舎イメージを一新しデザインをしており、今後、広げていくキャンパスの旗艦校と位置付けております。横浜キャンパスも今後多くの生徒さんに学ぶ機会を提供し、展開していきたい考えています。

--素敵な内装ですね。横浜キャンパスのデザインコンセプトを教えてください。

松崎先生:「ガレージ」をイメージしたデザインになっています。生徒たちに開放的でリラックスできる空間で過ごしてほしいという思いをこめており、教職員と生徒たちの間の距離感を縮められるよう工夫を凝らしています。生徒が悩みを話したり、近況を報告したりするときに、ふらっと来て気軽に話せるような雰囲気で、できるだけ学校に来るハードルを下げ、楽しく学校に通えたら良いと思います。その分、プレーしているときの声がスタジオから聞こえるかもしれませんが、そうした経験や事象をお互いがひとつの空間で共有できるのも良いと思います。

ルネサンス高等学校 横浜キャンパスの内装は「ガレージ」をイメージ。開放的でリラックスできる空間になっている。
ルネサンス高等学校 横浜キャンパスの内装は「ガレージ」をイメージ。開放的でリラックスできる空間になっている

プログラミングから食育まで、eスポーツに関連した多様な学び



--eスポーツコースのカリキュラムを教えてください。

内山先生:横浜校ではリーグオブレジェンドとフォートナイトの授業があります。これらの授業ではプロや大学リーグ等で活躍する大学生の講師を招き、最新鋭のゲーミングPCを利用して教えてもらっています。またeスポーツ教養として、プログラミングやeスポーツ英会話、食育といった科目を学びます。

 プログラミングではScratchを学びます。横浜では中等部がこの4月からスタートしましたが、そちらはロボットプログラミングを実施しています。高校ではテキストコーディングの橋渡しとしてScratchに触れていき、徐々にゲーム制作に向かいます。

ルネサンス高等学校 内山聖也先生
ルネサンス高等学校 内山聖也先生

 eスポーツ英会話は、海外の大会で英語によるインタビューを受けるときに、自分のことをしっかりと発信できるよう、読み書きだけではなく、聞いて話して相手に伝えることを中心に取り組みます。先日、フィリピンにいる方とフォートナイトを通じて、英語を使いながら一緒にゲームをプレイする授業を行いました。eスポーツを通じて英語でコミュニケーションする楽しさを知ってもらい、成功体験を積み重ねてほしいと思います。

--eスポーツコースと食育はどのように結びついているのでしょうか。

内山先生:例えば、eスポーツのプレイヤーはよくエナジードリンクを飲みますが、その成分はどういうものか、心身にどのような作用があるかなどをこの食育の授業で学びます。具体的には、エナジードリンクに含有されているカフェインについては摂取量が心配なところもありますので、適切な量を適切なタイミングで摂る必要性であったり、一方で大会などで試合の何分前に摂取すると自分の心身にどのような作用が起こり、パフォーマンスや集中力にどのような影響を与えるかであったり。このようにeスポーツを通じ、身体や自らのパフォーマンスと食とを結びつけ、生徒たちが考える時間になります。

松崎先生:企業様から一緒に商品開発したいという話もあり、サンプリングをはじめ、今後は商品開発に関わる場面も出てくるだろうと想定しています。

--ほかに特徴的なカリキュラムはありますか。

内山先生:横浜校では後期からメンタルコミュニケーションの授業も設定されています。大会ではいつもどおりの力を出せる生徒もいれば、そうではない生徒もいる。いかにリラックスして臨めるかが大事ですので、そうしたメンタルを保つためにはどうしたらいいかをこの授業で学びます。

 一方で、eスポーツ独自の文化やコミュニケーション力のままでは、外部の方とのコミュニケーションで自分が意図していない態度として相手に受け取られるケースもあります。そのため、言葉使いや自分の発言を相手がどう受け取るかなども、授業で学んでいく予定です。

さまざまな思いでルネ高を選んだ生徒たち



--ルネサンス高校のeスポーツコースを志望した経緯や理由、プレイしているゲームについて教えてください。

Kugaさん:中1のころにフォートナイトを始めて今年で約4年です。中学受験で進学校に入り、繰り上がりで高校に上がりましたが、将来はゲーマーとして生活したいという気持ちが強くなりました。いやいや何かをするよりは、したいことをする方が前向きだと思い、親と話してeスポーツを学ぶことができる学校を探して説明会に行きました。他の通信制高校とも比較して、eスポーツの時間が充実しているルネサンス高校に決めました。

