1981年に数学専門塾として創立され、難関大学への圧倒的な合格実績を誇る学習塾、SEG(科学的教育グループ)。2025年度も、東京大学、京都大学、国公立大学医学部など最難関大学への合格者を輩出している。その強さの源といえるのが、他に類を見ない独自の英語教育だ。
SEGが目指すのは、単語の丸暗記や文法の詰め込みのような訓練ではない。「多読」と「実践」を軸に、日本人講師と外国人講師がタッグを組んだ独自の英語指導で、英語という言葉の本質に迫る学びだ。難関大に合格した生徒たちは、SEGの授業を「とにかく楽しかった」と口を揃えて言う。
なぜSEGの学習法が、難関大への合格、そしてその先の学びへとつながるのか。代表・古川昭夫氏に話を聞いた。
古川昭夫氏プロフィール:SEG代表、数学科/英語多読科総括責任者。算数オリンピック大会副委員長、SSS英語多読研究会理事長、Z会数学科顧問、Y-SAPIX数学科顧問を務める。著書に『英語多読法』(小学館)、『英語多読入門』(コスモピア)など。2025年国際多読学会からMilne Innovation Award を受賞。東京大学理学部数学科卒、東京都立大学大学院博士課程単位取得、同修士課程修了。
辞書を使わず「語彙力」「読解力」が伸びる
--文法の反復練習や単語の暗記、問題演習を行わなくても、英語力は伸ばせるものなのでしょうか。
当塾では、高3になるまで受験勉強のためのカリキュラムはなく、いわゆる文法ドリルや参考書も使いません。そのため、保護者の方から「文法は教えていただけないのですか」「単語帳は使わないのでしょうか」などと心配されることもあります。確かに一見、文法・構文・単語の暗記といった学習のほうが効率的に見えるかもしれませんが、実際には単調で面白くないので長続きしません。記憶にも残りにくく、結局は実践的な英語力が身に付かないのです。
母語である日本語で考えてみるとわかりやすいのですが、日本語の文章を読んで理解できるようになるには、語彙や文法を国語の授業で学ぶだけでは不十分ですよね。英語も同じで、日ごろから多くの文章に触れることで、言葉の使い方や表現、文章のリズムなどを体得しながら、使える英語力が育っていくわけです。


さまざまな受験対策の方法がありますが、その多くが「難しい英語」にとらわれすぎているように感じます。たとえば、週刊少年ジャンプが読めない、楽しめない子供に、大学の入試問題を解かせても意味がありません。まずは読んで理解し、楽しむ力を身に付けてから、大学入試問題に取りかかる。それが王道の学び方ではないでしょうか。ですからSEGでは絵本から始め、英語のヤングアダルト向け小説を楽しめるところまで英語力を伸ばしてから、受験に対応する力を身に付けてもらっています。「多読」の時間に、本に出てくる文章から基本英作文を押さえ、「外国人講師による実践」で楽しみながら体系的に文法を身に付けるプログラムになっています。
--英語多読では辞書を使わないことが推奨されていますが、単語力はどうやって身に付けるのですか。
わからない単語があっても、生徒はすぐに調べるのではなく、想像したり、先生に尋ねたりします。ただ、私自身は「この単語なに?」と生徒から聞かれても、安易に答えないようにしています。たとえば、“nap”という単語がわからなかった生徒がいました。絵本には挿絵がついていますので、私は「見たままだよ。何をしている絵だと思う?」と問いかけます。「ピクニック?」「いや、ピクニックではないなぁ」…そんなやりとりを経て、生徒は「昼寝?」と自分で答えを導き出すのです。

テストのために単語を暗記するという勉強法だと、テストが終わった瞬間に忘れてしまいがちです。一方、多読では「自分で想像してわかる」楽しさがあり、同じ単語に何度も出会うことで、自然に定着していきます。だいたい1,000語読めば2~3語を覚えられる計算で、200万語読めば約5,000語が身に付きます。生徒のほとんどは高3までに、基本の4,000語は身に付くので、受験に必要な単語については、高3で単語帳を使って一気に覚えられます。基礎の単語力をもとに高度な単語を覚える方が効率的なのです。
多読の最大の強みは、わからない単語があっても全体の流れで意味を推測できるようになることです。SEGの生徒がリスニングテストにも強いのは、たとえ知らない単語が出てきても、そこで思考が止まることがないからです。わからない部分に意識を奪われず、わかる部分をつなげて理解するスキルが身に付く。これは、どんな英語でも理解できるはずだという自信にもつながります。

