大学図書館の運営経費は減少傾向、電子書籍の種類は2年間で2倍に…文科省調査
文部科学省は3月25日、平成25年度「学術情報基盤実施調査」の結果を発表した。前年度より大学図書館資料費および運営費は減少となったが、電子ジャーナルに係る総経費は増加。電子書籍の総利用可能種類数は2年間で2倍となったことがわかった。
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
同調査は、国公私立大学の大学図書館やコンピューター・ネットワーク環境の現状を明らかにし、その改善・充実への基礎資料とするため、平成17年度から毎年実施している。対象は国立86大学、公立83大学、私大605大学の計774大学で、オンライン調査システムにより回答。平成25年5月1日の状況が基準となっている。
大学図書館の図書館資料費および図書館運営費は、前年度と比較していずれも緩やかな減少傾向が継続。図書館資料費総額は1.4%(971百万円)減、図書館運営費の総額は0.5%(405百万円)減となった。
電子ジャーナル(電子媒体によって提供される形態の雑誌)に係る総経費は、前年度より大学全体で4.5%(971百万円)増。電子書籍の総利用可能種類(延べ数)はこの2年間で2倍に増加した。一大学あたりの利用可能種類数は、国内出版社の電子書籍の205種類対し、海外の出版社から購入した電子書籍は4,862種類となっている。
機関リポジトリ(教育研究成果をインターネット上に無償で公開するシステム)を構築(公開)している機関数は、全大学の35.1%(272大学)と年々増加している。アクティブ・ラーニング・スペース(複数の学生が集まってさまざまな情報資源を用いて学習を進めることができるスペース)を設置する図書館数は、前年度より80館増の306館となった。
コンピューターおよびネットワークの整備状況では、ほぼすべての大学で学内LANが整備されており、通信速度1Gbps以上の大学が85.3%、10Gbps以上も22.2%と、国立大学を中心に高速化が進んでいる。一方で対外接続回線の通信速度1Gbps以上の大学は4割程度で、学内ほど高速化が進んでおらず、他機関との通信時のボトルネックの原因となっているとみられる。
クラウドの運用に関しては全大学のうち、62.8%(486大学)が運用し、19.9%(154大学)が運用を検討している。前年度の調査の429大学より増加しており、背景にはサーバーやシステムの集約化によるコスト削減、学外のデータセンターなどの活用により災害時のバックアップ機能強化などのメリットが考えられるという。
施設・設備面における課題として「セキュリティ対策の充実」がもっとも多く、72.0%。次いで「コンピューターの老朽化・陳腐化」「学内LANの老朽化・陳腐化」が続いた。
《黄金崎綾乃》
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