【中学受験の塾選び】SAPIXの特徴と費用(2023年度版)

 「中学受験の塾選び」をテーマに、大手3塾に加え、それぞれの特色で生徒数を伸ばす新興3塾について、特徴や費用、カリキュラム、コロナ禍の対応等を紹介する。今回はサピックス(SAPIX)小学部について見ていこう。

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 「中学受験の塾選び」をテーマに、大手3塾に加え、それぞれの特色で生徒数を伸ばす新興3塾について、特徴や費用、カリキュラム、コロナ禍の対応等を紹介する。今回はサピックス(SAPIX)小学部について見ていこう。

サピックス小学部の指導の特徴

 「正しく考える」ということを意味するラテン語である「SAPI」をその名に冠し、首都圏と関西圏に49校舎を展開するサピックス小学部。大きな特徴のひとつとして、予習を必要としない「復習中心」の学習法を取る。家庭での復習を通して学習内容の定着度を高めるとともに、低学年から全学年に徹底されている「らせん状」のカリキュラムで繰り返し深く学びながら理解を広げていく

 少人数制の学力別コース(=クラス)編成をとる授業は、講師の問いかけに生徒が自分の言葉で考えたことを発表する「討論形式」で進められ、子供たちの「思考力」や「記述表現力」を伸ばすことに主眼が置かれている。定期テストは授業時間内にも実施され、学習の定着度や弱点を確認すると同時に、実力に合った適切なコースで授業が受けられるように配慮されている。6年生では志望校別コース編成も取り入れられる。

 教材はおもに「デイリーサピックス」を授業と家庭学習に使用する他、各教科の補助教材で基礎力を養成する。

入塾の時期

 サピックス小学部では、4年生と5年生の2年間(※社会科は6年生の1学期まで)で中学受験で学習する全分野を学習。そのため、本格的な受験カリキュラムが始まる新4年生(=3年生の2月)のタイミングで入室する生徒が最も多いが、既出単元を繰り返し学ぶカリキュラム構成となっているため、それ以降の時期でも入室が可能だ。

 1年生~3年生の間は、各学年の学習内容を基に思考力や記述力を伸ばして学ぶ楽しさを感じさせながら家庭での学習習慣を身に付ける時期。低学年からの通塾で、学ぶ楽しさを実感しながら将来の学力の土台をつくることができる。

入塾前テストの有無

 「入室テスト」(受験料3,300円・税込)が月1回程度実施されており、テスト結果は1週間程度で通知される。入室後の授業開始時期は、原則として翌月の上旬。

 現在、首都圏の一部校舎では募集を停止している学年があるが、学年が上がるごとに学年の定員を見直しており、募集を再開する可能性もある。再開時期等の詳細は、決まり次第Webサイト上で告知される。

年間費用

・1年生:約24万円
・2年生:約28万円
・3年生:約36万円
・4年生:約62万円
・5年生:約77万円
・6年生:約141万円
※いずれも消費税込み、授業の一環として実施するテスト費用、配布されるテキスト・プリント・資料集等の教材費、冷暖房費等がすべて含まれる。

クラス分け

 1コース(=クラス)あたり15~20人程度の学力別コース編成。コース分けやコース昇降に関わるテストは、1~3年生で約2か月に1回、4~6年生では約1か月に1回実施。6年生の志望校別コースについては、通塾している生徒(家庭)に事前に志望校調査を行ったうえでコースを編成。希望校のコースがない場合にも、出題傾向が類似する学校のコースで学習を進めながら十分なフォローアップが受けられる。

通塾の頻度と時間帯

 1~3年生は週1回、4年生は週2回、5年生は週3回、6年生は前期が週3回で後期が週4回。

・1年生:平日16時~17時30分もしくは土曜日(13時30分~15時または16時~17時30分)
・2年生:平日16時20分~18時もしくは土曜日(13時~14時40分または16時20分~18時)
・3年生:平日16時30分~18時30分もしくは土曜日(12時30分~14時30分または16時30分~18時30分)
・4年生:17時~20時
・5年生:17時~20時
・6年生:平日17時~21時および土曜日14時~19時

 なお、1~3年生の土曜日の授業は、校舎によって設置状況が異なる他、関西校舎では一部授業時間帯等が異なっている。また、4年生~6年生の平日の授業時(講習や特訓を除く)には、1コマ目の授業開始前30分間(16時30分~17時)に、2週間前の算数の学習内容を復習するための小テストが任意参加で実施される。

授業以外のサポート

 すべての教科の基本となり難関中学入試で必要とされる「読解力」と「記述表現力」を磨くための記述添削指導「てんさく教室」が月に1回程度、1~5年生を対象に専門指導員によって実施される。生徒ひとりひとりの考え方や個性を尊重しながら、他者に伝わる文章を書く力を育成する。

 担当講師から保護者へ向けては、年に3~4回開催する保護者会で学習の状況・目標が伝えられる他、6年生の個別面談(2回)では学習相談や志望校決定に向けたアドバイスを行う。学習相談や面談は、希望に応じて随時行われる。

塾のコロナ対応

 感染症対策に関しては、当面はこれまでと大きな違いはなく、現段階での対応は以下の通りだが、2023年5月に新型コロナウイルスの「5類への移行」に伴い変更となる可能性もある。

・対面授業では教職員は必ずマスクを着用し、こまめに手洗いや手指の消毒を行う。
・教職員には検温等の健康観察等を義務づけ、体調に少しでも問題がある場合には勤務を控える。
・各教室は機械換気の常時作動に加えてサーキュレーターを設置し、授業中も教室内の換気を促進。
・多くの生徒・教職員が触れる場所のこまめな消毒の実施。
・生徒と保護者の来校前の検温を必須とし、手洗い・手指消毒・マスク(不織布推奨)着用する等の感染予防対策への協力を依頼。
・対面授業の継続が困難となった場合には、ライブ配信を含むオンラインで授業に切り替える。

 その他、学年や教科により対応が異なる場合もあるが、ポイント解説動画および学習アドバイスの配信、オンラインツールを使用した添削指導、メールや電話等での質問対応を行っている。

 2023年度より、保護者会や入室説明会の対面実施が再開されているが、保護者会に関しては後日の動画配信も併用している。6年生対象の個別面談は2022年度から対面・オンライン・電話相談からの選択性。いずれも、対面実施が難しくなった場合には社会情勢に応じて迅速に対応する予定。今後の状況によっては異なる対応がとられることもある。

コロナ禍の中学受験について

 小学生の学習において、先生と子供が対面で学び、子供同士が互いに刺激し合うことの大切さを実感する家庭が増えており、生徒数はやや増加傾向。サピックス小学部では、受験層や志望校選びに新型コロナウイルスは、もはや一切の影響を及ぼさないと考えている。

《増田有紀》

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