横浜美術館、戦争と美術テーマに戦後80年特集展示11/3まで

 横浜美術館では2025年6月28日から11月3日までのコレクション展会期中に終戦記念日を迎えることから、戦争と美術をテーマに構成する。コレクション作品約115点を展示し、戦争や社会と向き合いながら作品を生み出したアーティストや写真家たちの足跡をたどる。

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北脇昇「眠られぬ夜のために」(習作)1937年 油彩、カンヴァス 40.9×53.0cm 横浜美術館蔵
北脇昇「眠られぬ夜のために」(習作)1937年 油彩、カンヴァス 40.9×53.0cm 横浜美術館蔵 全 4 枚 拡大写真

 横浜美術館では2025年6月28日から11月3日までのコレクション展会期中に終戦記念日を迎えることから、戦争と美術をテーマに構成する。コレクション作品約115点を展示し、戦争や社会と向き合いながら作品を生み出したアーティストや写真家たちの足跡をたどる。

 この戦後80年特集展示は「平和であることへの、控えめななにごとかを」というタイトルで、休館中に新しく作品を収蔵したアーティスト、戸村浩(1938~2025)による言葉をもとにしている。戸村は日中戦争の時代に中国で生まれ、家族を失うことなく戦争を生き抜いた経験を振り返り、アーティストとしての使命をこの言葉で表現した。展示では、争いの時代を生きたアーティストたちが、いかに戦争や社会と向きあい、不平等や暴力に抗う表現を生み出してきたのかをたどる。

 出品作家は、ロバート・キャパ、ハンス(ジャン)・アルプ、マックス・エルンスト、クルト・シュヴィッタース、ジョージ・グロッス、マン・レイ、メレット・オッペンハイム、アンドレ・マッソン、ジョン・アームストロング、ルイ・マルクーシ、ジョアン・ミロ、パブロ・ピカソ、ウラジーミル・タトリン、アレクサンドル・ロトチェンコ、オットー・ディックス、ジョルジュ・ブラック、福沢一郎、斎藤義重、北脇昇、岡田謙三、宮崎進、浜田知明、鶴岡政男、原田正路、イサム・ノグチ、沢田教一、河口龍夫、戸村浩、風間サチコ。

 また、奈良原一高の「Blue Yokohama」全43点も初展示される。1959年に横浜を撮影したこのシリーズは、奈良原の初期作品であり、在日米軍の住宅地で遊ぶ子供たちや中華街に暮らす人々、真夜中の港に停泊する外国船など、多様な文化が混ざりあう横浜の姿を詩情豊かに写し出している。会期中には、このシリーズが掲載された写真集「Tokyo, the`50s/Blue Yokohama」が刊行予定。

 さらに、ハイライト展示として、サルバドール・ダリ、ポール・セザンヌ、奈良美智の作品が紹介される。これらの名品を通じて、親子で楽しむための「子供解説」も用意されている。

 同時開催企画として、新進アーティストとコレクションのコラボレーションによる小企画「アーティストとひらく 戸田沙也加展 沈黙と花」も行われる。関連イベントとして、ギャラリートークが開催され、学芸員やエデュケーターが作品の見どころや楽しみ方を紹介する。

◆横浜美術館コレクション展
戦後80年特集展示「平和であることへの、控えめななにごとかを」
奈良原一高「Blue Yokohama」
ハイライト「サルバドール・ダリ、ポール・セザンヌ、奈良美智」
会期:2025年6月28日(土)~11月3日(月・祝)
会場:横浜美術館(神奈川県横浜市西区みなとみらい3-4-1)
料金:一般500円、大学生300円、中学・高校生100円、小学生以下無料
※団体料金あり(要事前予約、美術館券売所でのみ販売)
※毎週土曜日は、高校生以下無料
※「佐藤雅彦展」観覧当日に限り、「佐藤雅彦展」の観覧券で「コレクション展」「アーティストとひらく」も観覧可能
※じゆうエリア(ギャラリー9、グランドギャラリー、3F回廊)でのコレクション展は観覧無料

《吹野准》

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