世界大学ランキング上昇、今こそ東大を目指すべき理由

 最新の世界大学ランキングで順位を上げた東京大学。東大入試で圧倒的な合格者数を誇る駿台予備学校・お茶の水校3号館(東大専門校舎)校舎責任者・瀧敬悟氏は、「今こそ東大を目指すべき」と語る。東大合格に王道はあるのか。合否の分かれ目、合格者の共通点とは。

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インタビューに応じてくれた駿台予備学校・お茶の水3号館(東大専門校舎)校舎責任者・瀧敬悟氏
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 最新の世界大学ランキング*で順位を上げた東京大学(以下、東大)。東大入試で圧倒的な合格者数を誇る駿台予備学校・お茶の水校3号館(東大専門校舎)校舎責任者・瀧敬悟氏は、「今こそ東大を目指すべき」と語る。

 なぜ今、東大なのか。東大合格に王道はあるのか。合否の分かれ目、合格者の共通点とは。
*2024年10月に発表されたイギリスの教育専門誌「タイムズ・ハイヤー・エデュケーション」によるランキングでは前回より順位を1つ上げ、2016年以降最高となる28位。

世界大学ランキング上昇 東大の魅力とは

--10月には最新の世界の大学ランキング(イギリスの教育専門誌「タイムズ・ハイヤー・エデュケーション」)が発表され、東京大学は前年の29位から順位を1つ上げ、2016年以降最高となる28位になりました。世界トップレベルに君臨する東京大学。そこにはどのような魅力があるのでしょうか。

 私は次の3つが東大の大きな魅力だと考えます。

 1つ目は環境です。東大は研究・教育環境の充実で世界トップレベルの評価を得ています。この点は東京大学新聞が実施している入学者アンケートでも、多くの新入生が東大の魅力としてあげています。

 2つ目は「進学選択」という、東大で実施する後期課程の学部や学科、専修課程を選択する制度です。入学後にいろいろな分野に触れたうえで2年生の夏に専攻を決められる自由度の高さは、他大学にはない魅力です。駿台の卒業生も文科類に入学して農学部に進んだり、理科類に入学して経済学部に進んだりと、理系・文系に縛られずに学科を選択しています。

 北海道大や筑波大など、ほかにもこうした総合入試制度を併用している大学はありますが、一般入試のすべての募集単位でこの方式を導入しているのは東大だけです。充実した研究・教育環境があり、さまざまな分野の選択肢を提供できる東大だからこそ実現可能な制度といえるでしょう。

 そして3つ目は学友です。個人的には、これが東大最大の魅力ではないかと感じています。毎年、第1志望として努力を積み重ね、全国から難関を突破して集まった優秀かつ個性的な約3,000名が集まる場所ですから、刺激的な出会いがあり、自己成長につながる得難い経験ができます。

 学友が企業のトップになる、世界的に有名な研究者になる、国の中枢で活躍する…そういったことが実際に起こりますし、自分がそうなれるかもしれません。こうした面々が肩を並べて学び、利害関係なくフラットにつながれる。このネットワークが連鎖し、優秀な人材を魅了し続けているところが東大の揺るがない強みだといえるでしょう。

 一方で、世界大学ランキングから見ると、外国人教員や留学生の数、論文の被引用数など、国際性に関連する項目が東大の課題と見てとれます。日本語という言語の壁がありながらも、2000年代は世界のトップ20に入っていました。今後はさらに世界からも優秀な人材が集まり、国際的な評価がより一層高まっていくことを、東大専門校舎の責任者として期待しています。

駿台予備学校・お茶の水校3号館(東大専門校舎)校舎責任者・瀧敬悟氏

東大入試 意外なところに突破のカギあり

--あらためて東大の深淵な魅力を実感しました。多くの受験生に東大を目指してほしいと思いますが、東大の入試は非常に難関なイメージがあります。ほかの大学と比べた入試の特徴について教えてください。

