デジタルリテラシーを親子で高めるコミュニケーション方法…TikTokの安心安全な利用に向けて

 リセマムとTikTokは2022年3月25日、オンライン講座「わが子を守るために親子で高めるデジタルリテラシー」を開催した。「デジタル生活は足し算の考えで改善すべき」と説く尾花紀子氏の意図するところとは。TikTokが提案する安心安全への取組みとともに講座を概観する。

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TikTokが提案する「デジタルウェルビーイング」のための対策と親子のコミュニケーション
TikTokが提案する「デジタルウェルビーイング」のための対策と親子のコミュニケーション 全 7 枚 拡大写真

 教育情報サイト「リセマム」とショートムービープラットフォーム「TikTok」は2022年3月25日、TikTokをはじめとするSNSを未成年者が安心安全に利用できる環境整備を促進するため、保護者がデジタルリテラシーに関する知識をさらに深めることのできる保護者向けオンライン講座「わが子を守るために親子で高めるデジタルリテラシー」を開催した。100名の定員を大幅に上回る165名から申し込みがあり、保護者の関心の高さが窺い知れた。

 利便性が高く、共感でつながるTikTokは、子供たちにとってのコミュニケーションの中心にある一方で、海外を中心に「失神ゲーム」などの危険なチャレンジ動画の投稿やSNSいじめなどの問題を指摘する声もあがっている。講座では、TikTokが提供する安全機能を保護者自身が理解し、わが子を守るためのデジタルリテラシーを考える機会を提供した。

 講座前半は、TikTok Japan 公共政策本部・金子陽子氏がTikTokの魅力や利用の実態、安心安全な利用に向けた対策を紹介。また、安心ネットづくり促進協議会・普及啓発委員会副委員長の尾花紀子氏がデジタル世代の子供を育てるにあたってのネットとの上手な付き合い方や学んでおきたいこと、親子の対話のコツなどについて説明した。後半は参加者からの質問に答えるパネルディスカッションを行い、SNSのトラブル対策やデジタルリテラシーについて理解を深めた。

TikTok セーフティセンター保護者向けページ

ダンス動画だけじゃない、TikTokに集まる多彩なコンテンツ

 オンライン講座「わが子を守るために親子で高めるデジタルリテラシー」では、まずTikTok Japan 公共政策本部の金子陽子氏がTikTokの紹介とともに、同社が行っている安全対策の取組みを紹介した。

 TikTokは、世界の150の国・地域において、35言語で展開し、短い尺の動画を気軽に編集・投稿・視聴できるショートムービープラットフォームとして人気を集め、全世界で累計35億ダウンロードを突破(Sensor Tower調べ)している。

 金子氏によると「当初は若い女の子が踊っているイメージもあったかもしれないが、昨今はユーザーも、投稿される動画コンテンツも多様化の傾向にある」という。具体的には、職人の方が伝統工芸品の作り方を教えてくれる動画や、海外居住経験者が楽しく英語を教えてくれる動画など、文化や教育、技術、ライフハックなど幅広く学べるコンテンツが豊富に出てきており、その発信元も、美術館や報道機関、NPO、大学・教育機関などさまざまだ。撮影済みの動画を投稿するだけでなく、ライブ配信が増加しているのも最近の特徴だという。

オンライン講座に登壇したTikTok Japan公共政策部の金子陽子氏

TikTokが取り組む安心安全施策の4つの柱

 このように幅広く活用されているTikTokだからこそ、「誰もが安心安全に利用でき、快適に感じるアプリの環境を提供することが最優先課題」と金子氏は話す。そのためTikTokでは、青少年の安全について最優先として取組みを強化しており、その対策として1)ルールの整備、2)安全機能の整備、3)教育啓発の推進、4)外部との連携を通じた安心安全への施策の4つの柱に取り組んでいる。

