子どもの目が輝く「My First PC 体験イベント」で考えるデジタル入門

 インターネットにつながるこれらデジタル機器は、子どもたちの想像力や思考力を刺激する一方、有害情報や課金・詐欺などの懸念もあり、いつから子どもに与えるべきかの判断に悩む保護者も少なくない。

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 いまの子どもたちは、生まれたときからパソコンやスマートフォンが存在する世界にいる。インターネットにつながるこれらデジタル機器は、子どもたちの想像力や思考力を刺激する一方、有害情報や課金・詐欺などの懸念もあり、いつから子どもに与えるべきかの判断に悩む保護者も少なくない。

 リスクを考えて子どもにPCやスマホを与えないという選択肢もあるが、社会インフラ化しているインターネット、勉強や仕事に不可欠なPC、スマホを単に遠ざけるだけでは、問題の解決にはならない。小学校でもプログラミング教育が始まろうとしている現在、正しい情報と知識によって、これらネット機器、デジタル機器とうまく付き合いたい。

◆マイパソコン所有の利点と体験イベントの目的

 欧米諸国に比べ日本の子どものマイパソコン所有率は極端に低い。内閣府の「平成25年度 我が国と諸外国の若者の意識に関する調査」によると、13~15歳におけるノートパソコンの所有率は、欧米諸国の63~75%に対し日本はわずか22.1%となっている。今後の学習は“暗記型”から“発想型”に移行し、情報と情報をかけあわせて新たな価値を生み出す力=“キュレーション力”が必要になるといわれているが、この力は子どもの頃からパソコンを使うことで養えるとされる。

 WDLCでは「今後、子どもが世界で活躍するためにも、小さいうちからパソコンに慣れ親しむ必要がある」と考え、2016年7月から、子どものマイパソコン所有を推奨する活動「My First PC ~はじめてのマイパソコン~」キャンペーンを実施している。

 この活動の一環として、子どもが「パソコンで楽しみながら発想力や論理的思考を養えることを体感」でき、保護者には「子どもがパソコンを安全に利用できることを知ってもらう」ことを目的とした「My First PC 体験イベント」を各地で開催している。実際、どんなイベントなのか。12月27日~30日にイオンモール幕張新都心(千葉市)で実施された「My First PC 体験イベント」のようすを取材した。





◆想像力・思考力を刺激する4つの体験プログラム

 体験プログラムは全部で4つ。子ども向けの絵合わせパズルや迷路などゲームが体験できるコーナー。Officeツール(PowerPoint)を使ったオリジナルカレンダーづくりのワークショップ。Minecraft Hour of Codeによるプログラミング体験。子どものPC利用を管理できる「ファミリー機能」の体験コーナーが用意され、参加者は自由にPCに触れることができた。

 パズルやゲームには、知育の要素も含まれている。Windows 10パソコンのタッチ操作機能を使い、実際に手や指を動かすパズルやゲームも用意され、遊ぶという視点だけでなく、想像力、思考力を刺激するものが選ばれていた。

 カレンダーは、テンプレートが用意されており、画像フォルダから好きな写真を選んだり、着色したりして、PowerPointでオリジナルカレンダーを作成し、印刷したものを持ち帰ることができる。

 Minecraft Hour of Codeは、デジタル教材であるMinecraft Education Editionとは異なり、よりプログラミング開発機能が強化されたものだ。課題は14のステージとして用意され、ステージが進むごとに難度が上がっていき、自然にアルゴリズムの考え方が身に付くようになっている。

 ファミリー機能は、Windows 10に標準で備わっている機能で、アカウントごとに、フィルタリングの設定や操作可能な時間が設定できるいわゆるペアレンタルコントロールだ。ファミリー機能を使えば、子どもごとにアカウントを作成でき、ログインしないとPCが使えない。ログインが必要なため、アカウントごとに有害サイトのブロック、課金処理の禁止、夜9時以降のログインの禁止、といった制御が可能だ。子どもをネットの危険から守るためには必須の機能といえる。

