県外から地方公立高校へ「地域みらい留学奨学金」創設

 地域・教育魅力化プラットフォームは、「地域みらい留学奨学金」制度を創設した。中学生が居住する都道府県外の地方公立高校へ進学する「地域みらい留学」を経済的に支援する給付型奨学金。2026年度の新入生約30名を対象に、3年間で総額100万円(返済不要)を給付する。募集は6月22日より開始される。

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地域みらい留学奨学金
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 地域・教育魅力化プラットフォームは、「地域みらい留学奨学金」制度を創設した。この奨学金制度は、中学生が居住する都道府県外の地方公立高校へ進学する「地域みらい留学」を経済的に支援する給付型奨学金である。2026年度の新入生約30名を対象に、3年間で総額100万円(返済不要)を給付する。募集は6月22日より開始される。

 地域みらい留学は、おもに都市部の中学生が地方の公立高校に進学し、その地域で生活をしながら3年間学ぶものである。2019年度の開始からの留学生数は累計で4,000人を突破し、2025年度は参画する高校数が過去最多の169校へと拡大した。本奨学金制度は、経済的事情により「地方で学ぶ」という選択肢を諦めざるを得ない中学生に向けた取組みである。都市部と地方の教育格差を根本から見直し、多様な学びの機会を提供する新しい社会インフラの創出を目指す。

 奨学金制度の概要として、高校3年間の支給額は総額100万円(1年次40万円、2・3年次各30万円)である。対象者は2026年3月に中学校卒業予定で居住地の都道府県外の高校への地域みらい留学予定者であり、採用人数は約30名である。返済は完全給付型(返済不要)で、支給期間は2026年4月から2029年3月までの3年間である。応募期間は2025年6月22日から8月31日までである。

 地域みらい留学は、少子化や過疎化による地方の公立高校の魅力向上と、都市部の生徒への新たな教育選択肢の提供を目的として2018年に開始された。2019年度の受け入れ開始から着実に成長を続けており、2019年度の受け入れ初年度には211人だった留学生数が、2025年度には950人(約4.5倍に拡大)に達した。参加校数は2025年度には169校(全国35道府県)となり、累計留学生数は4,000人を突破している。

 地域みらい留学が注目される背景には、地方の公立高校ならではの教育価値がある。少人数教育による個別最適化や、地域課題解決型学習、偏差値重視からの脱却、多様な進路の実現などがあげられる。総合型選抜や推薦入試を中心に慶應義塾大学、明治大学、立教大学などの合格実績もある(2024年度・一部抜粋)。

 奨学金制度創設の背景には、地域みらい留学を経験した卒業生から「将来を考える視野が変わった」といった声が多数寄せられていることがある。一方で、経済的な理由から進学を断念する家庭も存在し、機会の平等を実現する支援制度の創設が検討されていた。高校の授業料の無償化が進む中で、地域みらい留学に必要な寮費や生活費などを含めた費用負担は、地方での学びを希望する生徒にとって、経済的ハードルとなる状況があった。

 応募条件としては、2026年4月より地域みらい留学をする明確な意志があること、経済的支援の必要性(目安として、前年度の所得910万円未満)、奨学生としての活動(レポート提出、交流会参加など)への協力が求められる。選考スケジュールは、応募が2025年8月31日締切、オンライン面接が2025年9月20日、結果発表が2025年9月25日となっている。

 専務理事の尾田洋平氏は、「地域みらい留学は、これまでに4,000人の生徒たちに新たな学びの機会を提供してきました。しかし、経済的な理由で挑戦を諦めなければならない生徒がいることも事実です。今回の奨学金制度は、そうした生徒たちが地域での学びという選択肢を経済的な理由で諦めることなく、自分らしい成長を遂げられるよう支援するものです。地方の高校には、少人数教育による手厚い指導や、地域の課題に直接向き合う実践的な学びなど、都市部では得られない貴重な教育価値や経験があります。この制度を通じて、より多くの生徒がそうした豊かな学びの環境にアクセスできるようになることを願っています。」とコメントしている。

《風巻塔子》

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