 「ルールの整備」に関しては、利用者の安心安全に関する「コミュニティガイドライン」の設置。誰もがお互いに信頼と敬意をもって対話できる場を保つために、ユーザーが守るべきルールだ。TikTokではすべての動画を24時間365日体制で審査しており、同ガイドラインに違反するコンテンツは削除やアカウント停止等の対応も行っている。金子氏は「TikTokは決して無法地帯ではない」と、安心安全に関する対策への理解を促した。

 「安全機能の整備」については、下記の主な機能を紹介した。

・16歳未満のユーザーは、DM(ダイレクトメッセージ)の使用不可
・DMでは写真・動画の送信不可(TikTokに投稿されたコンテンツは除く)
・DMの受信範囲は最大でも「友だちのみ」(知らない人からのメッセージは受け取れない)
・アカウントの公開範囲の設定が可能
・コメントはユーザーが承認しない限り非表示とする設定が可能(フィルター機能もあり)

 また、特に16歳未満のユーザーには対策を強化し、アカウントは初期設定で非公開、自分の動画に対するコメントは「オフ(誰もコメントできない)」または「友だちのみ」の設定となっている。ペアレンタルコントロール機能もあり、不適切なコンテンツやDM、コメントできる人の制限に関しては保護者が管理することもできる。

 さらに最近評価を得ている機能として、Rethink(再考)機能を紹介した。これは、ユーザーが加害者にならないように、不適切なコメントを投稿しようとすると「本当にこのコメントを投稿しますか」と再考を促すアラートが表示されるもの。コミュニティガイドライン違反のおそれがある言葉を含む内容をコメント欄に入力すると表示されるもので、実際にこのアラートが表示されたユーザーのうち、10人に4人を超える人がコメントの撤回や編集を選択しており、不適切なコメントを防止する効果が高いという。

 「教育啓発の推進」と「外部との連携」については、各省庁やNPOなど外部機関、専門家と連携して、誹謗中傷や自殺、自画撮り被害や性被害を防止する啓発活動を推進している。特設ページの制作や、啓発座談会のライブ配信、人気クリエーターとコラボした啓発動画やメッセージの配信、保護者向けの安心安全リーフレット制作など、さまざまな方法で活動に取り組んでいる。金子氏はTikTokを安心して安全に活用してもらうために、今後も安全対策に取り組んでいくと力を込めた。

TikTok セーフティセンター保護者向けページ

感覚の違いを前提に、Z世代の子供たちに接する

 ついで、情報モラルやインターネットリテラシー教育や普及・啓蒙活動を行っている安心ネットづくり促進協議会・普及啓発委員会副委員長の尾花紀子氏が登壇。「デジタル社会を生きる子どもたちを育てる」と題して、子供たちが幸せに生きていけるように、大人が家庭や学校でできることについて参加者に話題を投げかけた。

 尾花氏はまず、4月から選挙権を得る成人年齢が18歳に引き下げられたことに触れ、「お見せする資料を参考にして若者の投票率を上げる案を考えてみましょう」と提案。表示された資料には年代別の1日あたりの各種メディアの平均利用時間が示されており、若い世代ほどインターネットの利用が多く、高齢になるほどテレビや新聞のオールドメディアの活用が多い結果となっていた。

話題のきっかけに提示された中学受験予想問題に関するスライド

 そして、若者の投票向上のための施策としてもっとも有効なのは「テレビや新聞だけでなく、ネットを利用して選挙の関心を高めること」と紹介。もはや若い世代はネットが当たり前の世代であると、あらためて解説した。

 本講座のテーマの主な対象となるのは「Z世代」、つまり1990年代~2010年前後の生まれの、18歳未満の青少年だ。スマホをメインに使う、いわゆる「デジタルネイティブ」であり、保護者世代とは感覚が大きく異なることを前提として理解することが大切だという。Z世代の子供たちのネットに関する感覚や使い方を正しく把握したうえで、排除や拒絶をするのではなく、保護者の側から歩み寄り、見守ることが重要と語った。

