共通テストまでいよいよあと1か月。ラストスパートをかけるこの12月は、残り1か月をいかに過ごすかでテスト結果が大きく変わるといっても過言ではない、大事な時期だ。しかし、具体的にこの1か月でどのような学習を積み重ねていけば、もっとも効率良くテストの得点を伸ばせるのだろうか。
毎年、難関大学への現役合格者が多数輩出されている東進ハイスクールには、その積み上げてきた実績とデータから、東進だからこそわかる「共通テストで高得点を取るコツ」が構築されているという。東進ハイスクール運営元であるナガセ広報部長 市村秀二氏に、今ここからできる「共通テストの得点の上げ方」について伺った。
直前1か月の勉強で現役合格生6割が「30点以上」の得点向上
--毎年、東進ハイスクールからは難関大学への現役合格者が多数輩出されています。合格者のデータから、共通テスト1か月前でどれくらい得点が伸ばせるのでしょうか。
「入試本番までの残りの期間で、1点でも多く伸ばすにはどうすれば良いのか」それがこの時期の受験生がもっとも知りたいことではないでしょうか。特に現役生には、この1か月の学習次第で共通テスト本番の得点を大きく変える力があります。そこで、昨年の受験生の結果をもとに、この1か月間でどれだけ成績を伸ばすことができるのかを具体的に見ていきましょう。
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東進が調査したデータによると、国公立大現役合格者の59.4%が、共通テスト直前の1か月に「1日1点以上」得点を伸ばしていることがわかっています。
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資料1は、国公立大学に現役合格した東進生のうち、「最終12月共通テスト本番レベル模試」(2022年12月実施)5教科7科目(900点満点)で60%以下だった生徒を対象に、2023年共通テスト本番までの間に、得点を1日何点伸ばしたかを示したものです。このグラフのように、国公立大合格者の約6割にあたる59.4%が1日1点以上得点を伸ばしていました。合否を左右する1点の間に何百人もひしめくなかで、この1点の価値は非常に大きいと言えるでしょう。中には1日で3点以上、合計100点以上得点を伸ばした合格者が1割以上もいて、1日2点以上、合計66~98点もの得点を伸ばした生徒も約2割いました。
このように、直前期には大きく得点を伸ばすことが可能なのです。受験生の皆さんには、残された時間のなかで、粘り強い学習を続けて、どう得点を積み上げていくかを考えながら直前期の学習に取り組んでほしいです。
共通テストで力を発揮する必勝の3シナリオ
--残り1か月で33~100点以上伸びた生徒が約6割もいたとはすごいですね。合格者からは、12月に実施される最後の模試で結果が振るわなくても、そこから共通テスト当日まで一気に伸びたという声も多く聞かれます。難関大への合格者には、本番までの約1か月間の学習で何か共通点はあるのでしょうか。
あります。本番まであと1ヶ月余りですが、現役生はここからまだ伸びます。東進からの難関大合格者データから編み出した、共通テストで実力を発揮するための「必勝の3つのシナリオ」をご紹介しましょう。
1.現状を把握する
得意な科目・分野と苦手な科目・分野を正確に把握するために、今まで受験した模試の成績表(特に直近のもの)を徹底的に分析しましょう。
2.苦手科目・分野を選別する
苦手科目・分野の中には、今まで学習時間を十分にかけられなかったために得点力が低い「課題分野」と、今まで苦手を克服しようとあれこれチャレンジしてきたけれどなかなか得点できない「不得意分野」とがあります。前者の「課題分野」は、直前期に大きく伸びる可能性を秘めています。「1」の分析の結果、苦手分野を特定したら、それが時間をかけても伸びにくい「不得意分野」なのか、「課題分野」なのかを選別しましょう。
3.伸びそうな分野を一気に仕上げる
科目・分野ごとに分析した後は「不得意分野」よりも「課題分野」の演習に集中的に取り組みましょう。演習後はすぐに復習し、確実に自分のものにしていく姿勢が直前期には必要です。
この3つをぜひ心掛けてください。
直前期に見直したい科目別ポイントで1点を積み重ねる
--では、科目ごとではどうすべきでしょうか。共通テストで高得点を取るために、直前期の学習は日々どのように取り組むべきか、教科ごとにアドバイスをお願いします。
課題の克服につながる、直前期に見直したい科目別のポイントは次のとおりです。各科目のアドバイスを参考にして、最後まで1点を積み重ねていってください。
