水で膨らむボールやビーズ、乳幼児の誤飲に注意…国民生活センター

 国民生活センターは10月1日、水で膨らむボール状の樹脂製品を2歳の女児が誤飲し、開腹手術をして摘出する事故事例があったと発表した。誤飲を防ぐため、高吸水性樹脂製品は乳幼児の手の届かない、見えない所に保管するよう呼びかけている。

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手術で摘出された異物(左)と同型品(右下)
手術で摘出された異物(左)と同型品(右下) 全 5 枚 拡大写真
 国民生活センターは10月1日、水で膨らむボール状の樹脂製品を2歳の女児が誤飲し、開腹手術をして摘出する事故事例があったと発表した。誤飲を防ぐため、高吸水性樹脂製品は乳幼児の手の届かない、見えない所に保管するよう呼びかけている。

 高吸水性樹脂は、水と接触することで吸水し、自重の100~1,000倍の水を吸収できるとされている。吸水することでゲル状になる性質があり、一度吸水すると圧力をかけても水が戻りにくい特徴がある。高吸水性樹脂を利用した商品は、ビーズ、インテリア用品、園芸用品、芳香剤、消臭剤、紙おむつなど多岐にわたる。

 女児は6月、嘔吐の症状が治まらず、開腹手術した結果、誤飲した異物による十二指腸閉塞であることが判明。異物は、吸水することで膨らむディスプレー用製品で、吸水前は直径1~1.5センチ程度のものが、手術で摘出されたときには直径約4センチのボール状になっていたという。

 高吸水性樹脂製品をめぐっては、幼児がおもちゃのビーズを耳に入れてしまい、ビーズが水を含んで耳の中で膨張し、緊急手術で取り出した事例も報告されている。虫よけ用品のゼリー状の粒を幼児が食べた例などもある。

 同センターでは、誤飲を防ぐため、高吸水性樹脂製品は乳幼児の手の届かない、見えない場所に保管するようアドバイスしている。また、誤飲に気づいたときや疑いがあるときには、直ちに医療機関を受診するよう呼びかけている。受診の際には、誤飲したものが高吸水性樹脂であることとその大きさを医師に伝え、同型品やパッケージなどが残っていれば見せた方がよいという。

 国立研究開発法人国立成育医療研究センター外科の朝長高太郎医師と渡辺稔彦医師は、誤飲に気づいた際の対応として、「高吸水性樹脂が口内にある場合は、無理に取り出そうとせず、吐き出させることを試みてください。無理に口の中に指を入れて取り出そうとすると飲み込んでしまうことがあります。吐き出させる場合は、頭を低くして背中を強くたたいてください。数回たたいても吐き出さない場合はすぐに医療機関を受診してください」とコメントしている。

《奥山直美》

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