外国人留学生30万人を目標に受け入れ、文科省検討会が中間まとめ

 文部科学省が設置する検討会は8月28日、外国人留学生の受け入れ戦略について中間まとめを公表した。成果が期待できる分野として「工学」など4分野、重点地域に「ASEAN(東南アジア諸国連合)」などを設定。30万人を目標に留学生の受け入れ拡大を目指すとしている。

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世界の成長を取り込むための外国人留学生の受入れ戦略(中間まとめ)
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 文部科学省が設置する検討会は8月28日、外国人留学生の受け入れ戦略について中間まとめを公表した。成果が期待できる分野として「工学」など4分野、重点地域に「ASEAN(東南アジア諸国連合)」などを設定。30万人を目標に留学生の受け入れ拡大を目指すとしている。

 「戦略的な留学生交流の推進に関する検討会」は2013年3月、文科省高等教育局長の下に設置。各省庁や関係機関などからヒアリングや検討を重ねてきた。

 中間まとめでは、外国人留学生受け入れに対する考え方として、教育研究の向上、国家間の友好関係強化、経済発展への貢献など、従来からの側面に加え、諸外国の成長を取り込むための戦略策定の必要性を指摘。日本が幅広く貢献できる「工学」、世界的に高評価を得ている「医療」、企業進出など経済・政治的に大きな影響を与える「法学」、応用範囲が広く発展の可能性が高い「農学」の4分野を重点分野に設定した。

 重点地域には、世界の経済動向や情勢などを踏まえ、「ASEAN」「中央アジア」「インド等南西アジア」「ロシア及びCIS(独立国家共同体)諸国」「アフリカ」「中東」「南米」「中東欧」「米国」を指定。日本の発展に結びつけるため、目的に合わせた留学生受け入れ戦略を策定する必要性を指摘し、「海外市場拡大を目的にした場合は、進出した日本企業の工場長レベルの人材を育成」「イノベーションの誘引を目的とする場合は世界トップレベルの科学者育成」などと示している。

 また、政府関係機関などとの連携の重要性も指摘。ODA(政府開発援助)の対象国から卒業国への支援の連続性を図るために国費外国人留学生制度を活用していくことや、国費留学生から各国の有力者となった人物を把握して人的つながりを活用していくことなどを盛り込んでいる。

 具体的な方策として、司令塔となる留学コーディネーターの配置、米国などのトップレベルの大学に留学している学生を日本に再留学させる取組み(「ジャパンイニシアティブ(仮称)」)の推進、重点地域に焦点をあてた奨学金の拡充などを挙げている。

 文科省によると、2012年5月1日現在の外国人留学生数は、13万7,756人。このうち、国費外国人留学生制度での受け入れは8,588人、文科省外国人留学生学習奨励費の受給者は12,155人。世界的に留学生獲得競争が激化する中、近年は中国で外国人留学生の受け入れ数が飛躍的に増大しており、日本が遅れをとっているという感は否めないという。

《奥山直美》

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