1学級に1人の割合「色弱の子どもがわかる本」家や学校でのサポートがわかる

 国内320万人、男性は20人に1人、女性は500人に1人。「色弱」という視覚特性を持つ人の数は意外に多い。40人学級に1人はいる割合になる。

教育・受験 未就学児
「コミックQ&A 色弱の子どもがわかる本 家庭・保育園・学校でできるサポート術」(かもがわ出版)
「コミックQ&A 色弱の子どもがわかる本 家庭・保育園・学校でできるサポート術」(かもがわ出版) 全 3 枚 拡大写真
 国内320万人、男性は20人に1人、女性は500人に1人。「色弱」という視覚特性を持つ人の数は意外に多い。40人学級に1人はいる割合になる。

 8月に刊行される「コミックQ&A 色弱の子どもがわかる本 家庭・保育園・学校でできるサポート術」(かもがわ出版)は、自分の友人や同僚、そして子どもと、色に関することで上手に意思疎通が図れない場合の助けとなるであろう1冊。子育て中の保護者はもちろん、学校や幼稚園・保育園などの教育現場で働く職員なら知っておきたいサポート術を37項目収録し、かわいらしいイラストを起用したコミックで、色弱の子どもへの接し方をQ&A形式で紹介している。

 寄せられている質問は、「色の社会的弱者(色弱者)」を支援するNPO法人、カラーユニバーサルデザイン機構の相談窓口に寄せられたもの。実際に色弱である回答者ら4人が、教育や学び、生活場面でどのように子どもに接すると良いかを指南する。

 たとえば、本書の中には「お花見や花火大会に連れて行きたいが、色弱の子どもは楽しめるだろうか」といった質問が登場する。色を区別しにくい子どもに対する不安の現れた質問だが、回答者はこれを、お花見や花火の楽しみは色だけではないし、「楽しめる要素はいろいろある」とアドバイス。もともと時計や色の違いを理解することは子どもにとって難しいものであるため、親として子どもにできることから始めるよう勧めている。ほかにも、色は異なるがデザインの同じバッグを持ってきてしまう子どもや、色違いの靴下を履きがちな子どもには、文字の刺繍やマスコットをつけることで区別できるようにと助言。こういった少しの工夫が親子や児童・生徒との円滑なコミュニケーションに繋がるという点では、色弱ではない子どもを持つ親にとっても参考になりそうだ。

 監修を務めた東京慈恵会医科大学解剖学講座教授・カラーユニバーサルデザイン機構副理事長の岡部正隆氏によると、色弱は、色覚(色の見え方)以外の視力や視野といった視覚特性は、ほかの人とまったく変わらない。病気というわけではなく、「単に色の見え方が大勢の人と違うだけ」と、色弱者である自身も含め「潜在的に存在する色弱の人たちが、たとえそのことをカミングアウトしなくても、スマートに接客・対応できるように日常的に心がけるスキルとヒントが書かれている」初めての本であることから、「(色弱者が)幸せを共有できる社会生活を送るために、多くの人に読んでいただきたい」としている。

 子どもが「色弱かも…」と思うと保護者は不安になるものだが、子どもの行動や発言は常に奇想天外。色弱か否かに係わらず、親として、教育者として子どもにどのように対応するべきか、あたたかい心を持って接するコツがアドバイスされている。

◆コミックQ&A 色弱の子どもがわかる本 家庭・保育園・学校でできるサポート術
原案:カラーユニバーサルデザイン機構
コミック:福井若恵
監修:岡部正隆
判型:A5版
ページ数:84ページ(フルカラー)
発行年月日:2016年8月
定価:1,480円(税別)

《佐藤亜希》

【注目の記事】

この記事の写真

/

特集