バングラデシュの少女たちに教育支援、書き損じはがきや切手募集

 シャプラニール=市民による海外協力の会は「あなたのはがきが、だれかのために。」キャンペーンを、2023年3月31日まで実施する。書き損じはがきや切手等を募集。バングラデシュで児童労働に従事している「家事使用人」の少女たちに教育等を届ける。

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あなたのはがきが、だれかのために。
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 シャプラニール=市民による海外協力の会は「あなたのはがきが、だれかのために。」キャンペーンを、2023年3月31日まで実施する。書き損じはがきや切手等を募集。バングラデシュで児童労働に従事している「家事使用人」の少女たちに教育等を届ける。

 新型コロナウイルス感染症の拡大以降、孤立や教育格差等の子供を取り巻く問題が深刻化。世界の子供の約10人に1人が「児童労働」に従事し、女性5人に1人が「児童婚」をしており、今後も児童労働、児童婚が増えていくことが懸念されている。

 バングラデシュでは、学校が1年半という長期間におよび閉鎖。2021年以降に再開、行動制限等が解除されたが、現在も一部の子供たちが学校に戻ることができていない。その理由として「学校閉鎖中に働き始めた」「結婚させられた」等がある。新たに働きに出された少女がいたり、シャプラニールの支援現場でもスラムに住み働きながら学校に通っていた8~13歳の少女のうち約66%が退学していることが確認されている。一度学校を離れると学校に戻ることが難しく、教育格差はさらに拡大、また、新たな児童労働や児童婚の原因ともなり、問題は深刻化しているという。

 子供でありながら他人の家の家事・子供の世話をする「家事使用人」は、1日中家の中で働いているため外からは見つけることが困難で「隠れた児童労働」とも呼ばれ、バングラデシュでは働く少女が30万人以上いるといわれている。

 シャプラニールは現地パートナー団体とともに、少女たちが読み書きを学べ、運動会等の遊ぶ場も提供する支援センターを運営している。少女たちは「支援センターが再開されて嬉しい」「将来は同じような境遇の子どものために何かしたい」と、学ぶことに積極的になっているという。

 また、「子どもの権利」について少女たちの保護者や雇用主を対象としたワークショップも実施している。少女たちは、支援センターで学んだことを生かし、雇用主に対して「もっと頻繁に支援センターに通いたい」と直接交渉したり、両親に若くして結婚する意思がないことを伝え、児童婚を回避する等、自分の意思を伝えるような変化も見られるという。

 「あなたのはがきが、だれかのために。」キャンペーンは、子供から大人まで世代を問わずに誰もが参加可能な「はがき1枚からできる社会貢献」として日本国内で広がっている。開始10年目を迎えた2019年には65万枚規模となり、書き損じはがき・切手を対象とした単独の寄付キャンペーンとしては、国内最大級となっている。寄せられた書き損じはがきや切手は換金され、教育支援をはじめシャプラニールの活動に活用される。

 しかし近年、個人や企業による「年賀状じまい」が急速に広がり、2021年度の寄付総数は約50万枚にとどまり3年前と比べて約15万枚減少した。また、2023年4月から郵便局の切手やはがきの交換手数料が42年ぶりの値上げが決定している。この値上げにより、250万円相当の活動資金が資金減少の危機にある。これは100人以上の子供の教育支援約2年間分に相当する。さらに最近では、日本のNGO・NPO団体の活動資金となる寄付金が減少傾向にあり、海外で活動するNGOは極端な円安の影響も打撃となり、現地の支援活動費の捻出が難しくなっている。

 「あなたのはがきが、だれかのために。」キャンペーンの2023年の目標は55万枚。たとえば、不要なはがき10枚(約500円の寄付)で、家事使用人として働く少女たちの支援センターを1日運営できる費用(家賃)相当になり、また、はがき20枚(約1,000円の寄付)で、読み書きを学ぶ授業に必要な教材費等1か月分相当になる。

 対象は、書き損じた、過去の余った年賀はがき、かもめーる、往復はがき等の未投函の郵便はがきや未使用、使用済みの切手。参加、寄付は、封筒等に入れて3月31日までに送る。なお、寄付は子供の教育支援に限らず、シャプラニールの活動全般に活用する。キャンペーン期間終了後も寄付は通年で受付けている。また、子供への教育を一緒に届ける「協力企業パートナー」も募集している。詳細はWebサイトで確認できる。

◆「あなたのはがきが、だれかのために。」キャンペーン
受付期間:2022年12月26日(月)~2023年3月31日(金)
対象:
・未投函の郵便はがき(書き損じた/過去の余った年賀はがき、かもめーる、往復はがき等)
・切手(未使用、使用済み)
※私製・投函済みはがきは対象外
参加、寄付の方法:封筒等に入れて送る

《大田芳恵》

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