ロート製薬は2025年12月15日、2027年4月入社に向けた大学生・大学院生向け新卒採用において、エントリーシートによる書類選考を廃止し、人事担当者との15分間の対話を採用プロセスの第一ステップとする「Entry Meet採用」を導入すると発表した。
採用の初期段階において書類やAI面接での選考が一般化する中、同社は学生ひとりひとりの個性を十分に捉えきれないまま選考を進めることへの課題を感じていた。より確かな相互理解を実現するため、まず直接対話することを入口に据えた採用プロセスへと再設計した。
同社では、新卒採用の初期段階において、エントリーシートによる書類選考を実施してきた。しかし、生成AIの普及で内容の均質化が進み、従来の方法ではひとりひとりの本質的な個性を十分に捉えきれないと感じていたという。
AI面接も有効な手段の1つと認識しているが、そもそも技術革新とともに形づくられてきた現在の採用プロセスが、同社や学生にとって最適なのかを改めて問い直す必要があると考えた。応募の手軽さが高まるほどエントリー数は増えるが、一方で企業は効率的な選考手法を追求することになる。学生も多くの企業に応募せざるを得ない状況となり、負担が増大するだけでなく、短期間で多数の選考に臨む構造上、十分な企業理解が難しくなる場合もある。結果として、入社後のミスマッチにつながり得ると認識している。
同社は、求職者と企業が「共に働く未来」を互いに具体的に想像できるかどうかこそが、採用において最も重要であると考えている。書類やAI面接による企業側からの一方向の評価に偏らず、直接対話し、価値観やビジョンを確かめ合うことが双方にとってより良い採用活動につながると判断し、「Entry Meet採用」の導入に至った。
「Entry Meet採用」の概要は次の通り。応募開始は12月15日で、必要書類を採用マイページより提出のうえ、Entry Meet枠を予約する。Entry Meetは人事担当者との15分の対話で、服装は私服を推奨している。開催地域は全国8拠点(札幌、仙台、東京、名古屋、金沢、大阪、広島、福岡)で、期間は2026年1月16日から2月8日まで。Entry Meetは原則対面での実施を基本としているが、海外大学在籍など、物理的に参加が難しい場合にはオンラインでの参加も検討している。選考フローはEntry Meetの後、複数回の面接およびグループワークを経て内定となる。
「Entry Meet採用」は、学生の個性と可能性の理解を深め、自律的な成長を見据える同社の取組みの1つである。今後も、個人と会社がともに成長するWell-being経営の実現に向け、採用プロセスの進化を進めていくとしている。