 まずあげられるのは、入試科目の数が多いことです。文科類では、英数国に加えて地歴が2科目課されます。国公立大の2次試験で地歴が2科目も課されるのは東大以外になく、京大、一橋大も1科目です。理科類では、英数理科2科目に加えて国語が課されます。理系で国語が必須なのは東大と京大だけですが、京大の理系学部は文系科目の配点が若干抑えられており、理系科目に強い人が合格しやすい傾向にあります。一方で東大の場合は理系でも英語や国語の配点が大きく、全科目でバランスの取れた学力が要求されます。

 また、科目間の配点差が小さいことも、東大入試ならではの特徴といえるでしょう。そのため、得意科目で高得点を取って、苦手科目の失点をカバーするという戦略はなかなか通用しません。得意科目を伸ばすよりも、苦手科目を作らないように学習していく。さらに、得意科目で得点を上乗せして安定感を高める。これが東大入試対策の理想的な進め方です。

--東大に合格するには、日々の学習でどのようなことを意識すれば良いでしょうか。

 東大合格者へのアンケートで「後輩にやっておくように勧めたい勉強は何か」と尋ねると、断トツで「基礎基本」という回答が返ってきます。基礎基本とは、教科書に載っている内容です。そんなレベルで良いのかと思うかもしれませんが、東大の入試こそ、教科書を人にわかりやすく説明できるレベルまで理解しているか、また、理系科目では、教科書や学校で使用している問題集をぱっと開いたとき、目にした問題の解法がすぐ思い浮かび、解き切れるレベルまで仕上がっているかが非常に重要です。

 東大の入試問題というのは、駿台の講師陣から「かっこ良い」と表現されることもあるくらい、テクニックに頼らず、問題の本質を捉え、じっくり考えて解答にたどり着く力を問う良問揃いです。こうした良問は、基礎基本を徹底的に理解できてこそ、演習を重ねる中で思考力が鍛えられ、対応できるようになっていくのです。

--東大入試を突破するカギは、基礎基本の重要性を認識していること、つまり教科書を使った学習を大切にするということですね。ではいつから、どのように勉強を進めていけば良いのでしょうか。

 高1・高2では、英数国を基礎から仕上げていくことを優先してください。英数国は成績を伸ばすのに時間がかかる教科なので、本格的に取り組むのが高3からでは間に合いません。高1・高2でおもに英数国、高3では選択科目というふうに進め、最終的には科目数が多いことをむしろリスクを分散できるメリットとして入試に臨めるようバランス良く仕上げていくのが理想です。

模試を活用し、高1・高2から継続的な取組みを

--高1・高2は部活動や学校行事で忙しい時期です。東大を目指しながらも受験勉強一色にならず、学校生活とうまく両立していけるコツはありますか。

 両立するコツは、毎日必ず机に向かうこと。まさにスポーツと同じです。これまでまったく運動していない人が「今日から10キロ走ろう」と意気込んでも体力がもたないですよね。勉強でも、高3になっていきなり1日10時間勉強しようとしたところで、簡単に集中できるものではありません。高1・高2のころから、忙しいときは15分でも良いですから、洗顔や歯磨きのように机に向かうことを習慣化しておきましょう。

 一方で、東大受験のためだけに、人生で一度きりの高校生活を勉強漬けにしてしまうのはもったいないので、部活や学校行事などには全力で取り組んでほしいですね。その充実した時間こそ、受験勉強が辛くなったときに心の支えとなり、再び前を向いて頑張れる原動力になるはずです。

--模試は高1・高2から積極的に受けたほうが良いですか。模試の活用法について教えてください。

 特に高1・高2のうちは、「まだ本格的に勉強していない」「未学習の単元が多くて、お金と時間がもったいない」といった理由で模試を受けない人が少なくないのですが、模試こそ早くから受けるべきです。これは決して宣伝ではありません(笑)。

