【AO入試の基礎5】AO入試に「正解」はないが、「評価の基準」はある

 AO入試や推薦入試を受ける予定の子どもの保護者の質問に、教員経験をもち、総合キャリア支援団体「MyCareerCenter」を運営する岡村洋平氏が答える連載「AO入試の基礎」。第5弾では、「志望大学の入試で求められる力を見極めること」の重要性について話を聞いた。

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今さら聞けない!AO入試の基礎知識
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◆入試での出題内容からも、大学のメッセージを読み取れる

 「アドミッションポリシー」や「求める人物像」などは、きちんと明文化がされているだけに、学生に求められているものをはっきりと理解できるでしょう。ただ、大学からの「こんな学生を求めている」というメッセージはそれだけではありません。

 実は、これまでの試験内容もそれ以上に重要です。というのは、大学が出題する問題には、アドミッションポリシーに示された内容が具体的に明記されており、大学からのより明確なメッセージが込められているからです。これは、いくつかの大学を比較することで、相対的にわかりやすくなります。

 たとえば、先に例で挙げた早稲田大学の国際教養学部では、英文600語の志望理由書が求められていますが、他方で、慶應大学の総合政策学部では、志望理由書は2000字(日本語)。ちなみに、早稲田大学では志望理由書は他の学部でも800字程度。他方で慶應大学では2000字程度。明らかに、慶應大学は志望理由書が重視されているとわかります。

 こうして考えると、慶應大学のAO入試では、入学後のビジョンの明確さや具体性を求めているということを読み取ることができます。これがわかっているとわかっていないとでは、対策の仕方やポイントが変わってきますよね。今の早稲田大学と慶應大学との比較はシンプルでわかりやすい一例ですが、どの大学・学部でも同じような分析をすることができます。

 ただ、こうした観点は、数年間の出題内容や傾向、そしていくつかの大学間での比較があってこそ見えてくるもの。もちろん独力でできないことではありませんが、AO入試対策を専門としているスクールなどではこの点に強みがあることも多いので、活用することもお勧めです。

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 連載「AO入試の基礎」は、AO入試や推薦入試を、学生やその保護者が受験をする際の「前向きな選択肢のひとつ」にするべく掲載されるシリーズ。次回以降は、AO入試の対策についてさらに取り上げていく。

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《編集部》

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