暴力のない学校づくり、地域や学校種間の連携が必要…文科省

 文部科学省は9月2日、「暴力行為のない学校づくりについて」の報告書をホームページに公開した。

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暴力行為のない学校づくりについて(報告書)
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 文部科学省は9月2日、「暴力行為のない学校づくりについて」の報告書をホームページに公開した。

 同省の「暴力行為のない学校づくり研究会」では、教育現場における暴力行為への効果的な対応について、暴力行為に至る児童生徒の抱える問題や暴力行為の発生した学校が抱える課題に関して協議したほか、暴力行為発生後の対応により落ち着いた学習環境を取り戻した事例についてヒアリングを行うなど、さまざまな観点から検討を行った。その過程において、学校の指導体制の重点に関する協議とともに、児童生徒が暴力行為を通じて訴えようとしていることは何かなど、暴力行為に至る原因等についても十分な配慮がなされる必要があること、発達上の課題など配慮を要する児童生徒についての教職員の十分な理解が重要であることなどを踏まえ、協議がなされた。

 「暴力行為が発生する学校」を「落ち着いた学習環境」に改善するための指導に当たっては、児童生徒が安心して学べる環境を確保するため、適切な指導、措置を行うことが必要というのが基本姿勢だが、従来と同じ指導では難しい例が増えているという。個別の事情を抱えた児童生徒へ配慮しつつ、内面に迫る指導と、集団に対するきめ細かい指導で抜本的な解決を目指すことが求められるとしている。

 また、教職員と児童生徒との人間関係を重視し、家庭や地域社会の青少年関係機関との連携をして協力関係を築いていく努力も必要だとしている。

 さらに、校内指導体制における既存の指導方針やマニュアルが現状に見合ったものかどうか、担任が1人で抱え込まない体制が整っているかなどの具体的項目について点検することが必要であるとし、スクールカウンセラーや関係機関の専門家を入れたチームを設けた場合、対応方針が全教職員の共通理解のもとで実践される必要があるとしている。

 また、幼少や小中、中高の連携を活かした指導や保護者、地域、関係機関との連携した取組として、中学校区内の小中学校で合同の研修を行ったり、高等学校が地域の中学校と連携して学校行事や部活動指導の協力などを行っている実践例についても触れている。

《前田 有香》

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