キャリア教育で学習意欲が向上…国立教育政策研究所が教員向け資料を掲載
国立教育政策研究所は3月25日、キャリア教育支援資料「キャリア教育・進路指導に関する総合的実態調査」パンフレットをホームページに掲載した。キャリア教育が児童生徒の「学習意欲」の向上を促すという点について、データや事例を用いて解説している。
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「キャリア教育・進路指導に関する総合的実態調査」とは、キャリア教育や進路指導に関する実態を把握し、今後の各学校におけるキャリア教育・進路指導の改善・充実を図る目的で、7年に1度実施されている調査。前回の調査は平成24年に行われ、平成25年3月と10月に報告書をまとめている。今回のパンフレットはそれらの分析結果を踏まえたもので、全国の小学校、中学校、高等学校、教育委員会に向けて作成された。
パンフレットに掲載されたデータによると、キャリア教育計画の充実度が高い学校ほど学習意欲も向上する傾向にあるという。充実度が高い学校では「キャリア教育の実践によって学習全般に対する生徒の意欲が向上してきている」と回答した割合が、小学校で45.1%、中学校で55.1%、高等学校で65.4%だった。
また、進学や就職に関する指導も大事だが、将来起こり得る諸リスクへの対処法も含めて、中長期的な視野をもたせることも大切としている。「将来の生き方や進路について考えるために指導してほしかったこと」に「就職後の離職・失業など、将来起こり得る人生上の諸リスクへの対応」と回答した生徒の割合が、中学校で32.1%(17項目中第2位)、高等学校では23.1%(17項目中第3位)だった。生徒だけではなく、中学生保護者の54.8%、高校生保護者の61.5%が将来のリスクへの対応の仕方についての指導を望んでいた。
パンフレットには小学校、中学校、高等学校それぞれの事例を掲載。たとえば中学校では、断片的になりがちなキャリア教育を日々の教育活動とつなげることが大事だという。その事例として、学校行事の前に個人の目標を設定し、行事後にキャリア教育の視点から身についた能力について振り返らせる、茨城県鹿嶋市立平井中学校の取組みなどを紹介している。このほか、全体計画の必要性や体験活動の効果、評価の現状などをQ&A形式で回答している。
同研究所では、パンフレットを各都道府県・政令指定都市教育委員会、各学校に送付。学校や地域でのキャリア教育を振り返り改善する際や、キャリア教育の全体計画や年間指導計画を作成する際などに活用してほしいとしている。
《黄金崎綾乃》
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