ルネサンス高等学校 横浜キャンパス eスポーツコースの「Kuga」さん(2年生)
ルネサンス高等学校 横浜キャンパス eスポーツコースの「Kuga」さん(2年生)

Mさん:ゲームは小学校から始めました。フォートナイトは中3のころから始め、現在もフォートナイトが中心です。

 僕は小学校から中学校にかけて休みがちでフリースクールに行っていました。進学先は自分の時間を多めに持てる通信制高校を最初から想定していました。中3の5月ころに合同説明会に行き、配布資料にルネサンス高校があったのが志望のきっかけになりました。

--eスポーツコースという進路選択を親御さんは最初から理解してくれましたか。

Kugaさん:母が自分の意見を尊重してくれて最初から前向きに検討してくれました。ただ父は勉強すべきという考えで、反対されるのはわかっていましたが、自分のやりたいことをやって生活したい、ここは譲れないと説得して、最終的には入学を認めてくれました。

ルネサンス高等学校 横浜キャンパス eスポーツコースの「M」さん(1年生)
ルネサンス高等学校 横浜キャンパス eスポーツコースの「M」さん(1年生)

Mさん:父も母もやりたいことをやりなさい、応援しているよという感じでした。もちろん話し合いはしましたが、基本的には肯定的で、eスポーツをやりたくて、ここに行きたいと言うと、じゃあ応援するよみたいな感じで、結構トントンと話が進みました。

--現在どのような学生生活を送っていますか。

Kugaさん:eスポーツは火曜と木曜に授業、月曜は部活動で講師に個別で教えてもらっています。以前の学校の時は起床時間も6時前後が多かったですが、ルネサンス高校ではホームルームが10時からで、そこに合わせた生活になっています。今はゲームに向かう時間を自分で作る感じで、学校のレポートは寝る前に取り組み、期限までには提出しています。

ルネサンス高等学校 横浜キャンパス eスポーツコースのようす
ルネサンス高等学校 横浜キャンパス eスポーツコースのようす

Mさん:Kugaくんと同じ時間割、部活動で学校に来ています。23時にはゲームも切り上げて0時前には寝て8時には起きています。授業がある日以外はゲームをやりながら、学校のレポートをこなして提出しています。

--入学してまだ2か月ほどですが、これまでに印象に残っている授業はありますか。

Kugaさん:やっぱりフォートナイトをしながらの英会話です。日本語に訳されていないゲームもあるので自分で訳したり、日本の人よりも早く情報を得られるので、とても役に立つと思います。

Mさん:僕も英会話です。でも、実は中学を卒業する寸前までは英語は大嫌いな科目だったんです。

可能性を広げるために



--現在の目標を教えてください。

Kugaさん:まずは今、エントリーしているeスポーツ大会「ステージ0」での優勝です。また週1回あるフォートナイトのキャッシュカップという賞金が出る大会(世界の各地域に分かれて競うゲームタイトル内の公式大会で日本はアジアに属している)で1桁の順位に入ることを目標としています。

Mさん:やはり僕も「ステージ0」での優勝です。とにかく今は直近の大会に集中しています。

--eスポーツへの注目が高まっています。どのように感じていますか。

Kugaさん:注目されることはありがたいです。知ってもらえると競技人口が増えて、いろいろな人とも対戦できて経験も増えるので良いと思います。

Mさん:こうした学ぶ場もできて、環境として上を目指せるようになっていますので、注目度が高まるのはとてもうれしいです。

--将来の夢を教えてください。

Kugaさん:どこかのチームにプロとして入りたいですね。eスポーツはその道を極めた、極めようとしている人がやっていて、そうした人たちの仲間入りをするためにも、やるなら負けたくない、上手くなりたいという気持ちが強いです。

Mさん:国内外でeスポーツに関わる仕事、たとえば裏方や選手のサポートといった仕事をしたいと思っています。ただ本気でeスポーツをやれば、内山先生のようにeスポーツと関わる仕事をされている方に出会う機会も増えると思いうので、その中で少しずつ将来のイメージを具体的に描けるようになれたらと思います。

ルネサンス高等学校 横浜キャンパス eスポーツコースのようす
「国内外でeスポーツに関わる仕事、たとえば裏方や選手のサポートといった仕事をしたい」と話してくれた1年生のMさん

目標と課題を明確化



--入学後にゲームの実力は伸びたと感じましたか。

Kugaさん:今までは自己流でしたが、講師の方によって目標がはっきりして課題に対してまっすぐに取り組めるので成長を実感しています。たとえば練習方法の動画などを自分ひとりで探していましたが、サポートがあるとやみくもに探さず、効率良くできるので、成長速度は明らかに早いと思います。

