地震発生後72時間を生きのびる秘訣…そなエリア東京センター長山崎氏
有明にある「そなエリア東京 防災体験学習施設」をご存知でしょうか。今年4月にリニューアルされたばかりのとてもアメージングな施設です。今回は施設の見どころなどを施設の責任者である山崎センター長へインタビューしてまいりました。
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
訓練生:本日はお忙しいところ、急な取材を受け入れて頂きありがとうございました。
山崎氏:いえいえ。こちらこそ取材して頂きありがとうございます。
訓練生:インタビューの前に館内を見学させて頂きました。失礼ながら、思いのほか楽しくて、取材を忘れてすっかり遊んでしまいました!
山崎氏:それはよかったです。楽しんでもらえるのは、こちらとしても大変喜ばしいことです。
◆バーベキュー施設がある理由
山崎氏:当館には、年間20万人から25万人が来場して頂いております。東日本大震災のちょうど半年前の2010年7月に開館しましたので、新しい施設ではあるのですが、大震災後に見直しされた被害想定や大震災の経験を取り入れるために、今年4月にリニューアルをしたばかりです。
訓練生:すごい来場者数ですね! 今日も平日にも関わらず、結構団体様もいらしてます。この施設にはどんな方に来ていただきたいとお考えですか?
山崎氏:外国人も含め、普通の生活者すべての人です。訓練生さんも自治会で防災委員をされているそうですが、自治会の方などはもともと意識が高いので、もちろん大歓迎です。でも、震災はすべての人に降りかかりますから、あまり防災に関心のない方々にも来ていただきたい。
そういう意味で、公園内にはBBQ施設も設けています。きっかけが遊びに来たことだとしても、防災に興味をもってもらえればよいと思っています。
◆「ここ何階でしたっけ?」でしめしめ
訓練生:「東京直下72hTOUR」*に参加させていただきました。テーマパーク顔負けの本格的なアトラクションですね。超リアルで、本当にびっくりしました。しかも無料(笑)。
山崎氏:はい、最初に駅ビルのエレベーターに乗るところから始まりますよね。なるべくリアルに、防災体験の世界に入りきっていただくように作られていますので、TOURが終了した時にお客様が「ここ何階でしたっけ?」と錯覚を起こされることもあります。そんな時は心の中でしめしめとなりますね(笑)。
TOURでは一人ひとりがタブレットを持って進みます。タブレットから個別に出題されるクイズをクリアしながら、被災直後の街中の危険をかいくぐって脱出してもらうようになっています。
訓練生:TOUR体験者ごとに、ルートやクイズが違うんですね。
山崎氏:そのとおりです。実際の震災では自力で助からなければならないので、クイズを通じて自分の力で選択をすることを体験してほしいと思っています。
そのほかにも最悪の想定を体験していただく設定として、TOURの想定は冬の夕方18時となっています。火災が起きやすい乾燥した時期で、晩御飯を作っている時間帯です。
◆簡易トイレは必需品
訓練生:なるほど、いろいろなシミュレーションが体験できるようになっているんですね。施設の話から離れますが、せっかくなので防災の心得みたいなことを教えていただけないでしょうか。
山崎氏:みなさんは防災というと、飲料水などを用意されることが多いのではないでしょうか。私がおススメしたいのは簡易トイレです。
訓練生:トイレですか? うちのマンションにもテント型のものを2つ用意していますね。
山崎氏:住人の数でちょっと計算してみてください。トイレの回数は、成人で一日に4~8回と言われています。それで何人が1日にできるか、何日分を想定するかによって計算すると、足りていますか?
実際に被災地では、ゆっくり落ち着いてできないから水を飲まない、食べない、という悪循環が起こったりするのです。当公園でも販売していますが、ホームセンターなどでも取り扱っていることが多いので、今のうちに簡易トイレを用意することをお勧めします。
◆震災の犠牲者は、3割が倒壊、7割が火災によるもの
山崎氏:あとは、絶対やってほしいのが家具の固定です。留意点として、まずはじめにレイアウトを確認してください。寝ている所に家具が倒れて下敷きになったり、扉がブロックされないようにしてください。気をつけないと、別の部屋にいる子どもなどが助けられなくなります。
家具の高さを下げるのも有効です。そもそも倒れないようにできます。ほかには「つっかえ棒」など家具固定具も有効です。まず生き残ることが大切です。首都直下地震の場合犠牲の3割は倒壊によるといわれていますから、ぜひ転倒防止は備えておいていただきたいです。
◆エレベーター用防災キャビネットの中身
山崎氏:ところで、コクヨでエレベーター用防災キャビネットを出されていますね。あれには、何が入っているんですか?
訓練生:先ほど話に出た簡易トイレや、水、ホイッスル、ブランケットやラジオなどで、閉じ込められた時に救助を待つ間に必要なものです。
山崎氏:なるほど、きちんと押さえられていますね。あとは手回し充電器があるとよいと思いますよ。閉じ込められてからスマホの充電が切れたら大変ですし。
家の中でも懐中電灯は倒れないところなど、置き方を工夫して常備しておいた方がよいです。ガス・電気が遮断された時に、暗闇の中でも使えるよう、地震が来ても動かずにわかりやすい場所に備えておくことも大切です。
訓練生:いろいろためになるお話、ありがとうございました。最後に、inspi読者に一言お願いします。
山崎氏:当館は地震発生後の72時間を生きのびる練習のできる施設です。タブレットを使っての防災体験など、気楽に参加できる工夫がしてありますので、ぜひご体験ください。みなさまのご来館をお待ちしております。
訓練生:どうもありがとうございました。コーヒーもご馳走様でした。
*「東京直下72hTOUR」:地震発生後72時間の生存力をつける、体験学習ツアーです。詳細は下記関連リンクでご確認ください。
(取材日:2015年9月3日)
防災訓練生.S
愛用の文房具は測量野帳。inspiでは防災番や下地先生のイラストも担当しています。いろんな視点で文房具の便利な使い方などを紹介していきたいと思っています。
【防災のススメ7】そなエリア東京の山崎センター長が語る「地震発生後の72時間を生きのびる」秘訣
《防災訓練生.S》
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