英語×探究×キャリアで自分の進路をつくる…星野高校「グローバルフロンティアコース」2026年4月より開講

 2026年4月、埼玉県川越市の星野高等学校に「グローバルフロンティアコース(G.F.C.)」が新設される。英語・探究・キャリアを三本柱に、従来の「偏差値」や「正解志向」に縛られない、自分だけの進路をつくるための新しい学びの場だ。

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星野高等学校グローバルフロンティアコースチーフの鳥越智晴氏(中央)、英語科教諭の橘内 惠氏(左)、英語科教諭の佐藤彬氏(右)
星野高等学校グローバルフロンティアコースチーフの鳥越智晴氏(中央)、英語科教諭の橘内 惠氏(左)、英語科教諭の佐藤彬氏(右) 全 6 枚 拡大写真

 星野高等学校は、1897年(明治30年)創立、130年を超える歴史をもつ星野学園の中核校。女子部・共学部を併設し、小学校・中学校とも連携しながら、地域に根ざした教育を展開してきた。長年にわたり難関大学への進学実績を着実に築きながらも、生徒の進路志向などにも確実に見られるようになった多様性に解を出し、新たな選択肢を提示すべく「グローバルフロンティアコース(以下、G.F.C.)」を立ち上げた。

 この新コースの中心となるのは、グローバル教育とキャリア探究を一体的に捉える姿勢。そして何より、進路に迷いを抱える生徒の「個性やこだわり」に寄り添うコンセプトだ。今回、同コースのチーフを務める鳥越智晴氏、英語科教諭の佐藤彬氏、橘内惠氏の3名に、コース創設の背景と具体的な学びの内容について話を聞いた。

【プロフィール】
鳥越智晴氏:星野高等学校G.F.C.チーフ。高校3学年副主任。同校教員歴20年、英語科主任歴3年
佐藤彬氏:星野高等学校1学年英語科教諭。同校教員4年目
橘内惠氏:星野高等学校2学年英語科教諭。同校教員3年目


英語学習の低年齢化が引き起こす「後発組の自信喪失」

--昨今の日本の英語教育における課題として、どのようなことを感じていますか。

鳥越先生:社会の変化による影響を感じています。2020年の学習指導要領の改訂で小学校での英語の教科化がスタートしたこともあり、今の子たちは小学生のときからネイティブの先生と接するなど、英語を話す機会を重ねてきています。

 それに伴い、全体として英語教育の低年齢化が進んでいます。幼稚園のときから英会話教室等に通っている子もいれば、中学から本格的に英語を学ぶ子もいて、高校入学時に英語力の差が広がっているのが現状です。そのため、中学に入学してから本格的に英語を学び始めるような「後発組」の生徒が、すでに周りに英語ができる子が多いがゆえに「小学生からやらないとダメなんだ」「私には無理かも」と自信をなくしてしまうケースが多々あるのです。

 特に、中学や高校の入学時のような、ステージが変わるタイミングでそうしたハンデを感じてしまう生徒が多い。早く始めた子だけが英語を得意になって、後から始めた子たちが自信を得る機会が少ないのは残念であり、また、乗り越えるべき課題だと感じています。

佐藤先生:私も同感です。それに加え、英語学習の早期化が進む中で、受験英語と英語でのコミュニケーションのギャップに悩む高校生も多いように感じます。テストで点を取ることをモチベーションに、英語を学んできた子が、コミュニケーションを中心にした英語の授業に直面したとき、急激に苦手意識を抱いてしまうのです。大学受験で合格することだけを目的に英語を学ぶのでは、どうしてもモチベーションを維持しづらいと思います。

橘内先生:こうした課題感から、G.F.C.の授業は少人数・習熟度別で展開し、ケンブリッジ大学出版の教科書を使用した授業のほかに、AIを使ったスピーキング力トレーニング習慣、海外の高校とのオンライン交流や、現地滞在を含む共同プロジェクトなども予定しています。「テストのための英語」から、「伝えたいと思うことがあり、それを伝える英語」という学習観をシフトしていくような体験を用意していきます。