各科目に共通してもっとも効果的なのは、以前に受けた模試や、東進生であるなら講座のテキストを再度見直すことです。場合によっては講座を再受講して振り返ることも有効ですので、ぜひ活用してほしいと思います。
英語<リーディング>
共通テストはすべて読解問題です。過去問や、これまでの共通テスト型の模試を活用し、時間を短く設定して、その時間内で読み切る力をつけましょう。問われるのは「必要な情報を探し出す力」です。読解のスピードを上げるためには、単語や文法の力も不可欠。最後までメンテナンスを並行して行いましょう。
英語<リスニング>
もっとも大切なのは「集中して聞く」ことです。事前に選択肢に目を通すことは重要ですが、読み上げが始まったら、聞き取りに集中しましょう。できなかった問題を次の問題に引きずらない練習もしておくと良いです。
数学<数学I・A>
高校数学の土台ともいうべき数学I・Aでは、日常の事象を数理的に捉えることや問題を解決する過程を重視しています。新しい傾向の出題については、これまでに受けた模試などを復習して、対応力が身についているかを確認しましょう。
数学<数学II・B>
計算力以上に問題を解決する過程に焦点を当てた出題が多くなっています。その場で「原理を理解し考える力」を鍛えておきましょう。ただし時間内に解き切るため、計算力を疎かにしてはいけません。
国語<現代文>
今までに解いた模試や講座などで出題された漢字・語句の意味は必ず確認しておきましょう。文章読解力に加えて、「複数の素材を比較し、整理して判断する力」が求められます。詩・短歌・俳句など韻文の出題を視野に入れた問題演習もやっておくと良いです。
国語<古文・漢文>
古文は基本的な知識に抜け落ちがないか、もう一度チェックしておきましょう。最重要古語と文法知識は古文の読解に必要なすべての土台となります。漢文も重要漢字と句法がわかれば、知識問題はもちろん、内容理解にも大きな力を発揮するでしょう。
理科<物理>
考察の過程にあたる物理の本質的な理解と、現象をモデル化する過程を問われる出題が予想されます。ひとつひとつの概念が的確に理解できているか確認を行いましょう。
理科<化学>
融合問題の出題が予想されるため、理論化学、無機化学、有機化学の各知識とその活用について確認しておきましょう。リード文や図から必要な数値を読み取って解答を求めるものがあるので、時間配分にも注意が必要です。
理科<生物>
単なる用語の暗記ではなく、教科書の知識の本質的な理解と応用力が求められます。図表や写真にもしっかりと目を通しておきましょう。計算問題対策も忘れずに。
理科<地学>
表やグラフを読み解く力を問うものが多く出題されます。特に地質図や天気図などは要注意です。模試などを復習しておきましょう。
地歴公民<世界史>
問題演習の答え合わせをする際には、用語集などで、関連する同時代、同地域の出来事にも目を通しておきましょう。地図や図版とともに設問文もよく読み込むことが重要です。初見の資料を使用した思考力を問う問題が出題されても、ベースとなる世界史の知識を使えば答えが導けるので、慌てる必要はありません。
地歴公民<日本史>
複雑な問題設定から、各設問で何が問われているか、どのような資料・前提をもとに考えるかを的確に見抜く必要があります。知識を問う設問と思考力を測る設問、どちらにも共通する基礎知識はしっかり確認しておきましょう。限られた時間内で必要な情報を読み取って次々と答えを導く、情報処理能力が求められます。
地歴公民<地理>
知識の暗記だけではなく、知識を前提として、いかに思考・判断して考察していくかが重要です。いずれの大問も、図・写真・表などが多く使用されることが予想されます。図の読み取りと関連する事柄の組み合わせを2つ選ぶタイプの問題など、初めて見る出題形式に対応していく力も必要です。
地歴公民<政治経済>
資料に関する問題や読み取り問題の出題が予想されます。情報処理能力が求められる試験になるでしょう。単純な知識問題ではなく、考え方の変遷をしっかりと押さえたうえで政策や取り組み例を選択するといった思考力が問われる出題にも対応できるよう、実社会での応用までを意識して学習しておくことをおすすめします。
地歴公民<現代社会>
単純な知識問題と、資料読解や意見・考えについて問われる問題が出題されます。特に思考力・判断力を問う問題は共通テストならではの出題となるため、これまでの模試を活用してしっかり対策をしておきましょう。
地歴公民<倫理>
青年期、現代社会分野、源流思想、日本思想、西洋近現代思想がまんべんなく出題されます。バランスの良い復習を心掛けましょう。また絵画・写真など視覚資料を用いた出題などでも、歴史的背景など倫理の知識をしっかり身に付けていれば解答が導けます。