 会場では、ファミリー機能の説明、デモも行われ、子どものPC操作が気になる保護者の質問や相談にスタッフが丁寧に対応していた。

 イベントはオープンスペースで行われるため、だれでも自由に参加できる。PowerPointの操作やMinecraft Hour of Codeの操作、プログラミングがわからなくても専門のスタッフが、操作方法などを教えてくれる。初めてPCに触れるという人でも気軽に楽しめるようになっていた。

●幼児から中学生までの親子がパソコン体験

 パズルゲームで遊んでいた千葉市内から来たという親子連れ。母親に聞くと「娘はまだ3歳なのでPCもスマホも与えていませんが、タブレットでYouTubeの動画を見せることはあります。」とのこと。PC操作も初めてだったようだが、タッチ操作で絵合わせパズルを楽しんでいた。指の動かし方はまだ慣れていない感じだったが、お手本の操作を見て、パーツをしっかり型まで移動させ、イルカの絵などを完成させていた。

 カレンダーを作成していたのは、9歳と5歳の姉妹だ。母親によれば「自宅には家族用のPCがありますが、子どもにはあまり使わせていません。」とのこと。姉妹ともにスマホも持っていない。姉妹ともにPowerPointの操作はほぼ初めてだが、スタッフと一緒に好きな動物の写真を選んで、カレンダーを完成させていた。お姉さんは猫の写真がかわいかったといい、妹さんはポメラニアンを選んだという。

 Minecraft Hour of Codeに興味を示していたのは中学3年の男子。ループなどを使う高度な課題もこなし14ステージすべてをクリアしていた。「学校ではスクラッチの授業をやったことがあるけど、Minecraft Hour of Codeはちょっと難しかった。でも楽しかったので家でもやってみたいです。」とすっかり気に入ったようすだった。家には母親が仕事で使っているPCがあるが、お子さんには調べものなどをメインに使わせているそうだ。お子さんのようすを見て「ゲーム感覚ではまっているようですが、PCは好きみたいです。」と母親は、プログラミングへの集中力に感心していた。

 習志野市からきていた親子連れには、ファミリー機能について聞いてみた。PCのペアレンタルコントロール機能があることは知らなかったそうで、お子さんは、小学5年生と小学1年生の2人。まだ携帯電話、スマホなどは持たせていないが、上のお子さんには防犯のためキッズケータイのみ持たせているという。PCも基本的には使わせていない。理由は、「目の届かないところで使われるのが心配だから」とのことだ。「有害サイトブロックや課金できないような制御が可能なら、お子さんのPC利用のハードルは下がるか」と聞いたところ、「今回子どもたちが楽しんでいるようすを見ると、親の目が届く状態で、使わせてもよいかもしれないですね。」と答えてくれた。

◆パソコンでデジタル入門

 現在、仕事もプライベートもスマホやタブレットなどモバイルデバイスへのシフトが進んでいる。必然的に、子どもに最初に与えるデジタル機器もスマホになりつつある。しかし、イベントでは、子どもたちはPCであろうがスマホであろうが、あまり関係なく使っていた。小学校でPCを使った授業が増えていることも一因だろう。

 ならば家庭でも、PCからネットやデジタルの世界に触れさせるという選択肢は有効ではないだろうか。フィルタリング処理などペアレンタルコントロールも可能であり、なにより携帯端末よりも保護者の目が届きやすい。PCを使った授業やプログラミング学習など、学校でのPC活用がますます加速することを見据え、お子さんのデジタル入門をPCから初めてみてはいかがだろうか。

《中尾真二》

中尾真二

アスキー(現KADOKAWA)、オライリー・ジャパンの技術書籍の企画・編集を経て独立。エレクトロニクス、コンピュータの専門知識を活かし、セキュリティ、オートモーティブ、教育関係と幅広いメディアで取材・執筆活動を展開。ネットワーク、プログラミング、セキュリティについては企業研修講師もこなす。インターネットは、商用解放される前の学術ネットワークの時代から使っている。

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