星野高等学校グローバルフロンティアコースチーフの鳥越智晴氏(中央)、英語科教諭の橘内 惠氏(左)、英語科教諭の佐藤彬氏(右)

--小学校・中学校も有する星野学園において、先生方は高校で教鞭を取られていますね。高校からの入学生に対して、先のような課題を感じられることがあるかと思いますが、星野高等学校ではそれを乗り越えるために、どのようなプログラムを用意されていますか。

佐藤先生:中学から英語を始めてもまったく遅くありません。引け目を感じる必要も、もちろんありません。純粋に「英語が好き」と思える生徒を増やすべく、本校では留学生交流会や、希望者を対象としたホームステイ研修、福島県にある英国文化体験施設「British Hills」での校外英語研修など、「英語で何かを学ぶ」「英語で人とつながる」といった体験学習を多く行っています。それらの経験を通して、「間違っても良い。やり取りしながら学べば良し」という姿勢を伝えたいという意図があります。

橘内先生:週刊の英字新聞の記事を用いた授業を行い、文章読解やライティングをしながら時事問題の理解を深めています。これも英語「を」学ぶというより、国際問題を英語「で」学び、グローバルな視点を育むための取組みです。

 また、現在担当している高校2年生は、修学旅行で台湾に行きます。言語は違えど、海外に身を置いた際に現地の人とコミュニケーションを取りたいという思いから、外国語全般への勉強意欲が湧いているようです。海外への修学旅行は、多かれ少なかれ生徒にとって、話す力やコミュニケーション力を自発的に高めようとするスイッチになっているようです。

鳥越先生:本校には以前から、英語に関心がある生徒が多く、皆、英検を積極的に受験しています。近年は準1級に年間30~40人合格しており、英語そのものを使えるようになりたいという積極性の向上が合格者数にも表れているように感じます。

 また、昨今海外進学や留学に興味をもつ生徒が増えてきました。生徒から具体的な相談や質問を受ける機会も多いです。そのような子供たちの夢をどう実現するかという点は、かねてから学内でも議論を重ねており、そうした経緯が今回の新コース設置にもつながっています。

「英語学習の『後発組』の生徒が自信を獲得する機会が少ないのは課題」と鳥越氏

英語×キャリア教育×探究が1本につながる設計

--これまで実施されたプログラムをさらにアップグレードすべく、コースを新設されるのですね。2026年春に始まる「グローバルフロンティアコース」についてお聞かせください。

鳥越先生:「グローバルフロンティアコース」は、国際社会で活躍する人材を育成することを目的に、英語力の向上と並行して、日本では大学生でようやく取り組むような自己分析を含むキャリア教育、自分の志向やこだわりで社会とどう関わっていくかを考える探究活動に、授業数も割いて力を入れていきます。

 英語は30名のクラスをさらに習熟度別の少人数制で育成。キャリア教育や探究、進路知識の習得は、ICTや外部の専門家人材と教員が連携した授業で、個別最適化した教育を提供します。他者と比較して自分は英語が得意だという認識にとどまるのではなく、得意より前段階にある関心、つまり、自分は何に興味があり、大学に行ってからではなく高校生活の今からどんな充実感を得たいのかを、ひとりひとりが認識できるような環境を目指しています。

橘内先生:具体的には、探究の時間を他コースの倍にあたる週2時間とし、1年生から個人としての自分、日本の高校生である自分などを掘り下げたり、世界の高校生は何をしに大学にいくのか、選択肢を海外ルートまでに広げると卒業後の学びはどう変わるのかというようなことまで学びます。2年生では海外の学校とオンラインでPBL型交流を行い、多文化共生・気候変動・ウェルビーイングなど課題解決について話し合う等の計画をしています。1年生で自分と対話し、2年生で世界との関わりを知って協働・探究を行い、3年生ではそれらを論文にするなど外に発信できるようなものにして、社会との接続と表現を探る探究を行います。これら3年間の探究は、生徒の成長ストーリーから逆算されたカリキュラムになっています。

