【高校受験】都立高入試の男女別定員、撤廃求め弁護士団体が意見書

 東京都立高校入試の男女別定員制をめぐり、「都立高校入試のジェンダー平等を求める弁護士の会」は2021年6月28日、制度の撤廃を求める意見書を公表した。憲法等で保障された権利を侵害すると主張し、性別による格差の是正や公正な入試の実施を強く求めている。

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 東京都立高校入試の男女別定員制をめぐり、「都立高校入試のジェンダー平等を求める弁護士の会」は2021年6月28日、制度の撤廃を求める意見書を公表した。憲法等で保障された権利を侵害すると主張し、性別による格差の是正や公正な入試の実施を強く求めている。

 「都立高校入試のジェンダー平等を求める弁護士の会」は、医学部入試における女性差別対策弁護団の有志が設立。都立高校入試の男女別枠問題は見過ごせない女性差別であり、医学部入試の女性差別と根を同じくする問題との考えから、弁護士の立場で問題点を指摘する意見書を公表した。

 都立高校入試では、公立中卒予定者の男女比率に基づく男女別定員と男女別の総合成績による合否判定方法により、合格基準点の男女格差が生じ、大半の高校で女子の点が男子を上回っている。東京都は2000年から、9割まで性別ごとに合否判定して残りを男女合同で判定する男女別定員制緩和制度を導入し、約3割の学校が実施しているが、男女格差は解消されていない。

 意見書では、都立高校入試における男女別の定員制度および合否判定行為は、個人が「その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利」を保障する憲法26条1項、性別による教育上の差別を禁止する教育基本法4条1項等に違反し許されない性差別であると指摘している。

 男女別定員制度については、「公私協調の名のもとで、私学への配慮と男女別定員設定を最優先とする一方で、個人の成績による評価を劣後させ、その結果として生じる男女間の合格基準点の著しい格差を許容している」と批判。女性差別撤廃条約10条b項にある「男女が『同一の試験』を受ける権利」や、能力に基づく選抜の否定であり、学力試験の体をなしておらず、都の教育行政上の裁量を考慮しても許されない性差別であるとして、速やかな撤廃と個人の尊厳に基づいた公正な入試の実施を強く求めている。

《奥山直美》

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