なお、全国学校図書館協議会と毎日新聞社が主催する「青少年読書感想文全国コンクール」は2021年で67回目となる。地方審査を経て中央審査会へと進み、段階的に審査が行われるため、締め切りは都道府県により異なる。作品は在籍校を通して提出する。
小学校低学年(1、2年生)
あなふさぎのジグモンタ
ジグモのジグモンタは、「あなふさぎや」をしている。洋服に開いてしまった穴をふさぐ仕事。でも、この頃はみんなせっかちで、すぐに新しいものを欲しがる。「穴ふさぎなんて、もう役に立たないんだ」。気落ちしたジグモンタは、気晴らしに森に出かけるが…。
そのときがくるくる
だれにでも きらいなものってあるよね。 きみは どう? ぼくは あるよ。 どうしても 食べられないもの。 「いまはきらいでも、いつかきっと おいしく食べられるときがくるさ」 って おじいちゃんは いうけど、 ほんとかなぁ。
みずをくむプリンセス
わたしはプリンセス・ジージー。わたしの王国、それはアフリカの空と土ぼこりのたつ大地。でも、そこに水はない。だからわたしは、朝はやくおきて、ずっとずっととおくまで水をくみにいく。いつの日か、わたしの王国に、つめたくてきれいな水があるといいな。いつの日か、きっと。アフリカの、ある水くみ少女の一日を描いた絵本。
どこからきたの?おべんとう
おべんとうには卵焼き、アジフライ、ポテトサラダなど、おいしいものがいっぱい! でも、どこから来て、どうやって食べられるようになったのかな。食材の生産現場、流通過程、調理の仕方もわかるユニークな食育絵本。
小学校中学年(3、4年生)
わたしたちのカメムシずかん:やっかいものが宝ものになった話
じつはカメムシには、美しいものや、かわったかたちのものなど、いろんな種類がいて、よく見ると、なかなかおもしろい生きもの。岩手県葛巻町にある小学校で、そんなカメムシをみんなでさがして、調べて、「カメムシずかん」まで作ってしまったお話。
ゆりの木荘の子どもたち
ゆりの木荘は、100年以上も前に立てられた立派な洋館。いまは有料老人ホームになり、ツバキさんやサクラさんたち、6人の老人が住んでいる。春風が吹くある日、サクラさんはだれかが歌う手まり歌──時々聞こえる歌──を耳にする。ツバキさんにいわれるまま、サクラさんがその歌を口ずさんでみると、ふたりは突然、子どもになってしまった。それは、77年前の約束のために、「あの子」がサクラさんたちを呼び寄せたから……。
ぼくのあいぼうはカモノハシ
道で出会ったカモノハシがオーストラリアに帰りたいって。どうすればいい?バス?船?飛行機?ほのぼのとした冒険物語!
カラスのいいぶん:人と生きることをえらんだ鳥
身近な鳥、カラス。ごみをちらかす、黒くて不吉、大きくてこわい……などわるいイメージばかり。でも、本当はどんな鳥なのだろうか。もともとは森でくらしていたカラス。なわばりあらそいのきびしさ、子育ての苦労など、いがいと知られていないカラスの生活をほりさげる!カラスを愛する著者がユーモラスに語るノンフィクション。
小学校高学年(5、6年生)
エカシの森と子馬のポンコ
子っこ馬のポンコが行く。ここで、ポンコはほんとうに自由だ。すきなところへ、すきなように歩いていく。でもある日、川の水の声も、風の声もいつもと違う。それがおとなになるっていうこと?森の長老の木・エカシ、ここにいるのに体はどこにでもあるというカメムシたちが、ポンコにおとなになることを教えてくれる。──加藤多一が北海道の森で暮らす子馬のポンコの成長を、やさしくあたたかなまなざしで描く。
サンドイッチクラブ
珠子はダブル塾通いをする小学6年生。ぼんやりむかえた夏休みに、無心に砂像を作るヒカルと出会う。強烈な個性をもち、成績もトップクラスのヒカルは「戦争をなくすためにアメリカの大統領になる」という。家庭環境も性格も異なるふたりの少女が、たがいを受け入れ、まっすぐに世界と向きあっていく姿をさわやかに描く。
おいで、アラスカ!
