こども未来戦略方針を閣議決定…児童手当は24年10月から拡充

 政府は2023年6月13日、「こども未来戦略方針」を閣議決定した。「加速化プラン」には3兆円半ばを投入。児童手当は所得制限を撤廃し、支給期間を高校生まで延長する。会見した岸田文雄首相は、児童手当の拡充について2024年10月分から実施する考えを表明した。

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こども未来戦略方針
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 政府は2023年6月13日、「こども未来戦略方針」を閣議決定した。2024年度からの3年間に集中して取り組む「加速化プラン」には3兆円半ばを投入。児童手当は所得制限を撤廃し、支給期間を高校生まで延長する。会見した岸田文雄首相は、児童手当の拡充について2024年10月分から実施する考えを表明した。

 「こども未来戦略方針」では、2030年代に入るまでが少子化傾向を反転できるかどうかのラストチャンスだとし、2024年度から2026年度の3年間を集中取組期間と位置付け。具体的政策を「加速化プラン」として掲げている。

 加速化プランのうち、児童手当は所得制限を撤廃。支給期間を現行より3年間長い高校卒業まで延長し、第3子以降は3万円に倍増する。大学に進んだ場合の高等教育費の負担軽減については、授業料減免の対象を世帯年収600万円までの多子世帯などに拡大する。

 「出産・子育て応援交付金」10万円は、制度化に向けて検討。出産費用(正常分娩)の保険適用は、2026年度をめどに導入を検討する。幼児教育・保育の質の向上では、75年ぶりに保育士の配置基準を改善。保育士1人が見る1歳児を6人から5人、4・5歳児を30人から25人とするなど、保育士の処遇改善に取り組む。

 また、保護者の就労要件を問わず、時間単位で柔軟に保育施設を利用できる新たな「こども誰でも通園制度(仮称)」を創設。2023年度中にモデル事業を拡充し、2024年度からは制度の本格実施を見据えた形で実施する。

 男性の育児休業取得率の目標は、現行の政府目標(2025年までに30%)から大幅に引き上げ、2025年に公務員85%、民間50%に設定。育児休業の給付金も増額する。

 岸田首相は6月13日に「第6回こども未来戦略会議」に出席。会見では、児童手当の拡充について「来年10月分から実施したいと考えている」と表明。第1子・第2子は0歳から3歳未満に月額1万5,000円、3歳から高校生まで月額1万円、第3子以降は0歳から高校生まで月額3万円の給付により、「3人のお子さんがいる御家庭では、お子さんたちが高校を卒業するまでの児童手当の総額は、最大で約400万円増の1,100万円となる」と説明した。

 また、共働き世帯の就労を制限する、いわゆる106万円・130万円の「年収の壁」については、「『106万円の壁』を超しても手取り収入が逆転しないよう、必要な費用を補助するなどの支援強化パッケージを本年中に決定し、実行に移す」と述べた。

 加速化プランの規模は3兆円半ば。財源の確保については、「実質的に追加負担を生じさせないことを目指すとの方針は揺るぎないもの」と語り、歳出改革などを通じて財源を確保するにあたり、年末の予算編成で具体化するとした。

《奥山直美》

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