【中学受験塾】日能研:公開テストが苦手、復習できないなどのハードルと解決策

 首都圏をはじめ、北海道、愛知、岐阜、関西、中国、四国、九州、沖縄と広い地域で中学受験塾を展開する日能研の3つのハードルと解決策について、中学受験情報局「かしこい塾の使い方」に聞いた。

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 学校では新年度がスタートするが、中学受験塾では早くも新学年コースが3か月めに入ろうとしている。首都圏をはじめ、北海道、愛知、岐阜、関西、中国、四国、九州、沖縄と広い地域で中学受験塾を展開する日能研の3つのハードルと解決策について、中学受験情報局「かしこい塾の使い方」に聞いた。

 日能研の3つのハードルは、「カリテはいいのに公開テストになると点数が下がる」「単科(選択・特別)講座の選択で悩む」「次々と新しい単元に進み、次の週の勉強に追われてしまうために、カリテの復習ができず、苦手単元の克服ができない」。

・カリテはいいのに公開テストになると点数が下がる

 解法の暗記だけに頼った勉強をして、自滅する生徒は意外に多い。カリテの成績によって座席が入れ替わるためだと思うが、小4生でもカリテのための勉強を一生懸命する。そのカリテは、本科テキストや栄冠テキストの問題とそっくりだ。

 とりあえず、テキストの問題を繰り返し解いて覚えてしまえば点数はとれる。小4・小5の学習内容が他塾に比べてやさしいために、暗記だけで点数がとりやすいということになる。

 日能研では、こんな勉強をしてしまっている子が本当に多い。そのような子は「カリテは良いのに公開テストになると点数が下がる。」ことになる。これが初期症状。

 これが、小6になって、内容が急に難しくなると、「小4(5)年の時はできたのに、今はクラスも下がって…」「睡眠時間を削って勉強しているのに、逆に成績が下がって…」という重症につながる。

 カリテはできなかった部分の克服に役立てたいところだが、次の週の勉強に追われてしまうため、どうにも復習できない状況になりがちなようだ。

 成績上位の生徒はそれでも何とか復習しているが、ほとんどの生徒はそこまで手が回らない。「カリテの復習をやるか、宿題をやるか」という状態に陥る。

 しかし他の進学塾に比べると問題の取捨選択がしやすいテキストの作りになっているので、宿題にかける時間と、カリテの正答率表を利用したやり直しを行えばかなり効率よく学習を進めることができるのも事実。

 これについては生徒の状況にもよるので、保護者が真剣にかかわり判断するか、プロ講師の力を利用して判断してもらうと良い。

 対応は、早ければ早いほど良い。この「学習=暗記」が染みついた子に、考える・理解するという学習習慣を身につけさせることに、毎年本当に苦労していることを正直に申し上げておきたい。

・単科(選択・特別)講座の選択で悩む

 選択講座の数が非常に多く、みんながやっているからやらなければならないのではという理由で、ついつい講座を取りすぎてしまうことが多い。

 講座を取りすぎると、家での学習時間(復習をする時間)が減ってしまい、その結果としてカリテが取れないなどの弊害が出ている方も多数いる。

 弱点単元を補おうと、単科講座を選択されるのもあまり勧められない。1クラスの人数が多いために、個々の弱点に対して何らかの特別な対策がなされることはほとんど期待できない。

 その結果、苦手な単元をもう一度追体験することになってしまい、より苦手意識が強くなってしまうという恐れもある。

 また、夏期講習などの長期休暇期間の学習に関しては、通称「電話帳」などと呼ばれている長期休暇用のテキストにもかなり数多くの「やらなくて良い問題」が含まれている。

 何でもかんでも端から端まですべての問題を解く必要はない。授業で習った問題を確実に解けるようにすることに集中してほしい。

・次々と新しい単元に進み、次の週の勉強に追われてしまうために、カリテの復習ができず、苦手単元の克服ができない

 カリテは、正答率表を利用しての復習をしてこそ効果のあるもの。R4偏差値55程度の学校を第1志望とする場合は、正答率50パーセント以上の中で間違った問題、偏差値60以上を第1志望とする場合は正答率30パーセント以上の中で間違った問題を復習してほしい。筑駒志望者以外は正答率10パーセント以下の問題に時間を割く必要はない。

 そうは言っても、なかなか復習の時間がとれない場合は、とりあえず算数だけの復習をお勧めする。1週間に1時間程度の時間は何とか確保できるのではないだろうか。

 また、普段の学習の効率を高めることも大切だ。本科テキストと栄冠テキストを全部解かせずに、「もう少しで解ける問題」を中心に復習するようにしてほしい。

 計算だけを習う小4の2月から3月はできる限りたくさんの問題を解く方がよいが、その時期以外は取捨選択が必要となる。

 その取捨選択は親がやることになるが、それが難しい場合は受験に精通した第三者が必要になる。

・解決策

 日能研最大の利点は、資料やデータの豊富さと基本をしっかりとおさえられる良質のテキストにある。余力があれば別だが、単科講座は本当に必要な講座を見極めることが必要だ。

 本科テキストは基礎力を固めるテキストとしては最高によくできた教材だ。この最高の教材を活かすためには、「授業→家庭での復習→カリテでの高得点→カリテの復習」というサイクルをきちんと築くことが重要となる。

 そして、復習の際には解き方の丸暗記にならないように注意してほしい。

 また、正答率等に関しての資料も詳細なものが保護者の元に届くので、この資料を活用しない手はない。

 地域・校舎によって、頻度に違いはあるが、クラス替えの機会が少ないため、できるだけ早く上位クラスへ上がることが重要になる。上位クラスのお子さんの場合は、カリテの共通問題の後半から発展問題の前半までのできに注意してほしい。

 このあたりによく出題される、グラフや表を読み取って解く問題のできが悪い場合は、覚える勉強だけになっている可能性があるといえそうだ。また、時間内に多くを解こうとして問題文をしっかりと読まずに解いている場合もある。

 失点の原因を探ることから始めてほしい。「成績が上がらないので、別の問題集も解かせたいがどうか」という相談をよく受けるが、それはほとんどの場合逆効果になる。

 ミスが多い原因、もう少しのことを気付けない原因、思い出せない理由をきっちりと分析することが大切だ。

《編集部》

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