2025年3月4日（火）、令和7年度（2025年度）北海道公立高等学校入学者選抜の学力検査が実施された。
リセマムは、練成会の協力を得て、学力検査「数学」の講評を速報する。このほかの教科（全5教科）についても同様に掲載する。
＜数学＞講評（練成会 提供）
大問数は5題、小問数は20問で、昨年度同様の出題形式でした。昨年に引き続き、9点配点の問題が出題されています。（三平方の定理・速さ・確率が絡み合う記述問題）昨年同様、記述問題が総得点の3割を占めています。基本的な問題から、思考力・表現力を問う問題まで幅広く出題されました。□2、□3は問題文が長く、かつ情報量が多い問題でした。登場する人物の「予想・考察・説明」をもとに解き進める形式は近年の入試で強く見られる傾向です。□5問2は、非常に難度が高く、苦戦を強いられたのではないでしょうか。図形と確率の融合問題への対応力・経験値と、図形上を動く点の動きをイメージする力が求められました。
□1．比較的得点しやすい問題が多く、重要な得点源であったといえます。が、問6では、示された図が円柱の投影図でもあったことには気付きにくかったと思われます。
□2．確率・標本調査・相対度数・箱ひげ図などの基本的な知識の融合問題です。問われていること自体はそれほど難しくはありません。しかし、問題文が長く情報量が多いため、とまどった受験生は多かったのではと思います。幅広い視点で、落ち着いて情報を整理する力と，検証の結果を的確にとらえる力が求められました。
□3．例年通り関数からの出題です。4年連続でコンピューター画面での操作が出ていますが、問題を解く上で特別な影響はありません。問1（2）は『平均の速さ』を求める問題でした。問2は電車と自転車の位置関係について状況をしっかりとらえる力が必要でした。自転車が電車に追い越されるのが何秒後かを問う問題です。□3での出題問題としては、これまであまり見られなかった傾向と言えます。（座標平面内での図形が絡む融合問題とは異なり、新しい傾向と言えます。）2次方程式を立式し、解答を導く、という点では、昨年と共通する点もあります。
□4．昨年よりは取りやすかったのではないかと思われます。問1（2）は登場人物2名の「作図」の手順を流れに添って穴埋めしていく問題。得点しやすかった問題です。問2の証明問題（相似）は三段論法を用いる問題ではありましたが、入試対策を積み重ねてきた受験生のみなさんであれば、どこかでは出会ったことがあるパターンの問題かと思います。
□5．問1は、正方形の辺上を一定の速さで点が動く問題です。（2）は「台形の面積が20平方センチメートルになる」あるいは「正方形の面積から三角形の面積をひくと20平方センチメートルになる」というどちらかの視点で解き進めます。必要な長さを文字式で表す力が求められました。問2は今年度の入試問題で最も難度が高い問題でした。2つのさいころの目の和と、点Qの速さに関する「ルール」が非常に複雑でした。三平方の定理で辺EFの長さも求めます。五角形の辺上を動く点のイメージ力が強く求められました。正答率は低くなることが予想されます。
総じて、得点しやすい問題と差のつく問題がはっきり分かれる形となっています。新入試4年目です。表現力・分析力を求める問題は引き続き出題される形となりました。一方、昨年度の入試から、「数学の知識」をしっかり見る問題も多く、基礎から応用まで対策した成果が出やすい入試ともいえます。
その一方、1．問題文が長い 2．情報量が多い ことが傾向として強く、今後もこの傾向は続くと予想されます。いかに、おちついて読解・整理をしながら解き進めていけるかが勝負の分かれ道です。しかし、傾向が変わっても、基本問題の得点や中間点をどれくらいしっかり積み重ねることができたかが数学の合計点の差になると予想されます。来年度以降の入試へ向けては、記述問題への対策として普段から答えを導くプロセスをしっかり理解し、問題の本質をしっかり見極める訓練を行うことが大切であると感じます。また「思考力・判断力・表現力を問う問題」に関する問題の出題傾向は、まだまだ続くと予想されます。そして、基本から応用まで様々なパターンの問題にも触れ、経験値を高めていくことも大切であると感じます。
このレポートは2025年3月4日（火）に速報として練成会により作成されたもの。
協力：練成会
