【ICTでつながる学び】「協働」とともに大切にしたい「自学」の姿勢…浦和実業学園中学校・高等学校

 各地で人気を集める私立校における先進的なICT教育の取組みを紹介する本企画。2年前から「ClassPad.net」を導入し、実学を軸とした教育を展開する浦和実業学園中学校・高等学校を取材した。

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ICTツール導入により、オンラインでも授業中でも議論が活性化
ICTツール導入により、オンラインでも授業中でも議論が活性化 全 13 枚 拡大写真

 埼玉県さいたま市にある浦和実業学園中学校・高等学校は、建学の精神である「実学に勤め徳を養う」を校訓に掲げ、実社会で役に立つ学問を学ぶ「実学」を実践している。グローバル化とデジタル化が進んだ、先が見えにくい現代社会において、求められるスキルを習得するにあたっての「実学」というアプローチは欠かせないものだ。

 本企画では、各地で人気を集める私立校における先進的なICT教育の取組みを紹介する。浦和実業学園中学校・高等学校が目指す「実学」の在り方と、その実践内容とあわせ、そこで活用されるICTの役割について、学校長である齋藤清幸先生をはじめとする先生方、生徒の皆さんに話を聞いた。

「実学に勤め徳を養う」バランスの取れた人間教育

 浦和実業学園中学校・高等学校の歴史は古く、76年前、終戦直後の1946年に創立者の九里總一郎氏が学習塾を開いたのが始まりである。建学の精神が校訓の「実学に勤め徳を養う」となっており、齋藤校長によると「当時の九里總一郎先生が『これまでの学問のための学問ではなく、実際に役に立つ学問を』ということで実学を重んじ、実学とは何かを模索し、76年間、時代に応じた形で実践してきた」という。

取材に応じてくれた浦和実業学園中学校・高等学校校長の齋藤清幸先生

 創立以来一貫して、実学に勤めつつ、徳育に力を入れている同校の教育目標は3つ。建学の精神に基づいて、「品性を正し礼節を重んじ豊かな人間性を育てる」という徳育。「健全な精神を宿す健康な身体づくりの訓練を行う」体育。「個性の伸長発揮につとめ、自主独立の精神を培う」知育。「一般的には『知徳体』と言いますが、本校では『徳体知』として徳を第一に据えています。日本を背負っていく人間を育てる、徳のある人間を育てるという思いから、徳を大切にし、それを支える体育と知育を行うという思いが背景にあります」と齋藤校長は語る。

 単なる知識の習得ではなく、実社会で真に役立つ学問を身に付けるための実学を行い、それとともに人としての優しさや礼儀作法などを磨き、豊かな人間性を育む徳育教育に注力している同校。「実学教育」と「徳育教育」の両面を同じように重んじ、バランスの取れた人間教育を進める同校の姿勢は、76年の長きにわたる歴史があるからこそのものだ。

 「徳育教育」では、挨拶する姿勢・感謝する姿勢・奉仕する姿勢・反省する姿勢を育み、世のため・人のために尽くす人間になる教育を基本に置いて指導している。「実学教育」においては、とりわけ新教育指導要領が掲げる「主体的・対話的で深い学び」を通して、まさに実社会で役に立つスキルを身に付けていく。そのアプローチの中で重要な役割を果たしているのが、ICTである。

アクティブな学びを支えるICTツール

 「当校では3年前から教職員にiPadを配布し、職員会議のペーパーレス化をはじめ、校務の中でICT活用を進めてきました。生徒には2年前からiPadを配布していて、2023年度に中高それぞれの新入生を迎えると全校1人1台端末の環境が整うことになります」(齋藤校長)。

 同校では、場面に応じ、適切なアプリやサービスを複数活用し、実学教育を深めている。カシオ計算機のオールインワンICT学習アプリ「ClassPad.net」を各教科の学習に活用している他、オンライン授業では「Google meet」や「Zoom」、学習ポートフォリオや家庭との情報連携は「Classi」を導入しているという。

浦和実業学園中学校・高等学校のICTを用いた実学教育

 ICT教育を推進していることについて、齋藤校長は実学教育、そしてアクティブラーニングの観点から話してくれた。

 「学ぶということにおいて、学校の教室で意見を出し合ったり、先生とやり取りしたりという協働学習は非常に重要です。それに加え、知識を吸収する・深めるといった根幹の部分では『自学』が欠かせません。実際のところ、それが学力の向上につながります。自ら学ぶ姿勢づくりは、これまで各家庭に任されていましたが、ICTを活用することで、学校の授業と家庭を結ぶことができ、いずれでも実践できるようになりました」(齋藤先生)。

 課題提出やそれに対するフィードバックがスムーズにできる。オンラインでやり取りができ、紙の課題に向き合うだけではなかなか上がらなかったモチベーションが向上する。知らない事柄や言葉について、すぐに調べられ、効率的に学べる。学校での授業・自宅での宿題と分断していた学びが、ICTを導入したことでシームレスにつながったといえる。

