政府の新型インフルエンザ等対策推進会議が2025年12月1日に開かれ、インフルエンザA/H3N2型の変異株「サブクレードK」が国内外で広がっている実態が報告された。9月以降11月5日までに国内検出株の約96%、入国時検体の約73%を占めるという。
サブクレードKは、これまでのウイルスに比べ感染の拡大スピードが速いものの、症状や重症度は従来の季節性インフルエンザと大きく変わらないとされている。
インフルエンザウイルスは、A・Bといった「型」から、H3N2などの「亜型」、さらに「クレード(系統群)」へと細かく分類される。その下位に位置する「サブクレード」は、遺伝子変異の違いによって区別される。現在は J.2 や J.2.4、K(J.2.4.1)などが知られ、季節性ウイルスが長年変異を重ねる中で形成されてきた。
厚生労働省によると、2025年第46週(11月10~16日)のインフルエンザ定点あたり報告数は37.73人で、過去5年の同時期平均(3.51人)を大きく上回った。都道府県別では宮城県が80.02人ともっとも多く、埼玉県(70.01人)、福島県(58.54人)が続いている。
感染予防には、こまめな手洗いやマスクの着用を含む咳エチケットの徹底のほか、ワクチン接種も有効とされる。現在使用されている不活化インフルエンザHAワクチンにはA/H3N2株が含まれており、今回検出されたサブクレードKに対しても一定の効果が期待できる。流行株とワクチン株の抗原性に差がある場合でも、重症化予防などで一定の有効性が保たれるとする報告がある。また、治療では通常の抗インフルエンザウイルス薬が有効とみられている。

