夏休みの「自由研究」。今年は何を題材にしようかと、考えているご家庭も多いだろう。
子供に「あるある」な場面から理科への興味を引き出し、楽しく知識をつけられる高橋書店刊『マンガとクイズで楽しく学べる すごい理科』(辻󠄀義夫著)は、学校の授業につながる学びからサバイバルの知識まで、理科ネタがたっぷり詰まっている。高橋書店の協力により、書籍の一部を紹介するので、自由研究の題材選びの参考にしてほしい。
かみなりが落ちた 場所を推測せよ!(物理:音の速さ)




どうしてそうなるの?
みなさんは、かみなりが鳴るとこわいと思いますか? 空が「ピカッ!」と光ったかと思うと、「ゴロゴロドーン!」とおそろしい音が鳴りひびきます。思わず身をすくめてしまいますね。
さて、今「ピカッ!」「ゴロゴロドーン!」とお伝えしたのですが、いつもこの順番ですね。先に「ゴロゴロドーン!」と鳴ってから、あとで「ピカッ!」ということはないんです、絶対に。
なぜ「絶対に」なんて言えるんでしょう。それは、かみなりの見え方、聞こえ方を知るとわかります。かみなりは、雲(積乱雲)の中で水や氷のつぶがぶつかり合い、たまった静電気が放電する現象。空中で放電する場合もありますが、地上に向けて放電することもあります。これが「落雷」です。
さて、静電気が放電するとかみなりが光るのですが、光が進む速さは秒速約30万km です。地球から月までの距離は約38万km ですから、光は1秒ちょっとで月まで到達するんですね。かみなりが光ると同時に「ゴロゴロドーン!」と音も出ているのですが、音が進む速さは秒速約340mです(気温が15度のとき)。
音の速さは光に比べると非常におそく(それでも速いのですが、今では音速より速い飛行機もあります)、たとえば、かみなりが光って3秒後に音が聞こえた場合、落ちた場所までの距離は「340×3=1020m」と計算できます。

ただし、これはあくまで計算上の話。たとえ距離があるとしても、けっして油断しないでください。雷鳴が聞こえる範囲であれば、かみなりが落ちる危険性があるので、すぐに安全な場所に避難しましょう。

野球観戦で音と光の「ずれ」を体験できる?
野球中継などを見ていると、バッターがボールを打った映像と「カキーン」という音がちょっとずれていると感じることがあります。これもかみなりと同じで、映像(光)の速さと音の速さの大きなちがいから生じる「ずれ」です。
野球場の外野スタンドから撮影していると仮定すると、バッターボックスからカメラまではおよそ120m。もちろん光なら一瞬ですが、音は120 ÷340 =0.35…秒かかります。0.35 秒というと、人が聞いて「ずれている」と感じるのには十分な長さの時間ですね。ぜひ野球中継を見るときに意識してみてください。