転校してきたスフェンはパーケルをからかうイヤな男の子。だが昔飼っていたアラスカがスフェンの介助犬だとパーケルは知り、取り戻そうとスフェンの家にしのびこむが…。オランダの児童文学賞、銀の石筆賞を受賞。
オランウータンに会いたい
インドネシアに生息するオランウータン。熱帯雨林保護のシンボルになっているものの、野生での行動はほとんど明らかになっていない。20年近くオランウータンを追い続ける著者は、時には20メートルを超す巨木に登り、時には夢中で追いかけてジャングルで迷子に。オランウータンの思慮深い目に魅せられた著者が、霊長類研究からわかった未来を作る知恵を、魅力的なフィールドワークを通じて伝える。
中学校
with you(ウィズ・ユー)
中学三年生の悠人は、高校受験を控えている。優秀な兄・直人や、家族を置いて家を出ていった父親、悠人でなく直人に大きな期待をかける母親、といった家族のなかで、自分の存在意義を見出せない悠人は、日課にしていたランニングの途中、公園のブランコに座る少女・朱音と出会う。どこか影のある表情の朱音に、次第に惹かれていく悠人。朱音が、病気の母親の介護や幼い妹の世話、家事をひとりで背負う“ヤングケアラー”であることを知った悠人は、彼女の力になりたいと考えるようになるが……。
アーニャは、きっと来る
第二次世界大戦中のフランスの山間部。12歳の少年ジョーは、戦争に行った父のかわりに、ヒツジの世話をしている。ある日、山の中で見知らぬ人に出会ったことから、ナチスの迫害をのがれたユダヤ人とかかわることに……。イギリス児童文学界を代表する作家、マイケル・モーパーゴの新作。
牧野富太郎:日本植物学の父
子どもたちに身近なテーマですぐれた研究を行った科学者を紹介する児童書伝記シリーズの一冊。「日本植物学の父」と言われる牧野富太郎の研究にかける情熱と生き方、支えたまわりの人物などを紹介。植物のつくりや分類のしくみなど、科学的資料も満載。
高等学校
水を縫う
松岡清澄、高校1年生。1歳の頃に父と母が離婚し、祖母と、市役所勤めの母と、結婚を控えた姉の水青との4人暮らし。学校で手芸好きをからかわれ、周囲から浮いている清澄は、かわいいものや華やかな場が苦手な姉のため、ウェディングドレスを手作りすると宣言するが――「みなも」「愛の泉」ほか全6章。世の中の「普通」を踏み越えていく、清々しい家族小説。
兄の名は、ジェシカ
4歳年上のジェイソンは、サムの自慢の兄。おだやかでやさしくて、忙しい両親にかわって、小さいときからサムの面倒をよくみてくれた。サッカー部のキャプテンで、学校ではみんなの人気者。だけどこのごろ、少し様子が変わったみたいだ。ジェイソンはある日、自分はトランスジェンダーであり、男であることが耐えられない、と家族の前で告白する。大好きな兄の変化にサムはとまどい、閣僚の母親、その秘書を務める父親はうろたえる。おりしも現首相が退任し、サムの母親は有力な次期首相候補になるはずだったが、ジェイソンのことがマスコミに取り上げられるようになり……。生物学的な性、社会的な性、そして本人が自覚する性の問題を、家族4人の立場から、わかりやすく、誠実に、時にコミカルに描く。
科学者になりたい君へ
「どうすれば科学者になれるのか?」研究生活、論文、ノーベル賞、科学の面白さ……日本の科学研究を牽引した著者が実例を交えて案内する。科学を見る目がガラッと変わる、全ての人に必読の書!