星野高校「グローバルフロンティアコース」詳細はこちら

--御校は「星野探究(通称:ほしたん)」として、探究活動にかねてから注力されていますね。これまでの活動を通して、生徒にはどのような成長がみられますか。

橘内先生:私が今見ている2年生は、昨年は環境問題など社会問題に対して問いを立て、その問いや課題に対してどうすべきかを多角的、多面的に考えてレポートにまとめる活動をしました。さらに今年度は、さまざまな大学と連携して、ゼミという形で各々の課題研究を進める活動も行っています。自分で考えて行動し、作品を作っていく中で、受け身ではなく自分ごととして物事を捉えて行動できるようになったように思います。

佐藤先生:私が受けもつ1年生は、地元川越でフィールドワークを行い、課題や問いを立てながら散策する探究プログラムを行いました。自らの学び舎のある川越という町を知ることで、町ひいては社会と自分とのつながりを実感しているようすが見られました。探究活動を通して身に付けた、主体性や積極性を他の教科や活動でも発揮してくれるのではないかと期待しています。

鳥越先生:「グローバルフロンティアコース」では、既存のコース以上に探究の時間を多く確保しています。近隣地域や国内だけでなく、海外とも連携しながらより深い学びを進めていく予定です。

 探究活動を通して、自分の可能性を見出していけるような授業を展開します。ですから「英語は好きだけど、得意じゃない」「英語が苦手だから進学先は国内の大学しかない」と、やむなく自分の可能性を狭めてしまっている子に来ていただきたい。世界中の人と話したい、学び合いたいと思うような、「好き」や「こだわり」があればこそ、英語でそれを伝えられる意義は高まります。そのときに、国内外あらゆる選択肢から最適な進路を提案できるようなコースにしたいと思っています。

「主体的かつ積極的に取り組んでいく生徒が増えることが期待されます」(佐藤氏)

海外大学合格をゴールにせず「納得進路」に重点

--ほかにカリキュラムの特徴は。

橘内先生:先の鳥越先生のお話にも通じますが、本コースの大きなポイントとして「キャリア教育」があります。探究活動は主に「総合的な探究の時間」の中で行うことになりますが、「グローバルフロンティアコース」における探究では、キャリア教育の要素をふんだんに取り入れます。

 まず初期の段階では、あえて未来の目標ではなく現在の自分に焦点をあてます。「将来の目標があって、そこから逆算して自分は何をすべきか」というような文脈ではなく、もっと今の自分に素直に向き合って、「何を好きか、なぜ好きなのか、高校生活で何をしていきたいか」を見つめる時間を設けていきます。

 大人も含めた「仲間たち」とのディスカッションやワークショップを通じて、「自分でも気づいていなかったような好きやこだわりにまで気づく」プロセスを大事にします。そうして見出した「うそのない自分らしさ」と「それに基づいた高校生活」は、結果として、近年増えてきている総合型選抜や、海外での入試での評価につながると考えています。

鳥越先生:グローバルと名の付くコースであっても、海外大学合格をゴールにせず、ひとりひとりの生徒の希望進路を実現するための個別対応型の進路指導を行うということも、本コースの特徴です。これは、30名という少人数制のこのコースだからこそできること。有名大学への合格者数のような数字に捉われるのではなく、その生徒にとって最適な進路を世界中から一緒に見つけていく、自己決定に基づいた柔軟な「納得進路」を重視しています。

 ここに通底しているのが、学園全体の教育の特徴でもある「我がごと化」の概念です。「我がごと化」は、進路をなんとなく受動的に決めるのではなく、自分自身の進むべき道を主体的に切り拓き、何をやるか自分で考え、進路やキャリアを自己決定するということです。それができるのが本コースなのです。

 国内外問わずすべての進路を選択肢に入れ、自分のキャリアをのびのび描いてほしい。そのため、「進路を世界中から選ぶ」ための進路知識についての専門家、実際に海外大と国内大を併願する学生を指導されてきた専門家など、外部の人材も本コースの生徒支援に関わる予定です。「放課後の希望者向けプログラム」を外注するというような形ではなく、正課の授業で生徒の日常に、校内外の大人が一枚岩のチームで介在します。

