東大・ベネッセ調査、子供の「幸せ実感」の要因は?

 東京大学社会科学研究所・ベネッセ教育総合研究所は2024年2月29日、「子どもの生活と学びに関する親子調査2023」の結果を公表した。子供の「幸せ実感」には、保護者自身の幸せ実感や子供への働きかけのほか、友達関係、学校生活や学びの状況、自己認識など多くの要因が関連していることが明らかになった。

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子供の「幸せ実感」(保護者の幸せ実感別)
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 東京大学社会科学研究所・ベネッセ教育総合研究所は2024年2月29日、「子どもの生活と学びに関する親子調査2023」の結果を公表した。子供の「幸せ実感」には、保護者自身の幸せ実感や子供への働きかけのほか、友達関係、学校生活や学びの状況、自己認識など多くの要因が関連していることが明らかになった。

 東京大学社会科学研究所とベネッセ教育総合研究所は、2014年に「子どもの生活と学び」の実態を明らかにする共同研究プロジェクトを立ち上げた。このプロジェクトでは、同一の親子(小学1年生から高校3年生、約2万組)を対象に、2015年以降9年間繰り返して複数の調査を実施し、12学年の親子の意識・行動の変化を明らかにしてきた。

 今回、子供の「幸せ実感」に関連する要因を分析するために、「幸せ実感得点」を算出。「幸せ実感得点」は「自分は今、幸せだ」「自分は将来、幸せになれる」の2項目について、「とてもそう思う」4点、「まあそう思う」3点、「あまりそう思わない」2点、「まったくそう思わない」1点として回答を合計して算出した。それをもとに7点以上を「幸せ高群」、6点を「幸せ中郡」、5点以下を「幸せ低郡」とする「幸せ実感3群」の指標を作成した。

 子供の「幸せ実感」には、保護者自身の幸せ実感や子供への働きかけが関連していることがわかった。「幸せ高群」の保護者の子供は、5割が「幸せ高群」である。一方、保護者が「幸せ低群」だと、「幸せ高群」の子供は 2割にとどまる。保護者が「勉強の面白さを教えてくれる」を肯定する子供(肯定群)は「幸せ高群」が41.3%であるのに対して、否定する子供(否定群)は31.7%と約10ポイント低い結果であった。同様に、寄り添うような働きかけを受けている子供は、受けていない子供に比べて幸せ実感が高い傾向がみられる。

 また、学校生活において、「授業が楽しい」を肯定する子供(肯定群)は「幸せ高群」が43.2%であるのに対して、否定する子供(否定群)は20.4%と20ポイント以上の差がある。同様に、「尊敬できる先生がいる」「自分の学校が好きだ」を肯定する子供は、否定する子供に比べて幸せ実感が高いことがわかった。そのほか、友達関係、学びの状況、自信などの自己認識も、「幸せ実感」と関連する重要な要因であることが明らかになった。調査の詳細はWebサイトで閲覧できる。

《中川和佳》

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