JST、小学校理科教育実態調査…支援員の有無や学級規模で違い

 科学技術振興機構(JST)は8月19日、「平成22年度小学校理科教育実態調査集計結果」をホームページ上に公表した。

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物理分野の指導についてどのように感じていますか
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 科学技術振興機構(JST)は8月19日、「平成22年度小学校理科教育実態調査集計結果」をホームページ上に公表した。

 同調査は、全国の公立小学校約1,000校で学級担任として理科を教えている教員約2,200名と、6年生の児童約2万4,000名を対象に、今年1月から2月にかけてアンケートを実施。理科支援員を配置して、学級担任として理科を教える小学校教員を人的に支援している学校と、学級担任ではなく理科専科の教員が理科を教えている学校、および理科支援員も理科専科も活用していない学校について、教員の理科指導力や児童の理科学習の状況を細かく比較している。

 「理科支援員の活用の有無」と理科専科あるいは低学年の担当等により「理科の指導をしなかった年度の有無」に関して、物理分野の得意・不得意について質問したところ、「得意・やや得意」と肯定的に回答した教員の割合は、「理科支援員」を1年間活用した教員が46.0%、2年間活用した教員が49.7%、3年間活用した教員が55.3%となっている。

 また理科の指導力について、具体的な指導項目を挙げたうえでそれぞれについての自信の有無を訊ね、支援員の配置状況や指導の有無の状況でその結果を比較している。「気体検知器の使い方」についての質問では、「自信がある・やや自信がある」と肯定的に回答した教員の割合は、「理科支援員」を活用している教員の方が活用していない教員より高く、1年間活用した教員では75.3%、2年間活用した教員では80.5%、3年間活用した教員では84.2%という結果となった。一方で、理科専科教員がいる、または理科を支援しない低学年を担当するなど、「理科を指導しなかった年度がある教員」では35.2%~41.4%となった。

 一方、児童への調査においても、理科支援員や理科専科の配置の有無による理解度などの違いを明らかにしている。「理科を勉強すれば、疑問を解決したり予想をたしかめたりする力がつくと思いますか」という質問に対し、「そう思う・どちらかといえばそう思う」と肯定的に回答した児童の割合は、「理科支援員のみ」を配置した学校の児童が73.4%、支援員および理科専科が「未配置」の学校の児童は71.3%、「理科専科のみ」を配置した学校の児童は70.0%となった。

 また「理科の授業がどの程度分かるか」について質問したところ、「よく分かる」と回答した児童の割合は、「理科支援員のみ」を配置した学校の児童が25.9%に対して、支援員および理科専科が「未配置」の学校の児童は24.1%、「理科専科のみ」を配置した学校の児童は21.9%となった。

 さらに、学級の規模による理解度の違いを見たところ、「よく分かる・だいたい分かる」と答えた割合は「15人未満の学級」(76.3%)、「15人以上25人未満」(73.1%)、「25人以上35人未満」(70.1%)、「35人以上」(70.1%)となった。

 このほか、同調査では教員の大学院の終了の有無および専攻の違いと教員の理科指導の自信との関連などについても調べている。

《前田 有香》

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