電通が仕掛けた「アクティブラーニング」研究所、その目的は?
アクティブラーニングとは何か。電通の蓄積、アイデア・発想力が結集した「電通総研アクティブラーニングこんなのどうだろう研究所」所長を務める倉成英俊と、キリーロバ・ナージャ氏に、話を聞いた。「受けてみたかった」新しい授業の試みが、ここにある。
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--研究所発足後、教育関係者からの問い合わせはいかがでしょうか。
倉成氏:自治体だけでなく、学校の先生個人、学習塾、さらには財団、スタートアップなどから幅広く来ています。発達障害の研究をされている医師の方からも問い合わせがありました。
--今後の予定や、教育企業やメーカー、メディアとの連携の予定はありますか。
倉成氏:初年度は、研究校の3校とのプロジェクトを進めていきます。研究校の名前はまだ公表していませんが、いずれも都内の公立で、高校1校と小学校2校です。また、企業などとは特定の1社と組むのではなく、あくまでニュートラルな立場で連携する予定です。この流れを良いものにするべく、今後はさまざまな方と繋がっていきたいですね。
--授業にかかる料金や、対応可能な地域・地方を教えてください。
倉成氏:初年度は東京の研究校からのスタートになりましたが、本当にこういった出張授業を必要としているのは地方の学校だと思っています。もし現地に行けなくても、Skypeでツボをお伝えするとか、マイクロ研究校として対応することも可能です。料金に関しては内容次第ですが、今回の研究校は実験なので共同研究という形をとっています。自治体や企業、教育委員会などは、ビジネスとしてお受けいたします。
◆ICT活用が大事なのではなく、ICTで「何をしたいか」
--昨今の教育現場では教育ICT機器の導入が進んでいますが、ICTの活用もお考えですか。
倉成氏:僕は普段からSkypeやFacebook、Evernoteなど、使えるものはなんでも使っています。特にICTにこだわっているというより、スピードを上げる、利便性があるという意味での活用です。
授業ではどちらもありだと思っています。全部デジタルでもいいし、まったくなくてもいい。むしろ、「どういうふうにしたいか」ということの方が重要です。手書きならではのアナログな情報量にはものすごい密度があり、この点ではデジタルはかないません。一方で、まったくデジタルを取り入れないと、今の時代は取り残されてしまいます。たとえば、僕の世代や仕事では、「スーパーマリオを知らない、やったことがない」なんてことは致命的ですから。
--研究所のサービスを、どのような人に届けたいですか?
倉成氏:子どもたちには、大人の覇権・利権争いで選ばれたツールを使わせたくない。自分自身が受けたかった授業・教育をやりたいなと思っています。教育に答えはない。大人もわからないものです。答えのない時代だから「こんなのどうだろう」と意見を出しあい、大人も、子どもも、一緒に未来を作っていきたいと思います。
--ありがとうございました。
「アクティブラーニング こんなのどうだろう研究所」には、ディスカッションをするだけでも、ICTを取り入れるだけでもない、ちょっとしたアイデアや発想から「考える力」「想像力」を育む新しい授業の試みのようだ。
電通総研は今後、ナージャ氏によるアクティブラーニングのヒントになるコラムや研究校での研究報告コーナー、電通が行ってきたアクティブラーニング事例などを研究所Webサイトで更新していくとしている。
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