東工大の千葉明教授、アクティブラーニング導入手法と効果を公開
教育現場での導入が求められて久しいアクティブラーニングについて、東京工業大学電気電子工学科長の千葉明教授は、実際に現場で行われ成果を得た取組みと手法を発表した。
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千葉教授の取組みでアクティブラーニング(参加型学習)が導入されたのは、同大学3年生の講義「電気機器学」。かねてより講義でのICT機器の利用やeラーニング、アクティブラーニングの導入が推進されていたが、現場職員レベルでは何から始めたらよいかがわからない状態であったという。
講義は定員120名の大教室での講義スタイルをとるため、従来の形式では多人数でのアクティブラーニングが困難であった。そこで、一方向の授業にならず、学生を積極的に授業に参加させる試みとして千葉教授が導入したのは、インフォテリアが提供するクラウドサービス「Handbook」だった。
「Handbook」は、モバイルデバイス向けの文書管理サービス。文書や表計算、プレゼンテーションおよび画像や音声、動画などのあらゆる電子ファイルをクラウドに保存し、参加者の情報端末でファイルを共有できる仕組みだ。
千葉教授はこのサービスを利用し、学生のスマートフォンやタブレット、パソコンに練習問題やアンケート、補助資料を配信することを試みた。配信したのは、前回講義の内容に基づいて作成された「復習クイズ」と、授業終了時に配信する「宿題」の2つ。宿題を出題する際にはアンケートも同時に配信し、宿題や講義内容の難易度が適切であるかどうかということや、講義に対する意見や質問を自由に受け付けた。各学生の解答やアンケートは千葉教授のもとに集約され、次回の講義内容改善に活かされる。
復習クイズは、デバイスにより問題の表示が異なり、講義に参加しなければ解き方を把握できないことが特徴。そのため、前回の講義に出席しなければ理解できず、遅刻や授業中に居眠りをする学生が減ったという。
また、学生の積極的参加を促すため、千葉教授は宿題の解答がもっとも早かった生徒に次回の講義で問題解説を行うよう呼びかけた。取組み当初は口頭で行われた解説だが、現在では学生自らプレゼンテーションを用意し解説するといった能動的な動きが見られるようになったという。
一連の取組みの結果、東工大が毎年行う「学生の満足度などに関する調査」において電子機器学講座の満足度は向上。2013年に比べ、2014年は「受講前よりも、授業で扱う課題に対し関心が高まった」「教員の説明がわかりやすかった」などの項目すべてで「YES」と答えた学生の数が増加している。
千葉教授はこの取組みを公表するにあたり、「お伝えしたかったのは私がどのような施策を実施し成功したかよりも、授業ごとにアンケートや試験の結果などを確認し、前回の結果を踏まえて新たな試みにチャレンジをしたことが成功につながったということ」とコメントしている。
今回の試みに関する報告書は、「Handbook」Webサイトから無料でダウンロードできる。
《佐藤亜希》
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