Z世代の子供たちの特徴

デジタル社会でやるべきことを整理する3つのヒント

 そのうえで尾花氏は、デジタル時代の子育てを考える3つのヒントを紹介した。

目的別に端末の使用を切り分ける

 1つ目として紹介したのは「目的別に端末の使用を切り分けること」。学校で配布されたGIGAスクール端末(オフィシャルの端末)と、家庭で購入する私用の端末は、現時点では切り分けて使うべきだと語った。GIGAスクール端末については、「現在各学校や教育委員会で、理想の使い方について議論がされている。トライ&エラーを通じて模索している時期であるため、オフィシャルの端末の使用法については学校に委ね、家庭で考えるべきはプライベートの端末についてのみ。切り分けて考えることで保護者の負担も軽減すると思う」と話した。

使用しているアプリを把握し、アプリごとにルールをつくる

 2つ目は「アプリごとにルールをつくること」。パソコンやタブレット、スマホなどのハードウェア(機器そのもの)とそれに付随するOSは、各事業者が安全設計を行ったうえで提供しており、安全な環境を整備しやすい一方で、SNSアプリなどのソフトウェアは提供元によって仕様や安全対策が異なる。そのためソフトウェアの利用に関しては、ユーザー側でのルールづくりが必要であり、保護者のサポートもより大切だと述べた。

「わが家のオリジナルルール」をつくる

 3つ目は「『わが家のオリジナルルール』をつくること」。社会全般のルールを適用するのではなく、家庭ごとの状況に応じて、わが子にあった使い方を模索していく必要がある。これら3つのヒントを考慮しつつ、状況によって視点を切り替え、冷静に対処するべきだとした。

歩み寄り、知り、正しく見守る

 さらに尾花氏は、家庭で気を付けたいことや意識したいこととして「年齢や能力・使い方に合わせた対応をするために、会話を心掛けてほしい」と強調した。具体的には、「保護者自身が使い方を知る・理解する」「安全利用のために正しく見守る」ことを指摘。「心配しすぎて大騒ぎしたり、話も聞かずに一方的に怒ったりすると子供が何も話さなくなってしまう。安全利用のために、保護者が正しく見守ることが大事で、子供が話さなくなる環境をつくらないように、何でも話し合いながら親子で安全な利用方法を模索してほしい」と、親子で話し合いつつ対応していくことを勧めた。

 尾花氏からは、具体的なアドバイスも紹介された。子供の年齢が小さいうちは、習慣化してしまうことで、成長の妨げにならないよう、保護者の管理のもと、一緒に活用する。成長に伴い発達段階に応じてフィルタリング設定と使い方のルールを親子で話し合い、高校生から18歳の成人に向けてはスクリーンタイムの管理などの各種機能や設定などをうまく使って自らコントロールするよう、サポートする。また、デジタル端末の適切な使用を通して心身の健康を保つ「デジタルウェルビーイング」の概念を紹介し、親子で話し合いながら心身の良好な状態を継続すべきと話した。

デジタルウェルビーイングを叶えるための親子関係

 SNSは、使い方次第でプラスにもマイナスにもなる。尾花氏は、年齢別の対応として以下を紹介した。

小学生以下:SNS利用の対象年齢に満たないことを親子ともに認識する(対象年齢に達していないため使用しない)
中学生:発信者責任や情報の偏り、危機管理などを正しく認識する
高校生~18歳まで:スマホの設定やツールを賢く活用し、自分の心や体、未来を守る

 尾花氏は「特に高校生においては、親が子供に教えるよりも、親が子供に教わる(子供が親に教える)ことが、子供自身の深い学びにつながる」と話す。4月からの成人年齢引き下げに伴い、これからの高校生には学んでおくべきことが多くある。契約に関するトラブルや、投資詐欺のターゲットとしてトラブルに巻き込まれる可能性があると指摘。こうした事態を予防するために、行政や警察、各種団体などが公開しているトラブル防止のサイトや相談窓口、リーフレット、トラブル事例集などを、親子で活用して学んでほしいと語った。

