北海道大学大学院理学研究院の研究グループは2025年7月17日、小惑星「リュウグウ」から約45億6,730万年前に形成した太陽系最古の岩石を発見したことを公表した。「リュウグウ」の原材料物質の年代測定に成功したのは世界初だという。
北海道大学大学院理学研究院の川﨑教行准教授、理学院修士課程の宮本悠史氏、総合イノベーション創発機構の坂本直哉准教授、海洋研究開発機構の荒川創太研究員らの研究グループは、小惑星探査機「はやぶさ2」が小惑星「リュウグウ」から採取したサンプル中から、約45億6,730万年前に形成した太陽系最古の岩石を発見した。
これまで、「リュウグウ」の主要構成物質は約45億6,200万年前に形成されたことがわかっていた。しかし、これらはあくまで低温の水溶液と反応して生成した二次的な物質であり、リュウグウを形成した最初期の固体物質の形成年代は不明であった。
今回の研究では、「リュウグウ」のサンプル中に、初期太陽系の高温領域(約1,000度以上)で形成された原材料物質である「CAI(カルシウム・アルミニウムに富む包有物)」を発見した。この「CAI」の年代を精密に調べた結果、太陽系誕生直後の約45億6,730万年前に形成されたことが判明したという。
これにより、「リュウグウ」が太陽系の誕生直後に形成された高温物質を取り込んでいることが初めて示された。一方で、「リュウグウ」や同型の隕石(イヴナ型炭素質隕石)から発見されたCAIはとても小さくどれも0.1 mm以下で、ほかの炭素質隕石に見られる大型(約0.1~10mm以上)のCAIが存在しない。そのため、「リュウグウ」は太陽系の遠方で形成された特異な天体である可能性が高いという。
今回の研究成果は、太陽系の天体がどのように誕生し、進化してきたのかを理解するうえで重要な手がかりとなり、惑星形成理論のさらなる進展が期待される。なお、研究成果の論文「Solar System's earliest solids as tracers of the accretion region of Ryugu and Ivuna-type carbonaceous chondrites(太陽系最古の固体物質から制約するリュウグウとイヴナ型炭素質隕石の集積領域)」は7月16日、Communications Earth & Environment誌にオンライン掲載された。