「我が国の未来をけん引する大学等と社会の在り方について(第一次提言)」は、教育未来創造会議において5月10日に取りまとめた。これを受けて5月24日、文部科学省の末松大臣は進学者のニーズや人材需要に対応するための学部再編と理系女子学生の活躍促進等、これからの大学についてメッセージを出した。
これによると、日本の初等中等教育は、世界トップレベルと言われている。特に理数系の学力に関しては、国際的な学力調査において、義務教育終了段階の子供たちの数学的リテラシーや科学的リテラシーが世界トップレベルであることが示されている。
しかし、多くの子供たちが高い理数系の学力を有していながら、高等学校における文系・理系の選択で理系を選択する子供は約2割に落ち込む。女子生徒に関しては、理数リテラシーについては男子生徒と大きな差がみられない一方で、理系を選択する割合は男子27%に対して女子16%となっている。さらに、大学進学の時点では、理工系学部への進学割合はOECD平均の27%に対して日本は17%にとどまる。男女の格差も顕著で、理工系を専攻する大学学部段階の学生は、男性が28%に対して女性はわずか7%にすぎない。
初等中等教育段階で高い資質・能力が育成されながらも、大学で理数系の資質・能力をさらに伸長させるための環境が十分に整えられていないのは、高等学校段階での理系離れや、社会全体に根付いている男女の性別による先入観等、さまざまな要因が考えられる。
教育未来創造会議「第一次提言」の中でも、特に重点的な改革事項として末松大臣は「現状では大きく不足している、理系の学修を行うための大学の受け皿を抜本的に拡充すること」「女性が理系の分野で大きく活躍できる社会を構築すること」をあげた。
小中高等学校の教職員に対しては、今後、大学には文理横断的な入学者選抜に転換するよう強く促していくと明記。高等学校においても、早期から文系・理系に分ける「文理分断」教育から脱却し、文系・理系の枠を超えた学びにより、生徒の可能性の芽を大きく育むことをお願いしている。
また、男女の違いに基づく先入観を徹底的に排除するべく、小中高等学校だけでなく、社会全体で力を揃えて固定観念の排除を進めていくとしている。