TikTok セーフティセンター保護者向けページ

トラブルを起こさない/巻き込まれないために知るべきこと

 講座の後半では、尾花氏・金子氏の両名が参加者からの質問に答える形でパネルディスカッションを行った。

 「SNSでは具体的にどんなトラブルがあるのか」という参加者からの質問には、TikTokの金子氏が「TikTokに限らず、SNSにおいて、これまでは大人が子供に性的な写真を送らせるといったケースを聞くことが多かったが、昨今は加害者が大人ではなく、同級生など同世代のケースも増えていると聞く。子供が、犯罪であると知らずに他人に性的な写真を強要して送らせてしまい、逮捕されるというケースをもあるようだ」と答えた。

 TikTokでは、そもそもダイレクトメッセージで写真や動画は送れないようになっており、こうした被害の防止に努めている。また、知らずに加害者になってしまう子供が減るように、加害者向けの啓発活動を進めている。金子氏は「18歳未満に性的な自画撮り写真等を送付させると児童ポルノ禁止法違反で犯罪行為にあたりうる。また『送って』と要求するだけでも条例違反にあたる可能性がある」と指摘。「そのような背景から、TikTokでのダイレクトメッセージでは、TikTokに投稿されたコンテンツ以外の写真や動画を送れない仕様となっている」と話した。また、尾花氏は「18歳未満の性的な写真・裸の写真は、撮影しても、送っても、持っていても法律違反であることをぜひ知っていてほしい」と補足して強調した。

「足し算」の考え方で、デジタル生活を前向きに改善

 続いて、「使用時間を親が管理すると、いつも親子ゲンカになってしまう」という参加者から寄せられた悩みをきっかけに、長時間利用を改善するコツについて議論された。

 尾花氏は「時間の管理は親だけでは解決せず、子供自らが自分でできるようにするべき」と語った。スクリーンタイムを自分で管理できるアプリを活用しながら、親子で一緒にゲーム感覚で取り組むなどの方法を紹介し、まずは親子でお互いにどうやったら利用時間を減らせるのか話し合うことを提案した。

オンライン講座に登壇した尾花紀子氏

 尾花氏は「『もうスマホはやめなさい』『何時間やってるの』など、子供自身も自覚があることを指摘されるのはつらいもの。利用をやめさせる、スマホを没収する、時間を減らすなどの引き算で考えるのではなく、今自分たちに足りないことを補う、目標をつくって解決していくという足し算で考えると前向きになれる。たとえば家族団欒の時間が足りていなければ、夕食後は皆で話す時間を設ける。勉強や読書が足りていなければ、それらを優先して取り組む。目標をクリアすることに集中すれば、必然的にSNS利用の無駄も省けるはず」と語った。尾花氏は、最後に「子供を褒めるだけではなく、1つでもできたら親子で褒め合ってほしい」と保護者たちにエールを贈った。

親子ともに学ぶ姿勢がスタートライン

 デジタルネイティブであるZ世代の子供たちがネットとうまく付き合い、使いこなしていくように支援するには、まず大人の側が従来の考えを改める必要があると感じた本講座。「一方的に管理して時間を減らしたり取り上げたりする」古い考えを捨て、子供に寄り添い、ともに考え、対話をしながら見守っていくことが大切だ。インターネットもSNSも、デジタル端末ももはや生活に不可欠なインフラであり、使わずに生きていくのは難しい。言わずもがな、過剰に危険を恐れて子供からデジタル機器を遠ざけようとするのもナンセンスだ。

 保護者がすべきアクションは、一方的に管理し大人の考えを押し付けるのではなく、子供が自ら考え自制し、使いこなす力を身に付けられるように応援することなのだろう。時には子供から上手な使い方を学びながら、親子でともに楽しみつつ、デジタルリテラシーを身に着けていく道を模索したい。

TikTok セーフティセンター保護者向けページ

《羽田美里》

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