模試結果から課題を潰し、物理だけで1か月で23点アップ
--具体的に、直前期の学習で大幅な得点アップにつながった例などがあれば、その学習内容を教えてください。
直前期に伸びしろを見極め、効率的な学習をして大幅得点アップにつながった、現役合格の東進卒業生の事例を紹介します。
東京大学理科一類に合格したあるOGの生徒は、物理を課題科目とし、直前期の勉強によってテスト本番で23点ものアップに成功しました。
具体的には、12月の「最終共通テスト本番レベル模試」の結果を分析して苦手分野を洗い出し、原子分野や実験器具の操作方法など、2次試験であまり出題されない共通テスト向けの問題対策が手薄だったことが判明したと言います。そこで彼女は、過去問での演習を重ねることに加えて、模試の復習と2次対策を兼ねた単元別の問題演習を行い、解けない問題を1つずつ潰すことに集中しました。行き詰まったときは教科書や授業の板書ノートを読み返して、完璧な理解を目指したそうです。
その結果、入試直前にすべての解答をパターン化でき、「物理は無敵」という感覚になり、1か月で物理が23点アップの98点を試験本番で実現。「暗記に頼り過ぎず、手持ちの公式をもとに自分の頭で考える」「一問一問この問題が本番で出たらどう解くのか、再現性を意識する」ことが得点アップにつながったと語っていました。
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彼女の勝因は、先にお話しした3つの必勝シナリオの通り、模試の結果から自分の課題を把握し、集中して取り組んだことです。
東進の成績表は、正答率が高い設問順に並び替えてあるので、正答すべき問題が一目瞭然。正答率が高いのに自分ができていない問題が今の自分の課題であり、すなわち伸びしろです。模試の結果分析は、本番で新たな得点源となる伸びしろを見つけるのに最適なのです。
不安や緊張克服に本番と同じ環境づくりを
--模試の結果をうまく活用して自分の伸びしろを見極め、集中的に潰していくのが大幅得点アップにつながるのですね。最後に、この時期は気持ちばかり焦ってしまう受験生も多いと思いますが、共通テスト直前となる12月の過ごし方について、アドバイスをお願いします。
東進の講師陣もよく言っていることですが、まずは不安に陥らないこと。最後の模試の結果で落ち込み、この直前期になって「志望校を下げたほうがいいかな」と不安になる受験生は毎年大勢いますが、今日お話ししたようにこれからまだまだ伸びますので、強気で頑張ることが何より重要です。
不安や緊張に飲み込まれず、本番で実力を最大限発揮するためには、普段からできるだけ本番を真似た環境で、過去問や実践問題演習に取り組むことも有効です。たとえば、開始時間を当日通りに設定する、机の上には当日に出せるもの以外は置かないなど、究極的には「場所だけ違う」本番状態を作り上げること。普段から当日の環境を意識して対策に取り組めば、自然と緊張感が増すはずで、その緊張感を克服する訓練にもなります。特に理系科目では、集中力が途切れやすい状態だと、計算ミスやケアレスミスにつながってしまうので注意が必要です。
あと1か月の学習の中にこのような本番さながらの環境をつくり、最後まで諦めない強い精神力を養ってください。
また、本番では、満点を狙う気持ちを持ちながらも、戦略的に解いていくということが大切です。満点は難しくても、時間内で自己最高得点を取れることを目指しましょう。そのためには、いざ本番となったら、試験中も試験後も、一喜一憂しないこと。次の問題、次の試験に向けて淡々とやるべきことをやっていきましょう。
ここから本番までの1か月は、やってきたことをしっかりと振り返り、確実に身に付けていくことが不可欠ですが、本番では前だけを向く。これが成功の秘訣です。
高校3年間の集大成として、志望校合格をぜひ掴んでください。
--ありがとうございました。
失敗をチャンスに変えて飛躍の直前期へ
模試の結果が思わしくなく、もう駄目だと落ち込んだり、どうしようと焦ったりする受験生も多い今の時期。しかし、東進の実績やデータからも証明されているように、テスト直前期の今こそ、そうした失敗をチャンスに変えて大きく飛躍できる好機にもなりうる。必勝3つのシナリオが示したように、現状把握→課題の選別→伸びそうな分野を一気に仕上げることで、数十点~100点以上の得点アップも夢ではない。塾や学校の先生もそうした弱点克服や不安解消のサポートをしてくれるだろう。「飛躍の直前期」を過ごすべく、周りの力をうまく借りながら強気で進んでいってほしい。
申込は12月14日(木)まで圧倒的な難関大合格者を輩出! 東進ハイスクールの詳細はこちら中学1年生から受験生まで受験可能 東進の模試ラインアップ