公立中学で学校SNS「Classting」を活用、導入や運用のポイントとは?

 2015年4月、教師と生徒、そして保護者の3者間コミュニケーションを円滑にする学校SNSとして提供が開始された「Classting(クラスティング)」の活用方法や効果について、佐賀市立大和中学校の中村純一教諭に話を聞いた。

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佐賀市立大和中学校の中村純一教諭
佐賀市立大和中学校の中村純一教諭 全 2 枚 拡大写真
◆SNSを教育活動に取り入れるポイント

--今後導入を検討される公立学校へのアドバイスをお願いします。

 現時点では、公立学校のもつ公平性や公共性などの特徴を考えると、現場においてSNSを授業などに活用することは、難しいと感じています。メリットもさることながら、デメリットが大きな懸念材料となっていることも理由の一つです。慎重に導入する必要があると言えるでしょう。しかし、国内の私立学校だけでなく、公立学校においても、SNSを教育活動に取り入れて、さまざまな素晴らしい教育実践に取り組んでいる学校が増えてきています。そのためには、SNSを使用する目的の明確化やルールづくり、情報モラル指導、管理、保護者への使用にあたっての周知徹底や報告、教職員内での研修、リスクマネジメント、そして、使用するSNSサービスの選定などを十分に行っていくことが求められると思います。

 一方、関西では、校内において一切制限のない環境で、生徒たちがWebやSNSを使用している私立高校の例もあります。その学校の先生は「社会に出たら誰も教えてくれる人がいないので、高校生のころから社会と同じ環境で使用させ、自分で自分のことをしっかりと管理し、守り、判断させたい」と言います。これも一つの参考例だと思います。

 つまり、学校が目指すものが何かによって、使い方も変わってくると思います。SNSの導入や選定にあたっては、機器やサービスありきで考えるのではなく、その学校における教育活動の目指すことによって決まってくるのだと思います。

 今すぐに公立学校にSNSが必要だとは思いませんが、教育ツールの一つとして、いずれ学校に導入される時がくると思います。そのために、「準備」が必要です。それは、SNSの使い方だけではなく、道徳教育やコミュニケーション、言葉の使い方、モラル指導など、日頃からできることを積み重ねていくことではないでしょうか。

--ありがとうございました。

◆グローバルで活用されている学校SNS「Classting」

 学校と家庭の垣根をなくす新連絡帳ツールとして韓国でサービスが開始され、日本でも2015年4月に提供開始されたClassting。教師と生徒、そして保護者が、お互いの学習情報を交換しながらともに学ぶ環境を提供するSNS形式が採用されており、教師だけではなく、クラスメイト全員が情報の送受信や共有を行える。現在、小中高校だけではなく、幼稚園や保育園、大学まで広く利用されている。また日本、韓国にとどまらず、アメリカ、台湾、中国でも利用されている。

 Classtingの担当者は「学校や教育現場向けのSNSなどのサービスはいくつかありますが、塾や予備校での利用には制限がかかっていることが多いです。Classtingなら、教育機関であれば学校のほか塾・予備校、文化センターでもご利用いただけます。また、連絡機能・アルバム・写真・動画などの学習資料の共有などを無料で利用できるので、クラスメイトの絆を強めながら、より深い学習に繋げられる点が特徴ですね。もちろん、利用はすべて無料です」と説明する。

◆中村純一教諭プロフィール
 佐賀市立大和中学校英語教諭。研究分野は、道徳教育を中心として、ICT利活用教育、統計教育、演劇教育、放送教育、情報モラル教育、家庭学習支援。特に統計的なものの見方をはじめとする統計グラフワークショップの指導にも取り組んでいる。また、Apple Distinguished Educator(ADE)として、2015年はアジア地区インスティチュート(シンガポールで開催)、2016年はワールドワイド・インスティチュート(ドイツ・ベルリンで開催)に参加。国境を越えて、教育におけるテクノロジー導入の在り方や実践を世界中の教員と交流を深めながら、国際的な視野から考える研究や実践にも取り組んでいる。特に、韓国の教育界とのつながりも深く、現地を訪問し、交流を深め続けている。
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《編集部》

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