【高校受験2016】埼玉県公立入試では時間の使い方がカギ…スクール21

 埼玉県の入試は、例年3月上旬に入試が行われ、5教科の学力検査と調査書の結果で合否を選考する。2016年(平成28年)公立高校入試について、さらに12月1日に発表された2017年の入試改革について、スクール21入試情報センターの宮川由三所長に聞いた。

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スクール21入試情報センター 所長 宮川由三氏
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◆本番の実力発揮に欠かせない体調管理と食事のバランス

--入試本番に向け、受験生が気をつけるべきことはありますか。

 試験当日に合格点を叩き出すためには、もちろん学力が大事です。しかし、本番の40分、50分といった短時間で実力を出し切る学力のほかにさらにふたつの力が必要です。

 ひとつは、精神的な力です。つまり、心身ともに健康であることです。当たり前ですが、当日に39度の熱にうなされながらの受験や空腹を感じて迎えた本番では本当の実力を出し切ることはできません。簡単に言うならば「体調管理」です。

 もうひとつは、緊張しない力です。

--緊張感をコントロールすることは、大人でも難しいですね。

 前もって当日のために緊張をしておきましょう、というアドバイスは非現実的ですが、当たり前のことをしておけば、緊張をするような場面でもきちんと落ち着いた状態を保つことができます。そのために必要なこととは、バランスのとれた食事を採ることです。

 よく、部活を引退したあとに食事量を減らそうとする生徒がいます。運動をしていた頃と同じ量を摂取すると太ってしまうから、ということだそうです。特に埼玉県は中学、高校ともに部活に力を入れる生徒が多いですから、そういったダイエット傾向も多少強いかと思います。

 しかし、きちんと落ち着いた状態を保つために必要な栄養・物質は食事から摂取し体内で生成するものがほとんどですから、さまざまなものを規則正しく、偏りなく摂取することが必要です。食習慣の見直しは保護者の方にサポートしていただきたいポイントで、受験生にアドバイスすることでもあります。

◆試験日当日は6時起床、1週間前からスケジュールの調整を

--当日や試験日直前には何に心がければ良いでしょうか。

 可能であれば、入試1週間前には当日のタイムスケジュールに近い生活を送れるといいですね。たとえば、一般的に埼玉県公立高校学力検査日の集合時間は午前8時45分です。だいたい8時過ぎくらいに着くように試験会場に向かう生徒が多いです。地域にもよりますが、電車に乗る時間は7時半くらいでしょう。スクール21の塾生たちには、「少なくとも試験が開始される3時間前には起床して頭を起こしていようね」とアドバイスしています。試験は9時20分から開始されますので、6時頃には起きている計算です。

 ただし、塾に通っている生徒は夜に学習していますし、入試1週間前から理想的なスケジュールに近づけるように、とアドバイスされてもピンとこない生徒も多いでしょう。日々の過ごし方は人によって異なるので、少なくとも前日は何時までに布団に入り、当日は6時に起きるなど、現実的なスケジュールを立て、実行することがお勧めです。

--そろそろ志望校も確定する頃でしょうか。ラストスパートから成績が伸びたお子さまはいらっしゃいますか。

 どの子もみな印象的で、ひとりの例をあげるのは難しいですね。ただひとつ言えることは、合格している子はみな良い意味で「すごくわがまま」である、ということです。偏差値60と70の差は、得点でいうと4、50点です。教科で見れば1教科10点程度なので簡単なように感じますが、1教科10点を上げるということは並大抵のことではありません。

 そんなときに大事なのは、自分でどれだけ問題を解決できるのか、ということです。指導された内容の丸暗記では、40点、50点の差となるような応用問題に対応しきれないことがあります。しかし、自分でも問題を解決できる子はみな、「先生教えて」「これはどういうこと?」と学ぶことに貪欲な印象を受けますね。

 見事合格を掴み取る生徒たちは共通して、「何がなんでもこの学校にいく」という強い思いを持っていることが多いです。そういった生徒たちの姿もあり、私は試験に不安を抱えている生徒には「よし、やるぞと決意した時の気持ちを思い出して」とアドバイスしています。

◆ネガティブな発言は控えて…保護者がするべきサポートとは

--受験直前となると保護者も不安な時期かと思います。受験を控える我が子にはどのように接すれば良いでしょうか。

 お子さまはまだ10代ですから、保護者が介入する場面が多いことは当然のことです。親御さんも不安なことはよくわかりますが、まず保護者の役目は不安な気持ちを飲み込むことです。決してお子さまの前で「大丈夫かしら?」「本当に合格するかしら」など、不安が伝わるような言葉は発しないでください。

 何も発言せずにいられないのなら、励ましの言葉を発することです。「いつも頑張ってるね」「夜食でもつくろうか?」「風邪っぽいなら言ってね」など、いつでも応援している、という姿勢を伝えてあげてください。親子一緒に、万全の体制で入試当日を迎えられると良いですね。
【次ページ】「現中2生が迎える学力検査問題の大改革、その概要と対策は」
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《佐藤亜希》

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