津波被害の公立学校、再建計画決定も用地確保などに課題
国立教育政策研究所は、東日本大震災の津波被害を受け学校施設移転を計画している自治体に学校建築やまちづくりの専門家を派遣するとともに、津波被害を受けた学校の実態調査を実施。
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
同研究所では2013年5月、津波被害を受け学校施設の移転等を計画している公立学校(53校)を対象に、被害状況や学校再開の状況、再建のプロセス等についてアンケート調査を実施。調査結果によると、53校は校舎、体育館、校庭のいずれかが浸水しており、このうち校舎の2階床上以上に浸水した学校が約5割となっており、甚大な被害を受けている。
震災後、初めての授業再開は,他校に間借りして対応した学校が43校あったが、応急仮設校舎の整備や学校の統廃合が行われた結果、他校に間借りしている学校は、2013年度1学期現在、18校まで減少している。
他校に間借りしている学校については、スペースが少ない、特別教室等の使用に時間的制約があるなどの課題があるが、学校間で連絡・調整を密に行うなどの工夫により対応しているという。
また運動スペースについては、震災後、屋内運動場が避難所となり使用できなかった学校や、屋外運動スペースが仮設住宅の用地になり使用できない学校があったが、他校との共用や市民運動場の活用、仮設グラウンドの整備等により運動スペースを確保しているという。
学校施設の再建計画等の検討に当たっては、多くの学校において、まちづくり担当部局との連携が図られており、移転を計画しているほとんどの学校で再建計画等が決定されていることがわかった。また、地域の防災拠点としての整備や他の施設との複合化や併設を検討している学校や、学校を地域の核と位置付け、まちづくりと一体的に再建計画等を進めている学校もある。
ただし、学校施設を移転整備するためには、用地交渉・取得に関する課題が多く、土地価格の乖離等により地権者の合意が得られないこと、地権者が複数いて手続に時間を要すること等が課題として挙げられた。
《水野こずえ》
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