近視の遺伝子変異を発見、京大研究グループ
京都大学は4月7日、「近視(近眼)の発症にかかわる遺伝子変異を発見した」と発表した。近視を予防する方法はいまだに確立されていないことから、将来的に予防方法や治療薬の開発につながるものと期待されている。
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
発見したのは、同大医学研究科の山城健児講師と吉村長久教授らの研究グループ。滋賀県長浜市と同科が連携して実施している「ながはま0次予防コホート事業」(通称ながはまコホート)を用いて研究した。
研究では、9,800人の日本人データを解析。WNT7B遺伝子の変異(SNP)が近視の発症に影響を与えていることを突き止めたうえで、1,000人の日本人強度近視患者の追加データを解析し、WNT7B遺伝子の変異が強度近視の発症にも影響を与えていることを発見した。
また、動物実験では角膜と網膜の細胞が出すWNT7Bの量が、近視発症時に変化することもわかったという。
研究グループによると、日本人の2~3人に1人が近視で、5%程度は強度近視といわれている。子どもの近視の予防方法では、点眼薬やメガネ、コンタクトレンズが試されているが、効果は限定的で、一般的に使用される段階には至っていない。
現時点では、WNT7Bがどのように近視を発症させるかはわかっていないが、その機序が解明されれば、近視の治療薬開発につながるかもしれないという。
研究者は「近視の発症原因を探るための第一歩となる研究結果で、将来的には近視の予防や強度近視による失明の予防につながると考えています」とコメントしている。
今回の研究成果は3月31日、「Nature Communications」オンライン版に公開された。
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