大学生等向け、司法書士が無料チャット調停を試験運用

 日本司法書士会連合会(日司連)は、2022年3月31日までスマホ・PCで法的トラブルを相談・解決する体制を実現するための施策の一環として、「無料チャット調停」の試験運用を開始した。トラブルを抱えた全国の大学生・専門学校生から申込みを受け付ける。

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 日本司法書士会連合会(日司連)は、2022年3月31日までスマホ・PCで法的トラブルを相談・解決する体制を実現するための施策の一環として、「無料チャット調停」の試験運用を開始した。トラブルを抱えた全国の大学生・専門学校生から申込みを受け付ける。

 近年、あらゆる業界においてデジタルトランスフォーメーション(DX)が推進されている。司法分野でも裁判のIT化に加え、裁判外紛争解決手続(Alternative Dispute Resolution=ADR)についても、2020年10月に法務省に小澤吉徳日司連会長が委員を務める「ODR推進検討会」が設置される等、その手続きの1つとして、オンライン化(Online Dispute Resolution=ODR)を推進する動きが本格化している。

 ODR推進検討会の議論を踏まえ、チャット型調停の課題抽出のため、他士業団体に先駆けて、システム開発事業者と連携し、2020年度(2020年12月4日から2021年5月31日)に「ODRトライアル・プロジェクト」を実施した。

 ODRトライアル・プロジェクトは、「LINE相談からチャット型調停へのスムーズな移行」を念頭に置いたものだった。調停に移行し合意成立に至った案件もあったが、多くの案件はLINE相談のみで終了し、件数そのものが限定的だった。

 今回、あらためてチャット型の調停に絞り、「2021年度ODRトライアル・プロジェクト」を実施する。

 2021年度のトライアル・プロジェクトは、大学生・専門学生をメインのターゲットに絞り、大学・専門学校の協力のもと、学内のWeb広報媒体を活用した広報展開を予定している。SNS・チャット型のコミュニケーションに親しみがある世代の大学生等が、トラブルに巻き込まれた際に、気軽に活用できる紛争解決の窓口として機能することを想定している。

 具体的には、大学・専門学校・留学生の抱える「引越しをしたところ、法外な原状回復費を請求された」「アルバイト先からアルバイト代が支払われない」「インターネットで商品を購入したが届かない」「知人から高額なものを買わされて困っている」等のトラブルに対して、紛争解決のため、ODRをベースにしたクラウド型プラットフォーム「Smart Judgement(システム提供事業者:デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー)」を利用し、オンラインで調停人(司法書士)を交えた話し合いの場を提供する。

 相談申込みはWebサイトより、問合せはLINEで受け付けている。相談内容をチャットにより投稿する。問合せには司法書士が対応。詳細はWebサイトで確認できる。調停手数料・システム利用料は、無料。

◆チャット調停
実施期間:2022年1月14日(金)~3月31日(木)予定
調停手数料・システム利用料:無料
申込方法:Webサイトから申し込む
問合せ:LINEで受け付けている

《大田芳恵》

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