「言葉」をきっかけとした学びの深まり

 多くの学校で注目される協働学習に加え、個の学びも同じく重視する同校。さらに、齋藤校長は「学問するうえで大事なのは『言葉』」だと続ける。他者とのコミュニケーションのみならず、自ら考えを深める時間においても、人間は言葉を使っている。言葉を自由に操り、考えを深めることができる自学力を高めるには何をすべきか。このことを念頭にICT教材を選定し、採用したのが、ICT学習アプリ「ClassPad.net」だ。

 ClassPad.netは、カシオの電子辞書「EX-word」をベースにした豊富な辞書機能や、ふせんや画像、リンク等のコンテンツが貼り付けられるデジタルノート機能、課題の送受信や生徒の回答一覧表示といったオンライン・双方向授業に役立つ授業支援機能、カシオの関数電卓のノウハウを詰め込んだ高度な数学ツール等、授業に必要な機能がすべて入ったICT学習アプリとなっている。

ふせん機能やデジタルノート機能を活用して自ら学ぶ

 実際に、語学系の教科担任の先生方にもICTツールの活用と自身が担当する授業について、聞く機会をもらった。高校2年の英語演習の授業を担当する荒井廉征先生によれば、ClassPad.net導入後、授業に向かう生徒の姿勢も変わり「大事なことをきちんと届けられる授業になった」という。一方的な解説に終始していたかつての授業スタイルから、ツール導入をきっかけに、先生・生徒間、生徒同士のやり取りを積極的に取り入れた双方向性のある授業にアップデートできたとのこと。「語彙の意味が分からず読み進められない生徒でも、辞書機能を使って意味を調べながら問題を解かせることもできますし、解説の際には黒板を使用せず、ふせん機能を用いて、ClassPad.net上で生徒にコメントを送り、全員で同時に確認しながら授業を進めることができています」(荒井先生)。

 さらに荒井先生は「放課後、問題を1題ずつ課題として配信していますが、課題の提出・確認をオンラインで行うことで、採点後フィードバックされる喜びが大きいようで、生徒にも好評です。また、普段は皆の前で発言できない内気な生徒も、提出機能を使うことで意見を言いやすくなりました」と話す。学びを広げ、深めることができるというICT活用の好事例だろう。授業での発言のみならず、テキストでの送信や、録音・録画でのデータ等、生徒にとっての表現の幅が広がるということは、その分、先生にとっても多様な意見や表現を引き出すことができるともいえる。

オンラインでのやり取りの活性化に付随して、授業中のディスカッションも活発に

ICT活用が「寄り添う教育」を強化する

 担任、副担を含め一貫部は6年間、高等学校は3年間を通じて全ての教員が成長に携わっていくという意識をもち、個人の発達段階に合わせて指導を行っている同校。

 高校2年生の関谷穂南さんは「iPadを1人1台配布してもらったことで、どの先生も授業時間内に、生徒同士が意見を交わす、話し合いの時間をとってくれることが増えた。また、授業中に終わらなかった課題も、iPadごと自宅に持ち帰れるのでじっくり取り組むことができています」と話す。

2年前からiPadとICT学習アプリ「ClassPad.net」を採用

 ICTツールを用いることで、生徒の性格によらず、個々の意見を吸い上げることができ、さらにそれを授業に活かすことが簡単になった。ツールの各機能を使いこなすことで、それぞれの生徒の進度や理解度に合った学びができるようになり、お互いのやり取りも活発になったことがわかる。ICTを導入したことにより、同校の持ち味である「生徒1人1人にきめ細かに寄り添う教育」がより強化されたといえよう。

 最後に、今後の浦和実業学園での学びについて伺った。英語担当の荒井先生は「教員にとっても楽しく授業をするのがいちばん。生徒とのやり取りを大事にしつつ、それぞれの生徒の良い意見もどんどん抽出したい。生徒も教員もお互いが切磋琢磨していけるツールの1つとして、ClassPad.netを使っていきたいですね」と明るい展望を語ってくれた。

 高校2年生の関谷さんは、さらに先の未来を見据え「学校で身に付けたICT活用スキルを生かして、関心のある神道をはじめとする日本文化を発信するような仕事をしたいと思っています」と話した。学校での学びを点ではなく線として捉え、未来につながる「実学」が感じられた瞬間だった。

不透明な時代だからこそ語学力などの実学が重要に

 現代は不確実性が高く将来の予測が困難な「VUCA」時代。そうしたときこそ、実社会で役に立つ実学の学びが重要性を帯びてくる。浦和実業学園が目指す「実学」、そして自ら学ぶ力の習得は、まさにこれから必ず役に立つ「今後を生き抜く力」といえる。これらのスキルを効率良く、そして楽しく、継続して学び続けるためにICTツールはなくてはならないものになっている。実学教育をさらに強化し、生徒たちの学習の定着につなげる、ICT活用の効果がはっきりと伺えた取材だった。

ICTの活用で実学を極める浦和実業学園中学校・高等学校
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《羽田美里》

羽田美里

羽田美里

執筆歴約20年。様々な媒体で旅行や住宅、金融など幅広く執筆してきましたが、現在は農業をメインに、時々教育について書いています。農も教育も国の基であり、携わる人々に心からの敬意と感謝を抱きつつ、人々の思いが伝わる記事を届けたいと思っています。趣味は保・小・中・高と15年目のPTAと、哲学対話。

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