 では、なぜ早くから積極的に模試を受けたほうが良いのか。その理由は2つあります。

 まず1つ目は、全国のライバルの中で自分の学習の進捗度を客観的に把握できるから。さらに、科目全体ではなく設問別に成績を確認し、自分にとってどの分野が弱点か、何が不足かを把握したうえで、その後の学習計画に役立てることができるからです。模試を通じて、学校で習ったのに忘れていたり、理解できていなかったりするところを確認することが、東大入試で重要な「苦手分野を作らない学習」につながっていくのです。

 2つ目は、「受験勉強をどうやって始めたら良いかわからない」というときの指標として役立つからです。受験勉強というのは、学校の課題や定期テスト対策以外に、受験に向けた単語・熟語の暗記や、すでに学んだ内容の問題を繰り返し演習することなどが思い浮かぶと思いますが、そうはいっても何から始めるべきか迷うこともあるでしょう。その際、模試で判明した自分の弱点の復習は、受験勉強を効率的に進めるために重要な一歩です。

 高3になってから初めて模試を受け、苦手分野に気付いても間に合わないことが多いので、できないところを早い段階で探し出すためのチェックポイントとして模試を活用してください。

 なお、模試を受ける心構えとしては、“Fail fast.”(早く失敗せよ)のマインドで、結果を恐れないことです。志望校の判定は1つの指標ではありますが、模試を活用してできないところをしっかりと克服することで学力は本番直前まで伸び続けます。ですから、高1・高2での判定で志望校の限界を決める必要はありません。 

受験の対策から、試験本番の心構えまで多くのヒントを語ってくれた

共通テストの軽視は危険 東大「合否の分かれ目」は?

--東大の入試を受験するうえでの心構えについて、まずは共通テストではどんなことを意識すれば良いでしょうか。

 2025年度から共通テストに『情報』が加わり、東大では1000点満点が110点に圧縮され、共通テストと2次試験の配点比率は110:440となります。東大は2次試験の比率が大きく、共通テストを軽視しがちな受験生もいますが、それは非常に危険です。配点比率は1:4でも、東大の2次試験は高得点が取りづらく、共通テストのインパクトは決して小さくはありません。

 加えて、2025年度からは、実施倍率の変更によって第一段階選抜が厳しくなる可能性があります。理科三類以外の各科類で実施倍率を下げ、文科一類、二類、三類は約3.0倍から約2.5倍、理科一類は約2.5倍から約2.3倍、理科二類は約3.5倍から約3.0倍に変更されます。これにより、通過可能人数が約1,100人減少する試算で、特に理科類の受験生にはやや厳しい変更となるかもしれません。

 一方、共通テストに変わって以降、知識や技能をベースにした基礎学力に加えて、思考力、判断力、表現力を評価するようになり、東大の2次試験で求められる学力と重なる部分がぐっと増えています。つまり、先ほどお話ししたような、基礎を重んじた東大の2次試験対策をしていれば、共通テストの結果もおのずとついてくるはずです。

--2次試験では何を意識すべきでしょうか。

 東大の2次試験は1日目が国語と数学。2日目が選択科目と英語です。1日目の出来で一喜一憂せず、2日間を通じて落ち着いて臨むこと。記述量が多い試験なので、最後まで諦めずに答案を書くことが重要です。

 特に合否を大きく分ける科目は英語と数学です。この2科目でバランスよく得点できると合格に近づきます。ただし、数学は難易度が変動しやすく、実際に2023年度の理系数学や2024年度の文系数学は非常に難しく、文系数学では1桁の得点でも合格者が出るくらい、上位層でも得点が伸びず差がつかない結果となりました。

 そのため、試験中に解答に詰まったらもう一度問題文を読んで考え直す、あるいは次の問題に切り替える柔軟さが必要ですし、それでもうまくいかなければ、「今年は数学が難しい年かもしれない」と受けとめ、気持ちを切り替えることが大切です。このように、難易度が高いと感じることがあっても、深呼吸して気持ちを落ち着かせ、次に引きずらないこと、そして翌日しっかり得点することを心がけましょう。

