【高校受験2022】東京都立高校入試・進学指導重点校「日比谷高等学校」講評

 令和4年度(2022年度)東京都立高等学校入学者選抜(都立入試)の学力検査が、令和4年2月21日(月)に実施された。リセマムでは、SAPIX中学部(サピックス)の協力を得て、学力検査・進学指導重点校「日比谷高等学校」の講評を速報する。

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【高校受験2022】東京都立高校入試・進学指導重点校「日比谷高等学校」講評
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 令和4年度(2022年度)東京都立高等学校入学者選抜(都立入試)の学力検査が、令和4年2月21日(月)に実施された。東京都教育委員会が令和4年2月14日に発表した最終応募状況によると、全日制は3万306人の募集人員に対して4万1,489人が志願し、最終応募倍率は1.37倍。

 リセマムでは、SAPIX中学部(サピックス)の協力を得て、学力検査・進学指導重点校「日比谷高等学校」の講評を速報する。この他の共通問題(全5教科)と進学指導重点校(全7校)についても同様に順次掲載する。


日比谷高等学校<英語>講評



1.リスニング問題:小問数5


 例年通り、問題Aと問題Bの2つに分かれていました。問題Aは設問ごとに対話とそれに関する質問を聞き、適切なものを選択肢から答える形でした。問題Bはカナダの中学生によるスピーチで、その内容に関する選択問題と英文記述問題でした。

2.対話文の読解(約1120語):小問数8


 群れで活動する動物の話を織り交ぜながら、リーダーとはどんな存在であるかについて、4人の生徒が話し合う対話文です。本文では様々な動物の例が述べられており、それらを素早く正確に整理する力が複数の設問で求められました。問4の、本文中の空所に入る単語の組み合わせを選ぶ形式は近年出題がありませんでしたが、確実に正解したい問題です。問5では2021年に引き続き、15語以上で書く英作文が出され、本文中の情報をヒントに書くべき内容を推測する必要がありました。

3.物語文の読解(約1180語):小問数7


 怪我をして部活の大会に出場できなくなった少年が、自分の役割を見つける物語文です。物語文は4年ぶりの出題でした。問3の与えられた語句の並べかえは、文法の力だけでなく、文脈を正しく把握しておく必要もあり、解きづらいと感じた受検生もいたと思われます。問5の30語以上で書く英作文は、本文のあらすじを整理した上で解答するのがポイントで、思考力と記述力が求められました。

4.自由英作文:小問数1


 ある都市での公共施設の建設に関して、良い点と問題点を理由とともに50語以上で述べる問題です。2021年までの1つのイラストを見て記述する形式から、2つの資料を参考にして解答するものに変化しましたが、いずれも分析力が求められ、難度は高めです。


日比谷高等学校<数学>講評




1.小問集合


 平方根の計算、二次方程式、一次関数の変域、硬貨の確率、作図の5問構成で、2021年とほぼ変化はありませんでした。難度としては取り組みやすく、日比谷高の受検生であれば、いずれもミスなく確実に正解したいところです。

2.二次関数


 2つの放物線に関する問題でした。〔問1〕〔問2〕はいずれも基本問題ですが、〔問1〕は座標の符号に注意が必要です。〔問3〕までスムーズに解答できた受検生も多かったことでしょう。

3.円


 〔問1〕は角度を求める基本問題で、例年通りの出題でした。〔問2〕は証明問題でしたが、方針は立てやすいため、対応できた受検生が多かったと思われます。〔問3〕は〔問2〕を利用する問題で、計算量も多くないため正解までたどりつきたいところです。

4.空間図形


 底面がひし形の四角すいに関する問題でした。〔問1〕で文字を用いた形式がやや目新しく、戸惑った受検生もいたことと思われます。〔問2〕(2)は〔問1〕の結果から解法の方向性を見出すことができれば正解できたことでしょう。


日比谷高等学校<国語>講評




1.漢字の読み取り


 日常生活では目にする機会の少ない熟語を中心に、例年通り計5問が出されました。

2.漢字の書き取り


 四字熟語の一部を含む計5問で、難度は2021年と同程度です。

3.朝井リョウ『スター』


 映画監督との対話を通じて主人公が大切なことを学んでいく過程を描いた小説文でした。年長者とのやりとりの中で主人公が気づきを得るというストーリー構造は、2021年をはじめとする近年の出題内容とも共通します。2022年は記述が出されず、設問はすべて記号選択でした。ほぼすべての傍線部に比喩表現が含まれているため、受検生は表現を的確に読み解く必要がありました。

4.村上陽一郎『文明の死/文化の再生』


 自己の価値観を相対化することの重要性について述べた論説文でした。硬質な印象の文体ですが、テーマ自体はシンプルです。記号選択4問+制限字数80字以内の記述1問+制限字数250字以内の作文1問の6問構成で、全大問の中で最も多くの作業量が要求されています。大問3で記述がなくなったぶん、ここである程度時間をかけて記述や作文の解答を充実させていくことがポイントでした。

5.森本哲郎『月は東に』


 与謝蕪村が句中で用いた「三径」という言葉を糸口に「文人」のあり方について考察した文章でした。複数の漢詩が引用されている点に目を引かれますが、その周辺で必要十分量の説明が加えられているため、丁寧な読み取りに徹することが肝要です。例年抜き出し問題がありましたが、2022年はすべての設問が記号選択となりました。


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 このレポートは、令和4年2月22日(火)に速報としてSAPIX中学部が作成したもの。

 SAPIX中学部は、新小学5・6年生、新中学1・2・3年生(現小4・5・6生、現中1・2生)を対象に「高校入試分析会 ~地域別 入試概況~」および「高校入試分析会 ~志望校別 データ分析~」をオンライン配信する。3月18日(金)から視聴可能。講演内容や視聴方法などの詳細は、SAPIX中学部のWebサイトで確認できる。

協力:SAPIX中学部

《編集部》

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