難関大学志望でも「受験対策は最後の1年で十分」な理由
--最近の難関大学の入試ではどのような英語力が求められていますか。SEGの授業では、その力をどのように伸ばしていくのでしょうか。
難関大学の入試では、長文の要約や部分訳、英作文、リスニングなど、総合的な力が求められます。特に長文は1題1,000語を超えるような超長文が増えており、訳さずに英語のまま理解できる「直読直解」の力が必要です。その点、多読で養われた読解力は、そのまま入試に生かせると言えます。
ですから、高3になっても多読は続けます。生徒にとっては、多読が英語力の維持やさらなる向上につながると同時に、受験勉強の息抜きにもなっています。一方で、高3からは外国人講師による授業がなくなり、日本人講師による受験対応の内容に変わります。過去問演習や正確な和訳・要約、答案の書き方の指導に加え、オリジナルの問題集や模試形式の実践的な訓練を行います。
--高3では集中的に大学入試の対策を行うのですね。
はい。ただし、高3の時点で、すでに多読を通じて圧倒的なインプットができており、超長文を読む力も十分に備わっています。中1から、リスニングをしながら英語の本をたくさん読んでいるので、東大のリスニング試験においても、当塾の生徒は非常に得点率が高いです。「いつの間にか字幕なしで洋画のセリフを理解できるようになっていて感動した」という生徒も少なくありません。
これまでの経験上、東大・京大をはじめとした国公立大であれ医学部であれ、難関大学の受験で英語がネックになった生徒はほとんどいません。進学実績を見ても、いわゆる受験対策は高3の1年間で十分だと実感しています。
--授業は週に1回ですが、家庭ではどういった学習が必要ですか。
多読パートの宿題は、好きな本を借りて家に帰って読むだけです。「1週間で1時間は読もう」と伝えていますが、それだけでも大きな効果があります。読書にハマる生徒は、4時間、5時間と読んできます。読んだ本はタイトルと単語数、簡単な感想を「読書記録手帳」に書き込んでいきます。SEGの生徒は「読む・記録する」を習慣にしており、6年で100万語を目指していますが、ほとんどの生徒が200万語、多い生徒は900万語を超えます。

外国人講師からの宿題は、授業で出てきた表現を確認するためのライティングなどが出されますが、20分もかからない程度の簡単なものです。子供たちには、自分の興味・関心を突き詰めること、学校生活を存分に満喫することに時間を使ってほしいので、宿題はこれで十分だと思っています。
英語はツール。専門を磨き、世界で活躍できる人へ
--SEGで英語を学ぶことで、生徒にはどんな成長を期待されていますか。
大学に進学した後、英語の論文をスラスラ読み、国際学会でも堂々と発表できる人になってほしいと思っています。実際に、学生のうちから英語で研究発表を行っている卒業生がたくさんいます。
私自身も理系出身ですが、試験で高得点が取れても、国際学会では思うように話せず苦労した経験があります。だからこそ、これから社会に出ていく生徒たちには、どんな場面でも困らない英語力を身に付けてほしいと願っています。そしてSEGのメソッドなら、それが確実に叶うと感じています。
とはいえ、英語はあくまでツールに過ぎません。大切なのは、伝える「中身」です。どれだけ英語が流暢でも、話す内容が空っぽでは、相手の心には届きません。英語を効率的に学びながら、数学や理科といった専門分野をしっかり学び、自分の興味を深めていくこと。その積み重ねが、世界で通用する力になると考えています。

--最後に、英語学習に悩む中高生、そしてお子さまの英語学習を見守る保護者の方へメッセージをお願いします。
私たちは「勉強は楽しくないと意味がない」と考えています。当塾の生徒たちが大学受験を終えた後の感想でもっとも多いのは、「SEGの授業は楽しかった!」という言葉です。もし今、英語が好きになれない、苦手意識があるなら、それは“本来の楽しさ”にまだ出会っていないだけかもしれません。
今、中学生で英語が苦手でも、多読に取り組んでいくうちに必ず英語力は身に付きますし、大学受験も十分間に合います。中3の時点で英語の成績が学年最下位だった生徒が、高3ではトップになった例もあります。どうか焦らず、SEGの英語で、楽しみながら多読を始めてみてください。
--ありがとうございました。
目先の合格だけを追い求める、辛い受験勉強はここにはない。英語を学ぶこと自体の「楽しさ」や「わかる喜び」が、生徒たちの知的好奇心を最大限に引き出し、結果として受験という壁をも乗り越えられる力を育んでいる。目を輝かせて英語の本を読む彼らがやがて、英語を自らの言葉とし、世界を舞台に堂々と夢を実現していく。SEGには、単なる合格実績に留まらない、子供の一生を支える「真の学び」が息づいていた。
多読・多聴で生きた英語を!
科学的教育グループSEG