佐藤先生:もちろん英語力の習得についても、本コースならではのプログラムを用意しています。通常の英語授業に加え、「イングリッシュマスタリープログラム」という授業を1年生で1単位、2・3年生では2単位ずつ設けています。オールイングリッシュで、アカデミックな部分まで英語で表現できるようにしていく授業です。

 通常コースでもネイティブの先生が担当する英語授業は、原則すべて英語で行っていますが、本コースでは日本人教師が教える授業も、「ケンブリッジ国際英語プログラム」の教材を用いてオールイングリッシュで行います。3年間で30コマ以上の英語の授業時間を確保しており、その半数以上をオールイングリッシュで行う予定です。

「グローバルフロンティアコースの特徴のひとつに、キャリア教育があります」と語る橘内氏

自分や世界と向き合い、社会への表現を共に探っていく

--最後に、星野高校グローバルフロンティアコースが求める生徒像や、同コースに関心を寄せる中学生に対して、メッセージをいただければと思います。

鳥越先生:求める生徒像はまず英語が好きなこと。そして、いろいろなことに挑戦するマインドをもっていること。将来がまだぼんやりしている、自分がどんな人間か、何をやりたいかもわからない状態でも、それを一緒に探していけるのが本コースです。自分とは何か、世界とは何か、自分が世界でどんな活躍ができるのかを、一緒に探っていきたいと思います。どんなコースなのか納得して入学して欲しいので、ぜひコースの説明会などに積極的に参加してください。

佐藤先生:高校受験を終えたら、今度はすぐに「大学受験に向けて逆算的な高校生活を送る」のではなく、逆に、高校生になるまでの「過去の自分」や、「今現在の自分」ととことん対話することで見つかる高校生活の送りかたもあると思います。進路の選択肢は想像以上にたくさんあり、世界への飛び出しかたも、「いつ・どこへ・どんなふうに」を自由に考えられる。自分にぴったりのものを見つけるために、星野学園のグローバルフロンティアコースで一緒に学びましょう。

橘内先生:本コースは海外未経験の人でも、国内外問わず自由な進路選択が実現できるコースになっています。そのための支援体制も、自分と向き合う時間も、仲間や世界との繋がりについて考えられる時間もたくさんあります。自分や世界と向き合い、行動する勇気を培うコースだからこそ、迷ったり、失敗したりすることだってできる環境です。他とは違う新しい考え方のコースなので、その違いを知っていただくために、ぜひ説明会などにも足を運んでくださいね。

G. F. C.のオンライン説明会、学校見学会へのお申し込みはこちらから

--ありがとうございました。

取材中のやりとりから、先生方の仲の良さが至るところで感じられる星野高等学校

 英語教育の低年齢化が進む半面、学習スタートが遅れた子供が英語に自信をもてないという日本の英語教育全体の課題。こうした事態に風穴をあけ、「高校からでも大丈夫、海外経験がなくても、英語が本気で好きなら、グローバルに活躍できる道が開ける」と強力なエールを送るのが、来春新設される星野高等学校の「グローバルフロンティアコース」だ。

 学校をあげて「今からでも遅くない」と生徒の背中を押し、多くの英語活用機会を提供しながら、自らの道を切り拓く自主性と決定力を育み、伴走してともに納得する進路を探してくれる、そんな「世界への夢がかなえられる」コースであることがインタビューからうかがえた。本コースを足掛かりに、世界に羽ばたく力を身に付けてほしい。

【2026年春開設】
星野高校「グローバルフロンティアコース」詳細はこちら

《羽田美里》

羽田美里

執筆歴約20年。様々な媒体で旅行や住宅、金融など幅広く執筆してきましたが、現在は農業をメインに、時々教育について書いています。農も教育も国の基であり、携わる人々に心からの敬意と感謝を抱きつつ、人々の思いが伝わる記事を届けたいと思っています。趣味は保・小・中・高と15年目のPTAと、哲学対話。

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