国立大の授業料上限撤廃、教育国債の創設…私大連が提言

 日本私立大学連盟は2024年8月7日、喫緊の課題として「新たな公財政支援のあり方について」と題した提言を公表した。国立大学授業料の上限規制撤廃、2兆円規模の「教育国債」創設、私立大学に対する支援拡充などを提言している。

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新たな公財政支援について(予算関係)
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 日本私立大学連盟は2024年8月7日、喫緊の課題として「新たな公財政支援のあり方について」と題した提言を公表した。国立大学授業料の上限規制撤廃、2兆円規模の「教育国債」創設、私立大学に対する支援拡充などを提言している。

 「新たな公財政支援のあり方について」は、日本私立大学連盟が「将来の高等教育のあり方と公財政支援を考えるプロジェクト」を組織して取りまとめた提言。新たな公財政支援として、予算関係と税制関係をまとめている。

 予算関係では、国立大学の授業料の上限規制を撤廃し、学生個人の能力や経済状況に応じた個人補助型の修学支援を充実させる体制に転換すべきと提言。将来の人的投資となる大学教育に対する十分な財源を確保するため、新たに2兆円規模の「教育国債」を確保し、国立大学の運営費交付金等、私立大学の経常費補助金等を合計した「教育財源」として再配分すべきとした。

 私立大学等経常費補助(一般補助)については、各大学の教員や学生数に基づき算定された圧縮率で調整されており、2023年度の圧縮率56.9%など、年々圧縮率が悪化しているとして、「圧縮することなく全額支援すべき」との考えを示している。

 修学支援新制度に対しては、国立大学生の授業料が全額免除される一方、私立大学生は減免額の上限(約70万円)が設定されていることから、格差是正を提言。2024年度からは、理工農系学部や多子世帯の所得中間層に支援を拡充しているが、学問分野や子供の数に関わらずすべての所得中間層に対象を拡大し、家庭の経済的理由で生徒が私立大学への進学を断念することのないようにすべきと訴えている。

 税制関係では、現行の「特定扶養親族に対する扶養控除制度」では、就学している大学の設置形態に関わらず、所得税63万円、住民税45万円が一律に所得控除されているが、教育費の家計負担がより重い私立大学生は、扶養控除を拡充すべきとしている。

《奥山直美》

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