【自ら学ぶ力が伸びる子育て術 3】本好きな子が育つ読み聞かせ

 前回は「本好きな子が育つ本棚作りの工夫」をお話ししました。「出会い」がポイントでしたね。お子さん自身のタイミングに合わせて、少し先回りしつつ、自ら本を手に取ることができる環境づくりをしていきましょうというお話しでした。

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◆読み聞かせ役をお子さんと交代すると、楽しく本好きになれる

 そのような時期になれば、お子さんお気に入りの本を選んで、読み聞かせ役をときどきお子さんと交代してみましょう。

 たとえばお母さんが読んであげていて、お子さんが笑ったページや驚いたページがあれば、「びっくりしたねぇ? 今のところ、今度は○○ちゃんが声に出して読んでみて。ママもびっくりしたいな」と、声をかけてみてください。

 たどたどしい読みでも構いません。とにかくお子さんが1行でも声に出して読み始めたら、「うんうん」「どうなるのかな?」「え~!大変だね」「そうなんだ」と、気持ちを込めてあいづちを打ってあげましょう。「自分が読んでいる話を聞いてくれている」と実感できれば、子どもはまた続きを読んでみようという気持ちになります。

 「交代で読もうね」と最初に声をかけておいて、何行か読んだら、「はい交代」と続きを子どもに読んでもらうのもいいですね。何行ずつと堅苦しく考える必要はありません。親が8行に対して子どもが1行でも構いませんし、子どもが3行読んだり、1行の半分でやめたりと少しふざけても構いません。自分も読んだ、という気持ちを子どもがもつことができれば成功です。

 あとは子どもが自分で読むことに少しずつ慣れていくよう、交代読みのバリエーションを工夫しましょう。

 登場人物が2人なら、お互いに役を決めて、「ママはお姫様役ね、○○ちゃんは小人役」と劇の練習風にしてもいいですね。「目を閉じて聞いてみてね」と声をかけて、耳からだけお話しを聞いて想像させるのもいいでしょう。

 「どんな人が出てきた?」「お城はどんな形だと思った?」と、何を想像したか聞いてみてください。最初は「わからない」と言うかもしれませんが、少ししたら自分なりの想像を話してくれると思います。

 そうしたら、「今度はパパが目をつぶってみようかな。読んでくれる?」とバトンタッチしましょう。そして想像したことを話してあげてください。

 文章を読んでいく楽しみは、今読んでいる内容そのものを頭の中に思い描くこともそうですが、「この次はどうなるかな?」と想像することにもあります。

 想像することが少しでもできるようになれば、読み聞かせしているときも「次はどうなるのかなぁ? どう思う?」と、ページをめくる前に聞いて想像させてあげるといいですね。

 ページをめくるのがワクワクするように、ドキドキするように、雰囲気を作ってください。

 子どもが次を急かしてページをめくりたがったり、反対に今のページをもう少し読みたいと、めくらないで止めたり、受け身で話を聞くのではなくて自己主張し始めたときがチャンスです。

 「いいよ。自分の読みたいように読んでいいからね。」と子どもに預けてしまいましょう。お子さんが読むのをニコニコと横で聞いていてあげて、疲れてきたなと感じたらバトンタッチ。また読みたそうなようすがあれば、読ませてあげてください。

 このようにしてお子さんが自分から本に親しめるよう、段階を追って導いてあげるといいでしょう。無理なく本に触れ、自分なりに読む機会を与えられた子は、本を読んで欲しいけれどお母さんが忙しいときには、「じゃあ自分で読もうかな」と考えるようになります。

 気が付いたら自分で読んでいた。

 そうなればいいですね。

<著者紹介>小川大介(中学受験専門プロ個別指導教室SS-1代表)
 1973年生まれ、京大法学部卒。関西最大手塾の看板講師として活躍後、2000年から現職。一般の個別指導教室とは一線を画し、発問応答指導、毎月の学習カウンセリング、塾の使い方指導を導入。教育コンサルティング機関へとSS-1を育て、毎年、御三家、灘中他有名中学合格者を多数輩出する。生徒自身と家庭の学習力を最大限引き出すノウハウは、学年を問わず定評があり、近年は、子どもたちが幼児低学年のうちに「自ら学ぶ力」を授ける活動に力を入れている。
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《小川大介》

教育家・見守る子育て研究所所長 小川大介

京大法卒後、中学受験個別塾を創設。子ども本来の力を見つけ出し、最大限の能力発揮を実現する独自ノウハウを確立する。6000回の面談で培った洞察力と的確な助言が評判。塾運営を後進に譲った後は、教育家として講演、人材育成、文筆業、教育系企業への助言と多方面で活動している。テレビ他メディア出演多数・著書26冊。

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