国語辞典「大辞泉」が選ぶ2022年の新語…大賞「キーウ」

 小学館の国語辞典「大辞泉」編集部は2022年12月1日、「大辞泉が選ぶ新語大賞2022」の選定結果を発表した。一般から寄せられた1,838本の投稿の中から選ばれた新語大賞は「キーウ」。次点は「国葬儀」と「メタバース」。

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大辞泉が選ぶ新語大賞2022
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 小学館の国語辞典「大辞泉」編集部は2022年12月1日、「大辞泉が選ぶ新語大賞2022」の選定結果を発表した。一般から寄せられた1,838本の投稿の中から選ばれた新語大賞は「キーウ」。次点は「国葬儀」と「メタバース」。

 「大辞泉が選ぶ新語大賞2022~あなたの新語を辞書に載せよう。~」は、5月18日の「ことばの日」から11月13日までの約半年間、一般から「新語」投稿を募り、編集部が毎月「月間賞」となる新語を発表。さらに12月にその中から「大辞泉が選ぶ新語大賞」を選定し発表する顕彰。選ばれた新語は「大辞泉」デジタル版に採録し、アプリや電子辞書、「goo辞書」をはじめとする各種ポータルサイトの公式辞書に実際に掲載、実用化されるという画期的な企画で、2022年で7回目を迎える。

 大辞泉が選ぶ新語大賞2022の大賞は「キーウ」に決定。ウクライナの首都で、ロシアによるウクライナ侵攻の約1か月後に日本外務省が従来のロシア語呼称「キエフ」からウクライナ語呼称の「キーウ」への変更を決定。マスコミ各社も追従した。首都の呼称変更はロシア侵攻への非難を込めた異例の即決とみられ、「ことばが動く・変わる」ことを端的に示したトピックとして大賞に選ばれた。

 次点は「国葬儀」と「メタバース」の2語。「国葬儀」は「国葬のようで国葬でない葬儀(投稿者の語釈)」。安倍元首相の葬儀が「国葬儀」として執り行われたことで注目を集めた言葉。国民に弔意を強いる「国葬」は大辞泉に既存だが、「国葬儀」は知りうる限りすべての国語辞典に掲載されていないという。1967年の吉田茂元総理の葬儀も「国葬儀」として執り行われた経緯もある中、辞書には載っていない極めて不思議な言葉となっており、大辞泉執筆陣・編集部も大いに頭を悩ませる新語として次点に選ばれた。

 「メタバース」は「meta(超越した)とuniverse(世界)の合成語」。インターネット上に構築される仮想の三次元空間で、利用者はアバターとよばれる分身を操作して空間内を移動し、他の参加者と交流する。2021年ごろから目に付くようになった「メタバース」は、2022年、大いに語られた言葉の1つ。ネットの単なる「見せ方の1つ」にとどまらず、「場」自体が売買され価値を生み出す仕組みが今後どうなるか未知数だが、暗い世相を反映する言葉が多い中、せめて1つは前向きな言葉をという選考委員の思いから次点に選ばれた。

 大賞「キーウ」と次点「メタバース」の語釈は、2022年に「デジタル大辞泉」に立項済み。次点「国葬儀」の語釈については、今後、編集部で立項の採否を検討した後、立項する場合は執筆陣による語釈が「デジタル大辞泉」に採録されるという。

 この他、投稿数上位の新語は、1位「2世信者/宗教2世」、3位「知らんけど」、4位「顔パンツ」、5位「ととのう」等。特別選考委員の明治大学国際日本学部・田中牧郎教授は選評で、「コロナ禍が収束したと言える状況ではないが、ここ2年半で『コロナ語彙からの新語』はひとまず出尽くしたと思われる。代わって今年は、国内外で戦争と暗殺という『21世紀の今なお、こんな惨事が!』と、私たちを過去に引き戻すかのような大事件が発生し、未知の新語が生まれる要素は少なかったよう。暗い言葉を選ぶのはこれっきりにしたいと願わずにはいられません」とコメントを寄せた。

◆大辞泉が選ぶ新語大賞2022~あなたの新語を辞書に載せよう。~
【大賞】「キーウ」
【次点】「国葬儀」「メタバース」
【投稿数ベスト10】
1位「2世信者/宗教2世」83本
2位「メタバース」77本
3位「知らんけど」62本
4位「顔パンツ」51本
5位「ととのう」37本
6位「ウクライナ侵攻」24本
7位「大谷ルール」16本
8位「国葬儀」15本
9位「インボイス制度」12本
9位「おじさん構文」12本
※キャンペーン期間中に毎月選出された「今月の新語(月間賞)」はWebサイトに掲載


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《畑山望》

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