Mさん:僕も入学前と比較すると伸びていると思います。また、同じ熱量をもって取り組む仲間の存在の重要性を感じています。練習相手として戦ったり、チームを組んだりするには、同じぐらいの熱量をもってeスポーツに取り組む人たちの存在が不可欠だな、と。

--先生と生徒の距離が近いように感じます。先生方はどのようなことを重視して、生徒たちと向き合っているのでしょうか。

内山先生:私が講師にお願いしているのは、目標やスタートラインは生徒ひとりひとり違うので、まず彼らに計画と目標を自覚させて、生徒自らがPDCAのサイクルを回せるようにするということです。それが成長につながります。

 教えるという行為は「言語化すること」だと考えています。ゲームに限らず何かが得意な人の中には、できるのが当たり前すぎて、できない理由が分からないという人もいる。しかしそれを言語化できる人は、こういうふうに練習をしたことでここを強化できるからという風に、具体的に説明ができる。教えることが上手い人というのは、対話や文章で論理立てて伝えられる人なのだと思います。そうした意味で講師陣はかなりレベルが高いと感じています。

 今は東京と横浜で20人ほどの講師がいます。プロと大学生半々です。今までは教室を1人の講師が見る体制でしたが、生徒数が増えているうえ、これからeスポーツを始める生徒もいれば、すでにある程度ゲームが強い生徒もいますので、ひとりで包括的に運営するのは難しくなりました。そのため東京と横浜では今、2~3人の講師を配置して体制を強化して運営しています。

 昨年取材していただいた生徒の「ごっどふぃすと」さんは、卒業後、この横浜校で講師をしています。本人もeスポーツに関わっていきたいということで、大学に行きながら時間を作って教える立場になりました。他にも講師をやってくれている卒業生がいますし、立場が変わっても同じeスポーツが好きな生徒たちがつながっています。

多様な価値観をもつ必要性



--進路を考えている中学生や保護者の方にメッセージをお願いします。

今井先生:eスポーツはこれからも発展すると思います。ただ保護者からすれば、進路選択は悩ましいでしょう。実際、ゲーム業界に進んだことがある私自身も、親ともめた経験があります。

 もしかしたらeスポーツにはまだ抵抗があるかもしれませんが、業界が大きくなれば、プロゲーマーではなくとも、その周りをサポートする仕事や関連する仕事も増えます。そうした裾野の広さも含めてサポートしますので、ぜひ選択肢のひとつとして考えてもらえると嬉しいです。

内山先生:eスポーツには、プロプレイヤーだけでなく、YouTuberや配信者、講師、大会・イベントのADやプロデューサー、ゲーム開発者など多様な仕事があります。eスポーツの仕事に関わりたいけれど迷っている人は、まずは気軽な気持ちで、一度、オープンキャンパスや体験授業に来てください。

ルネサンス高等学校 横浜キャンパス
ルネサンス高等学校 各校は、オープンキャンパスや体験授業も行っている

松崎先生:ルネサンス高校は、生徒のやりたいことができる環境を大事にしています。eスポーツの世界で仕事ができるようになることも大事ですが、自らがチャレンジしたことを通じて、違った価値観をもっていくこともあると思います。そうした多様な価値観をもてるように支えていきたいと考えています。

Kugaさん:横浜校に入学してくれる人が増えれば、もっと楽しくなると思います。ルネ高は目標もはっきりして、楽しく切磋琢磨できる場所なので、ぜひ一度来て、見てほしいと思います。

Mさん:仲間も増えれば、気が合う人に出会う機会も増えますので、そんな仲間と一緒に、もっと強く、もっと上を目指せたらと思います。ここにはそれができる環境があると思います。

--ありがとうございました。

 新しい横浜キャンパスでは、イベントの利用やスタジオに集合してオンライン大会に出場することも想定しているという。世界に拡がるeスポーツ人気を考えると、eスポーツ分野は子供たちの進学先・就職先として有望な選択肢のひとつと言える。

 さまざまな価値観をもつ生徒たちが集い、教職員の温かみあふれるサポートのもとで良い刺激を与えあう場所。迷っているならば一度、横浜キャンパスを訪れるのも良いだろう。デジタルネイティブキッズたちはまるでゲームのクエストのように、迷い道から自分の道を見出していけるはずだ。
ルネサンス高等学校

《佐久間武》

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