離乳食の開始時期とアレルギー発症、関係はある?【子どものアレルギー9】
離乳食を始める時期によって、子どもがアレルギーになりやすい、なりにくいといった違いは表れるのだろうか。アレルギーに関する情報サービス「クミタス」を運営するウィルモアの石川麻由社長に、離乳食を始める時期とアレルギー発症の関係性を聞いた。
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◆離乳食の進め方は「食材・量・開始時期」が鍵?
食物アレルギーの感作、発症予防において、すべての食物において確実に予防可能な離乳食の進め方というのは確立されているわけではありません。ただし、個々の食物では研究、調査がなされており、卵の摂取が早い群と遅い群では、早い群の方が卵アレルギーの発症が少なかったとする調査報告や、ピーナッツを継続して経口摂取していた4~11か月の乳児においては、摂取除去群に比べてピーナッツアレルギー発症率が低かった、との調査報告もあります(参考:Randomized Trial of Peanut Consumption in Infants at Risk for Peanut Allergy)。
一般医学雑誌「カナディアン・メディカル・アソシエーション・ジャーナル(Canadian Medical Association Journal、CMAJ)」に2015年に掲載されたレビューでは、親御さんから子どものアレルギーを予防するにはどうしたらよいかを尋ねられた際の現段階のアドバイスとして、食材は生後4~6か月で導入し、いったん摂取をしたら、その食品は定期的に食べさせることを掲げています。
「アメリカアレルギー学会(American Academy of Allergy Asthma and Immunology)」では、初めて食べる食材が複数含まれる食品からではなく、一つの食材ごとに少量ずつ導入し、摂取する量は日数をかけて増やしていくことも掲げています。
◆自己流の食事制限は厳禁、重要なのは発育状態
アレルギーの症状程度には個人差があり、微量に反応する方などにおいては、摂取によりアナフィラキシーを起こす場合もあります。また、新生児期、乳児期におもに粉ミルク、中には母乳での哺乳などにより、腹部膨満、嘔吐、胆汁性嘔吐、哺乳力低下、下痢、血便のいずれかの症状が出現する「新生児-乳児消化管アレルギー(消化器症状が見られず、体重増加不良、活動性低下などのみの場合もあります)」は、ミルクまたは母乳開始後の生まれて早い時期から発症する傾向があり、発育状態を考慮した栄養摂取への配慮も必要になります。
どの程度の量が摂取可能なのか、また一時的にも除去が必要なのかどうかは、食物経口負荷試験などでもわかってきます。
アレルギーの観点での離乳食の進め方においては、今後さらに具体的になることもあるかと思いますが、感作予防、発症予防策として、自己流で母親や子どもの食事制限を行うことが効果的であるとは考えられていない状況でもあります。心配な方は、専門医へ受診のうえ相談されるとよいでしょう。
協力:ウィルモア 代表取締役 石川麻由氏
《編集部》
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