東大合格者に見られる6つの共通点とは

--東大合格実績日本一の駿台予備学校。その東大専門校舎の校舎責任者から見える、東大合格者の共通点はどこにあると思いますか。

 まず言えるのは、毎年約3,000人の東大合格者の中で「天才型」はごく一部に過ぎないということ。決して東大合格者=天才たちの集団というわけではないのです。では、どのような人が東大に合格するのか。そこには6つの共通点があると思っています。

1.早期スタート

高3の夏から受験勉強を始めて東大に現役で合格できる人は極めて稀です。多くの合格者はもっと早い段階から一歩ずつ着実に学習を積み上げています。

2.コツコツ継続

毎日欠かさず勉強する習慣を身に付け、自分なりに工夫しながら継続して取り組んでいます。

3.謙虚さ

「自分はできる」「自分のやり方は正しい」といったプライドからの自己流に固執せず、先生や先輩など、周りからのアドバイスを受け入れて実践しようとする謙虚さ、柔軟さがあります。

4.1人で抱え込まない

行き詰まったり悩んだりしたとき、1人で抱え込まずに人を頼ることで、1人では超えられない壁を乗り越えていきます。

5.基礎基本の重視

繰り返しになりますが、点数を上げようと安易にテクニックに頼ろうとする、あるいは東大を受けるのだからと難問の演習ばかりするのではなく、基礎基本を侮らず、根本から着実に理解しようとする姿勢があります。

6.あきらめない心

東大を目指すと決めたら、その意志を実行に移す。模試は結果だけに振り回されず、自分に何が足りないかを常に意識した学習を続ける、最後まであきらめない心こそ、東大に合格するために欠かせないエンジンです。

「今こそ東大を目指すチャンスだ」と話す瀧氏

--東京大学を目指す中高生へ、メッセージをお願いします。

 コロナ禍を経て、最近では東大が不合格だと、浪人はせずに難関私立大学や国立大後期に合格した大学へそのまま進学するケースが増えているように感じます。だからこそ私は、「今こそ東大を目指すチャンスだ」と思うのです。少子化が進み、浪人生の数も減少しており、東大入試では強力なライバルが確実に減っています。つまり、今の東大は努力で手が届く大学なのです。もちろん、日本の最高学府である以上、生半可な努力では合格できませんが、高1・高2からコツコツと学び続ければ合格はぐっと近づきますし、仮にスタートが遅れても、浪人の1年間で大きく巻き返すことは十分に可能です。

 もし、まだ東大のキャンパスに行ったことがないなら、ぜひ一度足を運んでみてください。秋から冬は本郷キャンパスの銀杏並木がもっとも美しい季節ですし、学園祭は年に2回あり、5月には五月祭が、11月には駒場祭が開催されます。実際に東大を訪れることで、漠然とした憧れだけでなく、東大生になった自分や「自分がこのキャンパスで学ぶのだ」という4年間の大学生活を具体的にイメージできると、受験勉強の大きな励みになるでしょう。 

 1人でも多くの人が東大を志し、合格して、将来、東大の世界ランキングを上げるほどの飛躍・活躍をされることを心から願っています。

--ありがとうございました。


 あらためて東大の魅力を言葉にしていただくとともに、東大合格に向けて、高1・高2からの取組み方や心構えについて丁寧なアドバイスをいただいた。近い将来、東大合格を勝ち取り、その唯一無二の魅力を享受するための道しるべとして役立てていただければと願う。

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《なまず美紀》

なまず美紀

兵庫県芦屋市出身。関西経済連合会・国際部に5年間勤務。その後、東京、ワシントンD.C.、北京、ニューヨークを転居しながら、インタビュア&ライターとして活動。経営者を中心に600名以上をインタビューし、企業サイトや各種メディアでメッセージを伝えてきた。キャッチコピーは「人は言葉に恋♡をする」。

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